![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167930704/rectangle_large_type_2_ff4f94ea918a0254278d92c92b108705.jpg?width=1200)
Photo by
950am
#181 人生で一番驚いた年賀状の出し方
「年賀状出し行くついでに、スーパーでなんか美味いものこうちゃる」
義父の言葉に、正直めんどいな…と思いつつ、妻と一緒に古いワーゲンに乗りました。
「さきに郵便局に行くからの」
田舎なのでまぁまぁな距離があります。ポストも少ないです。投函しても回収が遅いので、結局は郵便局に出すのが吉なのです。
信号待ちになりました。
チッカッチッカッチッカッ…
乾いた音が冬の寒さを引き立てます。
車内でも息が白いです。
後部座席でうとうとしていると、義父が助手席の窓を全開にしました。このクソ寒いのに、なんだと思っていると、突然…
「うおいっ!!おーーいっ!!」
義父が叫び始めました。あまりの大声に、事故でも起きたのかと、私と妻の肩がビクッとなりました。
「ハッ!?」
声の先に、バイクのお兄さんがいました。横の車から突然大声を出されて驚いています。こちらの声が聞こえにくいのか、フルフェイスの右耳側を少し浮かせました。
「おーーい!!これぇ!!!」
義父は、助手席の窓へ腕を伸ばしています。
「ハイーッ!?」
バイクのお兄さんは、状況がよく飲み込めないのか、何か聞き返している様子です。
「青になる、青に!!これぇ!!」
箱根駅伝のタスキかと思いました。
「ハイッ!?」
バイクのお兄さんは、反射的に何かを受け取りました。そのまま、義父の車は発進しました。まさに、一瞬の出来事でした。
後ろを振り返ると、右手に年賀状を持ったまま、呆然と立ちすくんだお兄さんがいました。
「ラッキーやったのぉ!!」
私と妻は、郵便局員さんに手を合わせました。