【最速解説】教育×ICTで自由度高く使える?デジ田交付金(デジタル田園都市国家構想交付金)とは?
またnote書くのが4か月ぐらい空いてしまいました…。
立場上で書きづらい面もあり、控えているうちに習慣が無くなってしまっている感じです。
久しぶりに書いた前回「今の校務支援システムやめて新しいのができるの?」はこれまでの記事のトップ10に入るぐらいアクセス数も多かったので、間隔空けても読んでくださる方がいるのだな、と勝手に思って今回も書いてみます。
今回も教育委員会向けのニッチ記事。
あまり馴染みがないかもしれない国の交付金「デジタル田園都市国家構想交付金」についての解説です。
地方自治体が手をあげるタイプの交付金で、デジタル(ICT)関連でかなり自由度の高い事業です。勿論、教育委員会での事業も対象です。
なので「ICT関連で〇〇をやりたいが、なかなか自主財源だと厳しいな」と思っている教育委員会の方!
15分でポイント抑える補足記事にしますので、是非、ご覧いただけたらと。
「前置きとか良いのでとにかく交付金のポイントだけ知りたいんじゃ」という方はこちらのリンクでカッ飛んでいただけたらと。ざっくりポイントが分かると思いますので。
そもそもデジタル田園都市国家構想って何?
こういうのはイメージ図を見れば一発で分かるはず。
うーん、なるほど分からんです。いや、なんとなく分かったかも?
こういうときは、3年間の思い出構図を使って説明できるはず。
確かにこっちの方が分かりやすいですね。すごいよマサルさん。
と思ったあなたは、とても疲れています。まずは寝ましょう。
そしてこちらでも読んで辛いことを忘れましょう(15話で上記構図も出てきます)。
気を取り直して、国が公表しているデジタル田園都市国家構想の説明文をめっちゃ意訳して短縮化すると
ということのようです。
特徴として色が出ているポイントは
市民の心ゆたかな暮らし(Well-being)を目指している
持続可能性を重視している
インフラとしてのデジタルを基盤としている
地方自治体や市民、事業者が協調して取り組む
あたりでしょうか。
Well-being(これはこれでフワっと定義曖昧で分かりづらい)が目標になっている辺りは、教育関係者の皆さんだとOECD Education 2030を思い出したりするのかも、です。
各々の地方自治体が上記のような取り組みを広げてもらっていくことで、国全体に広げていこうとしています。
当然、その対象に「教育」も含まれています。
ではデジタル田園都市国家構想交付金とは?
では、今回解説するデジタル田園都市国家構想交付金とは何か。
先ほど定義を書いたデジタル田園都市国家構想を、都道府県や市区町村が目指していく際に、交付金の形で国が支援していくものです。
国がサントリーの鳥井さんみたいな口調かはさておき、ざっくりの構図は上記みたいな感じ。
実は、令和3年度の補正予算でも「デジタル田園都市国家構想推進交付金」という「推進」がついたほぼ同じ名前の交付金があったのですが、それも含めて3つの交付金を統合したのがデジタル田園都市国家構想交付金です。
このデジタル田園都市国家構想交付金ですが、令和4年度2次補正予算では800億円が計上されています。
この800億ですが、2つのタイプに区分けされており「デジタル実装タイプ」と「地方創生拠点整備タイプ」の2つに分かれ、それぞれ400億円の枠となっています。
実態としては、デジタル実装タイプ=以前のデジタル田園都市国家構想推進交付金、地方創生拠点整備タイプ=地方創生拠点整備交付金、に近いと捉えてもらえると、過去交付金ご存じの方はイメージしやすいのかも。
今回は教育×ICT(デジタル)がこの記事の読者の興味と想定すると、「デジタル実装タイプ」に焦点を当てて解説した方が良さそうです。
デジタル実装タイプにも区分けがある
さらにその「デジタル実装タイプ」も、Type1/2/3と区分けがあります。
階層構造深く複雑でロンダルキア感ありますが、、、
TYPE1/2/3の違いは以下のように説明されています。
概要のテキストとしては以下です
TYPE1/2/3とあるのですが、数が大きくなるほど先駆的かつデジタル基盤活用が求められて条件が厳しくなります。一方で、交付金の上限額や補助率が大きくなります。
TYPE2以上になると、データ連携基盤の活用が原則になってきます。こちらとかこちらを読んでいただき、こりゃ分からん、となったらTYPE1を選ぶのが吉です。
なので、教育×ICT(デジタル)の領域のみでの事業となると、自ずとTYPE1を選択することになるのでは、と思います。(もちろん、分野横断のデータ連携は国が求める望ましい姿なので、チャレンジされる方は是非に!)
そうは言ってもマイナンバーカードの申請率次第で申請できないのでは?
採択条件については先週(12/7)、こんな記事出ていたりしています。
マイナカード申請53%で交付金 政府のデジタル化支援受給要件(共同通信) - Yahoo!ニュース
タイトルだけ見ると、マイナンバーの申請率が全国平均=53%以下だと交付金もらえないような記事ですが、、それは誤認で、デジタル田園都市国家交付金という枠としては、全ての地方公共団体で申請が可能で、交付される可能性があります。(記事の中身はタイトルとは違う書きっぷりなので、、意図してやっているのだな、と思うとなんかこういうの悲しいですね…。)
12/7に公表されたデジタル実装タイプにおいては、マインナンバーカード利用横展開事例創出型とTYPE2/3については、全国の平均交付率以上が条件になっています。
一方で、今回解説する「デジタル実装タイプ TYPE1」については、マイナンバーカードの交付率は加点要素であり、申請条件ではありません。
ちなみにTYPE1の交付金内容は
優良モデル・サービスを 活用した実装の取組であること
国費負担額の上限は1億円
補助率は1/2以内
となっています。事業費の半額以上は地方公共団体で負担する必要がある、というのが条件になり、かつ国費は1億円までとなります。
では「デジタル実装タイプ TYPE1」の採択のポイントは?
頭の部分からこちらにカッ飛んだ人向けにまとめを書くと
デジタル田園都市国家構想は、デジタル基盤に地域ならではの豊かさそのままに、利便性や魅力を高めていこうという構想
それを実現するために、国がデジタル田園都市国家構想交付金を創設
教育×ICTの範囲のみなら「デジタル実装タイプ TYPE1」がおススメ
TYPE1は国費上限1億円、補助率は1/2以内
TYPE1はマイナンバーカード交付率で優遇あるけど申請条件ではない
という感じです。長々と駄文を読んでくださった方には、なんか申し訳ないです…。
ではデジタル実装タイプ TYPE1の採択のポイントはどのあたりなのか。
これもすでに公表されています。こちらのP50-51に記載があります。
画像で評価項目も貼っておきます。
先ほど記載したマイナンバーカードの交付率ですが、画像2枚目、4-①の項目で記載されています。確かに配点が10点と大きいのですが、前述した通り全国平均以上が申請条件とはなっています。
この項目を見ていくと、「4. 政策的優遇措置」で38点とあり、ここがすごく重要に見えてくると思います。
その通りの面がある一方で、事業計画書の内容そのものを評価する1~3で62点あるので、個人的には事業計画をしっかり検討し、ちゃんと書ききることが最も重要なのでは、と感じています。
そのうえで「4. 政策的優遇措置」の部分は、今から皆さんではどうにもならない部分(マイナンバーカードの交付率)は受け入れ、対応可能な項目を見つけてできるだけ沿った形で事業が運営できるか考える、というやり方が遠回りのようで採択への近道だと思っています。
特にその地域ならではの課題(教育分野では、それが全国的な課題であることもあったりもする)と、それをどう改善し、どのような指標=KPIで見ていくことにするのか。
この辺りを短い期間ですがまずしっかり考えていくことが、必要になるのでは、と思います。
手前味噌ですが、以下でビジョンやKPI設定の重要性とかも書いていますので、お時間があればご笑覧いただけたらと。
【首長や教育長に考えて欲しい】死の谷を越えないとGIGAスクールは無駄金になる?|稲田 友|note
期間が短いのが辛いところ。事前相談はお早めに。
昨年度の「デジタル田園都市国家推進交付金」もそうなのですが、補正予算ということでスケジュールがかなり厳しいので注意です。
上記図の一番左がTYPE1。事前相談は1/27(金)10時まで、実施計画書の締切は2/16(木)10時まで。それぞれ17時が締切じゃないので、前日までに提出が必須だと思った方が良さそうです。
TYPE1では既に確立している優良モデルの横展開が期待されている
そもそもどんな内容で申請するのか。イメージが湧きずらい方は、内閣府地方創生推進事務局から参考事例が共有されていますので、そこから考えてみても良いかも、です。
TYPE1は「優良モデル・サービスを 活用した実装の取組」とも記載されているので、1つのお手本として見てみては、と思っています。
デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)参考事例集 令和4年12月12日第1版 (chisou.go.jp)
事例の1つ目が、昨年度のデジタル田園都市国家構想推進交付金のTYPE1で採択された兵庫県佐用町の事例。
文部科学省が進める校務支援システムのクラウド化、校務系・学習系ネットワークの統合を行う事例です。校務のゼロトラスト化や、システム間連携を国際標準規格で進めようとしており、まさにデジ田構想にピッタリの事例と言えます。
2つ目は高知県の事例。
経済産業省「学びと社会の連携促進事業」を通じて実証を進めている事例です。文部科学省が進める学習eポータル構想に基づき、高知県独自の学習eポータルと様々なツール/コンテンツが連携していく事例です。
3つ目は杉並区の事例。
独自の学力調査とアンケート調査を行い、そのデータを組み合わせて学校現場にフィードバックする施策を以前から行っている事例です。まさに「データ駆動型教育」の先を行っている事例と言えます。
この辺りを参考にしてみると、少しアイデアが広がるかも、と思っています。
おわりに。なかなか書くタイミングつくれない…。
まずはデジタル田園都市国家構想交付金の解説は以上となります。
今日の情報の詳細はすべて、以下で公表されていますので、気になった方はチェックいただけたらと。
デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ) - 地方創生未来技術支援窓口 - デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 (chisou.go.jp)
私自身、デジタル庁の教育分野の担当に所属する立場としても、是非、教育領域でのデジ田交付金活用が進んで欲しいと思っています。
そんな気持ちのなか、この手の交付金の情報って首長部局で情報が止まってしまっていたりもしているので、この記事を記載してみた次第です。
スケジュールも結構大変で、内容もなかなか難しい面がある交付金かと思いますが、反面自由度も高く、本質的なことに使える予算になると思っています。興味を持ってくださった方は是非、チャレンジしてもらえたらと。
毎回、記事を書く期間が空いてしまって申し訳ないですが、また色々書いていきたいと思っていますので、その際は是非、よろしくお願いしますー
ではまた!