アルバムの1曲目

先日見ていた深夜番組で、蔦谷好位置さんが星野源さんの曲『Pop Virus』についてベタ褒めしているシーンを見かけました。
「アルバムの1曲目なんですよ」
そう言った言葉に、その場にいた古田新太さんが「1曲目」と反応されていました。

果たして、今の若者に、この会話のニュアンス、通じるんだろうか?

レコード/カセットテープ時代は、曲順、その前にA面B面(わかりますか?アルバムは半分ずつに曲が分かれていて、裏返さないと全部が聞けないんですよ?)に、どうやって曲を配置するか、かなり影響があったと思います。
アーティストの色・世界観、レコード会社の思惑、いろんなことを感じ取る
アルバムという1枚の作品の楽しみ方の1つでした(個人的に)。

このA面B面の不便さを逆手にとり、それを素晴らしく感じさせるアルバムは、松任谷由実さんの『Surf&Snow』がわかりやすい例かと。
A面(前半)がSurf:夏の曲
B面(後半)がSnow:冬の曲
季節によって聞く側を固定できるんですよね。さすがユーミン!

それが崩れたのが、CDの登場。
A面B面もなく、裏返さない上に、シャッフル機能て!なにそれ!
1枚のアルバムを、好きな曲だけピックアップして聞くことが出来るようになった。もちろん、アルバムの曲順どおりにも聞ける。
とっても便利。

更にこれが崩壊したのが、今の音楽のダウンロード購入。
購入時点で、もうアルバムの体を成さなくても良くなってしまった。
バラ売り。好きな曲だけ買えば良い。
効率的ね。

けど、それはアーティストの想いや世界観を受け渡す場面が少なくなっちゃったのかなぁ、と少し寂しく思っています。

アルバムの1曲目
それは、アーティストの名刺代わりの曲を持ってきたり、そのアルバムのカラーだったり、アーティスト本人の本当にやりたいことを示したりする、結構大事なポジションだと私は思っています。

星野源さんの『Pop Virus』というアルバムの1曲目が、世間的によく知られた大ヒット曲『恋』ではなく、アルバムタイトル曲の『Pop Virus』である、というところに、何かを感じ取るものがあるよね、ってことだと思うんですよ?(言葉でわざわざ説明すると、ダサいですね、ははは)

あと、アルバムって、聞き始めにあんまり好きじゃない曲がある、っていうのも好きでした(笑)
どんなに好きなアーティストでも、アルバムの全部が全部好きな曲じゃない場合があるわけです。けど、レコード/カセットテープは、次の曲に簡単に飛ばせないから、そのまま我慢して(?)聞くわけです。で、これがなぜか、聞いてるうちに好きになっちゃたりするんです(本当に不思議)
あと、曲順で表現される世界観で好きになったり。前後があるから、この7曲目にはこれが入ってるのかぁ、と聞きこんでいくと気づいたり?
1曲ずつ単品で見るより、アルバムとして1つの物語のようになっているアルバムも多かったですよね。
今はどうなんだろう?
そのあたり、気にしてアーティストが作っても、受け取り側のシステムが変わってしまっているから、確実に届くとは限らなくなってしまった、のかな?

つらつらと書きましたが、アルバムを曲順どおりに通して聞くの
楽しいよね、っていうことです。

レコードを持っていたこれは、曲順とかそういう問題のアルバムではありませんが(笑)、CD買い直したら、音が良くてビックリしました。
レコードのプツプツ音が入るのも風情があっていいんですが、リマスターの良い音でアルバム聞き直す、っていうのも、よかったです!


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