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人生に迷ったときほど、わたしは宮部みゆきさんを読む

ただいま宮部みゆきさんの新刊を読んでいます。

発売されたと知るや、急いで買いに行って。ふがふが読んでます。だけど、どうしてそこまで好きなんだろう。理由を自分の中へ深掘りしてみました。

前に「わたしのオススメ」と言って、人に宮部みゆきさんの本を紹介したことがあって。そしたら「思いのほか、怖かった」と退かれたんですよね。たしかに怖いかも知れないけど、そっか。幅広く勧めちゃいかんかったか。しょんぼりした経験があります。

ゾンビが出てくる、ガイコツが踊り出すといった、グロテスクな恐怖は無くて。じゃあ何に怯えちゃうのか。わたしが思うに、伏せてた思い出が甦ってくるからかなー。

あなたにも覚えがありませんか。相手と自分、どっちが悪いかと問われれば、もしかして自分かも。そんな後ろ暗いやつ。宮部さんの小説を読んでると、本に描かれてる状況とは全く違うのに、苦かったその時の思いが、じわーっと込み上げてくることがあって。

自ら閉じたはずの心の扉なのに、ちょっと待って。ああ、開いてしまう。無力感を感じるからか、ゾッとしてしまう。

でも思うんです。読んでて思い出すってことは、かつては封印の蓋をしたけど、いつかは向き合いたいってチャンスを待ってた。それが開いただけ。読書を通して、あの頃は見ようともしてなかった状況や、相手の気持ちや、自分の至らなさが、じわじわ染み込むように気づいただけ。

気づいただけ自分の分が悪くなるから、気づきたくなかったような。でもわだかまりが解けて、ホッとしてもいる。溶け出すように、過去の出来事の封を切れ、清々しくなれる。

ほかにもお伝えしたい、素晴らしきところが宮部さんにはあって。言葉選びゆえなんだろうな。宮部さんが紡ぐ物語には、ズドンと射抜かれるように、たった今ほしかった一文に出会えることがよくあります。

わたしの芯になるような、心震える一文。だから落ち込んでるとき、生きることに迷ってるときほど、読みたい作家さんです。

さあ、続きを読まなくちゃ。

では また

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