足元を見る。うつ病になってからの4年間
うつ病になって4年と半年くらい。
病気になる前は仕事を沢山頑張っていたし、家事も常に自分なりに完璧にしていたし、美容やオシャレも手を抜かなかった。
でも病気になったら起き上がることさえできず、そうなると当然働くことはおろか、顔を洗うことさえ出来なくなった。前はできていたことがほとんど不可能になった。
以前はブラックな業界で働いていたので、明け方まで徹夜したり、かと思えば遠方での仕事のために朝5時に家を出る日もあったりしつつ、20連勤を乗り切ったこともあった。
そんな中でも休みの日は家じゅうを徹底的に掃除して、自炊する時は栄養バランスを考えながら一汁三菜を心がけて…。あれもこれも、できたのに。
過去の自分に嫉妬して焦り、いつしか私は先の未来ばかり見るようになった。この病気はいつ治るの?自分の体なのに思い通りにならなくてもどかしい。
いつ体調がさらに悪化するか分からないから何の予定も入れられない。いつになったら日常生活が送れるようになるのか、いつ働けるようになるのか、焦る日々。焦れば焦るほど、ますますしんどくなる。
でも登山する時、いきなり山頂を見て「あんな所まで登るのか」と思ったら、誰だってしんどい。
登っていくコツは、「今」立っている自分の足元だけを見ること。1歩1歩、歩幅は小さくても先に進んでいる。確かに地面を踏みしめている。
そうやって少しずつでも進んでいる自分を遅いと責めたら、自分が可哀想だ。
好きで病気になったわけでもなく、早く良くなりたい、前の自分に戻りたいと願って毎日もがき苦しんだ自分を。
思い通りばっかりの人生は誰にもない。人は神様じゃないから、人事を尽くして天命を待つことしかできない。
人生は不可逆だから、病気になる前の自分に戻ることは絶対にできない。ただ足元を見て、1歩ずつ進んでいくことしかできない。
今後の私にできることは、過去にできていたことではなく、今と未来の私にできることだろう。
今、私の目の前には、見たことのなかった景色の中で一枚の新しい扉が閉じている。開くかどうかは、自分次第だと思う。