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意を決してルーマニアに行ってみたら古き良きヨーロッパがそこにあった。 始まりのティミショアラ初日編

ブラック企業辞めたからルーマニア行く

 どうもC.S.です。ルーマニアに行ってきました。

 なんでだよ!と思ったそこのアナタ。アナタは正しい。
 
普通は誰もルーマニアになんて行かないからだ(問題はそこじゃない)。

 なぜこの間イランに行ったのにまた外国に行ったのか?と問われれば、リストラされて再就職した先がブラック企業だったので1ヵ月で辞めたらその直後に病気に罹り、家から出られずメンタルがやられてたので「心にブーストをかける起爆剤が欲しい!」と思ったから、と説明できる。
 (人に移る病気じゃないから安心してね!)

 では何故ルーマニアなのか?というと理由は以下の通りで、
 ①誰も行かない変な国に行くのが好きだから
 ②ヨーロッパが好きだから(そして東欧に憧れがあるから
 ③ルーマニアのトランシルバニア地方に行ったら自慢できるんじゃね?と邪な考えが浮かんだから
 といった感じである。

 イラン旅行記を読んでくれた方なら①は分かっていただけるだろう。では②はどうか?

 普通「ヨーロッパ旅行に行ってくるね」と言われた時、思いつくのはドイツやフランス、イギリスなどの西欧か、イタリア・スペインなどの南欧、場合によってはフィンランドなど北欧が中心となってくるのではないだろうか。
 しかし、以前中欧に位置するハンガリーを旅した際、「俺が見たいヨーロッパってこれだよ!!」と言わんばかりに欧州欧州した街並みに息を飲んだものだ。

ハンガリーの首都ブダペストにて

 その時私は思った。「ひょっとして、日本人が思い描くヨーロッパってメジャー所には無いのでは?」と。
 むろん、ドイツやフランスにもおとぎ話のような美しい風景はある。しかし高度に経済成長し、また観光客が押し寄せるそこにロマンまでもがあるだろうか。私には疑問に思えてならない。

フランスはコルマールにて。確かに美しいが、観光客でいっぱいだ。

 そこでルーマニアである。もちろん、セガが2000年に発売したドリームキャスト用ゲームソフトのことではない。東欧の共和国ルーマニアである。
 メジャーじゃないどころか。あまりにもマイナー。皆名前は知ってるけど、何があるかは知らない。なんならお隣ブルガリアの方がみんな知っているだろう。そういう国を見ると行ってみたくなる、厄介な性質が私の中にはある。
 きっと観光客向けに整えられていない、押し寄せる観光客もいない、素朴なヨーロッパの風景を楽しむことができるのではないか。
 
 そして③に繋がってくる。ルーマニアにはトランシルバニア地方があるのだ。これも誰しも聞いたことがある言葉だが、ルーマニアの一地方を指し示す言葉だと知っている人は少ないのではないだろうか。トランシルバニアには何があるのか。私の好奇心が疼いた。

 だってトランシルバニアですよ。この響きに心ときめかない人がいるだろうか、いやいない(いる)。

 まあ長々と自論をぶったが、要するに私はへそ曲がりでつむじ曲がりなのでヨーロッパの辺境の国に行きたくなったというだけのことです。ハイ。

 皆様色々と仰りたいことはあるだろうが、行ってしまったものは仕方がない。せっかくなので「ルーマニアはこんなにいい所だよ!」というのを少しでもご紹介していきたい。

ルーマニアは、広い。

 さてルーマニアに行こうと思い立ち、期間は2週間と設定した。色々と情報を集めてみると、次の2つの点が判明した。
 ①首都ブカレストはあまり見どころが無く、ここに2週間いてもしょうがない。
 ②ルーマニアは思いのほか国土が広く、国内移動が結構大変。

 特に②について調べていくと色々と厄介なことが分かった。
 外務省のウェブサイトによるとルーマニアの国土面積は日本の本州とほぼ同じだという。そしてその形は所々に出っ張りがあるもののほぼ円形だ。

グーグルマップから引用。この形で国土面積は本州ほど。赤く囲ったのが首都ブカレスト。

 なーんだ大したことないじゃん、とお思いかもしれない。しかしルーマニアで様々な街を回ろうと思うと、国内線の飛行機網が全然発達していないことに愕然とさせられる。

 日本で例えてみよう。もしあなたが東京周辺にお住まいなら、羽田空港に来れば日本国内のほとんどの空港に飛行機が飛んでいるだろう。
 では仙台にお住まいだったらどうか?この場合でも、大阪や札幌、広島、沖縄など、主要な空港まで飛行機が飛んでいる。

 ところがルーマニアでは国内線は基本首都のブカレストからしか飛んでいない。
 
つまり、地方都市Aから地方都市Bに飛行機移動したい場合、わざわざ一度ブカレストに飛んで、乗り継いでBに向かわねばならないのだ。
 やってみると分かるが、1日に2回飛行機に乗るとそれだけで結構疲れる。ましてやそれを勝手の分からない外国でするのだから疲労は倍増だ。

 もちろん列車という選択肢もある。実際のところはどうしても飛行機でないと行けない区間以外は列車移動で対応した。だがルーマニアの長距離列車は異常に遅い
 これは国土が狭い割に高速鉄道が世界最高レベルに発達している日本に住んでいるが故の感想だろうが、日本で新幹線に乗れば1時間でたどり着けるような距離も、ルーマニアでは平気で3時間とか掛かる。意外と忘れがちだが、移動って結構疲れるのだ。移動にかかる時間が倍増すれば、疲労も倍増する

ルーマニアの長距離列車。どう見てもスピードが出る感じではない。

 つまりルーマニア各地を旅しようとすると、移動時間との戦いとなる。そしてその移動時間は疲労となって後々ボディブローのように効いてくる。しかも間の悪いことに、上述の通りこの頃私は疾病に罹患した直後であった為、最低レベルに体力が落ちていた。その事も相まって今回の旅は疲労との戦いとなった。
 これから書き記す旅行記を見て「ルーマニア行ってみたい!」となった奇特な方がいらっしゃれば、是非とも移動による疲労を甘く見ず、余裕を持ったスケジュール立案をお勧めしたい。

 さて前置きが長くなったが、いよいよルーマニアへの冒険を始めるとしよう。

地方都市ティミショアラから入国

 2023年11月末、私を乗せフランクフルト空港を出発したルフトハンザLH1470便は、ルーマニア西端にある地方都市ティミショアラ空港に向かおうとしていた。

再び地図。青いのがティミショアラだ。

 まるで成長していない・・・

 私のイラン旅行記初日編をご覧くださった方はこう思ったであろう。イランで散々「マイナー国に行くときは地方都市から入国しちゃダメ!首都から入ろう!」と警鐘を鳴らしていたにも関わらず、またしても地方都市からの入国という愚を犯したのである。

 いや、ちょっと落ち着いて、私の言い訳を聞いてほしい。
 ルーマニア旅行記をネットで漁ると、「ティミショアラは美しい町なので訪問オススメ!」という記事がわんさか出てくる。写真を見ると確かに美しそうだ。これは行くしかない。

グーグルストリートビューで見てみたティミショアラ。いい感じだ。

 しかし前述の通り、ルーマニア国内移動には困難が伴う。ティミショアラはその最たるもので、国の西端に位置するが故に他の主要な都市に向かうのに滅茶苦茶時間がかかる。なんと一番近い主要都市のクルジュ=ナポカまで列車なら8時間かかるという地獄っぷり
 つまり、ティミショアラは最初に行くか、最後に行くかしかないのだ。行って戻ってくる道は無い。

なんと一番近い主要都市まで列車で8時間かかる。他の街には直通列車は出ていない(多分)

 ここで2つのシナリオが浮かんだ。
 ①ティミショアラから入国し、クルジュ=ナポカまでは気合で移動する。その後トランシルバニア地方遊覧の旅を楽しむ。最後に首都ブカレストに到着して、そこから帰る。
 ②最初に首都ブカレストに入る。その後トランシルバニア地方を遊覧し、最後に頑張ってティミショアラに移動、ティミショアラから帰国する。

 だが結局のところ「ティミショアラから帰国する便」がフライトの接続の関係でうまく取れなかった為、①で行くより他無くなった。それ故、地方都市ティミショアラから入国せざるを得なかったのである。

 しかし私も前回の反省を生かし、事前に様々な準備を行った。ルーマニアはイランと違いSIMカードを事前入手できる国であるため、しっかりとSIMカードを購入しておいた。ヨーロッパは周遊SIMカードを買えば、乗り継ぎの国でも通信ができるので便利だ。

 上記は私が購入したSIMカード。アフィリエイトはしていないので安心してリンクからご購入ください。

 次に、乗り継ぎのフランクフルト空港の両替所でルーマニアの通貨である「レイ」をある程度確保しておいた。その日は土曜日だったのでティミショアラ空港の両替所がやっていないかもしれないし、そもそも小規模空港なので両替所なんて無いかもしれないからだ。
 イランでは現地通貨も無し、クレカも使えない状態で入国したから困ったのであって、お金があればとりあえず何とかなるだろう。マネーイズパワーである

写真は50レイ札。1500円くらいの価値。

 なお空港の両替所で換金したので死ぬほどレートが悪かったが、無一文で入国するよりはマシである。
 さあ出発だ。ヨーロッパ域内線特有の小型機に乗り込み、出発した。

ヨーロッパ域内線はA220とかE190とかがよく使われる。小さくて可愛い。

 またしても白人の集団の中に一人だけアジア人という憂き目に遭うが、ひるんではいられない。彼も人なり、我も人なり。

 1時間半ほどの短いフライトを終え、飛行機は無事着陸した。

降機。
ターミナルはすぐそこ。バスなんて必要無い。

まさか飛行機から降りて自分の足でターミナルまで歩くとは思わなかった。

 空港に入ると簡単な入国審査があり、その後すぐにターンテーブルのゾーンに出る。荷物を受け取って待合エリアに移動すると、そこにはしっかりと両替所があった。うーん、こっちで両替するべきだったかな?とも思ったがそれは結果論だろう。

コミッションゼロとも書いてる。多分こっちの方がレート良かっただろうなあ。

 ついでに書くと売店とATMもあったので、ちょっとした買い物もできるしクレジットカードからのキャッシングもできるだろう(ATMは使用者が多かったので流石に写真に収めるのは止めておいた)。

売店。SIMカードは売ってなさそう?聞いてみれば良かった。

 さてホテルまで移動だ。ここでありがたいのが、ルーマニアではUberでタクシーが呼べるのである

 私は海外旅行をするときにはよくUberを利用している。事前に料金が分かるからぼったくられないし、正規タクシーより安いし、行先はアプリで指定すればいいから説明する必要も無いし、なにより乗車記録が残る分普通のタクシーよりも安全だと考えているからだ。
 イランではUberに相当するSnapp!アプリを入手できなかったためタクシーを利用したが、Uberが使えるのならバンバン使っていきたい。

 Uberでタクシーを呼び、ホテルまで30分の道のりを乗車して約2,500円だった。イラン程ではないが、発展著しいヨーロッパの国としては破格の安さだ。

 そう、実は冒頭で大層な理由を述べたが、ルーマニアに来た大きな理由の一つが物価の安さにある。後述するが、安いと言っても「日本と大差無い」という程度ではある。だが賃金と物価が両方上がっている欧米の大国に行くとホテル1泊3万円とかが当たり前になっている。それと比較するとルーマニアでは1泊8,000円とか、「我々の常識の範疇」の金額で生活ができるのだ。

 …書いてて悲しくなってきた。今私が書いたことは、日本は世界第4位の経済規模を持つ国なのに、マイナー国であるルーマニア人と日本人の一人当たりの実質的な経済力が変わらないと言っているようなものだ。日本はただ人口が多いのでごまかせているだけだ。

 いやいや、これは旅行記だ。日本の未来を憂うのはどこか他所に任せよう。とにかく私はホテルに到着し、ひとまず休息の場所を得たのであった。

ホテルの廊下から見える風景。欧州って感じ。

散策しつつ、ルーマニアの言語を想う

 ホテルで荷をほどき、一段落着いた頃には外も暗くなっていた。疲れていたが、何か食べなくては。そう思って私は町に繰り出した。何か食べたい…できれば食べ慣れた物がいい。そう、そんな時は…

I'm lovin' it.

 そう、ルーマニアにはマクドナルドがあるのだ。
 これはでかい!イランでは決して味わえなかった喜びがそこにはある!しかも値段も日本と変わらない!
 バンズがちょっと硬めかな?という感じはあったが、基本的には日本でよく食べるハンバーガーの味である。

 せっかくマイナー国に来たのにマクドナルドかよ!現地の料理食えよ!というお叱りもあろうと思う。だが疲れているときに食べ慣れないものを食べると確実に体にはダメージが残る。
 それに、日本を離れて2日しか経っておらず、時差も大きく残っている。こういう時は、どこでも食べられるマクドナルドが体に優しいのだ。ルーマニア料理は後日味わうこととしよう。

 ところでハンバーガーを平らげてホテルに帰る道すがら、私はルーマニア語について考えていた。マクドナルド店内の案内や、道端の標識に目が留まったのである。

In pregatireはIn progress、FinalizataはFinalizedに似ている。
これはどう見ても"with exception person with handicap"の変形であるはずだ。

 たった二つの例しか無いが、ルーマニア語は語形や文法が英語にかなり似ているのではないか?と推定できた。そう言えば、ルーマニア語を学んでルーマニアに移り住み作家になった日本人もいると聞く。
 もちろん一国の言語をマスターするのは容易なことではないが、それでもルーマニア語は覚えやすい部類なのではないかという気がした。まあだからと言って学ぶ気はさすがに無いが。

 そして、これも今後の記事で触れるつもりだが、ルーマニアの英語通用度はかなり高い。2週間の旅行を通して英語が通じなかったのは、個人でやってるローカルスーパーのおじさんと、クリスマスマーケットに出店しているお婆ちゃんの2人だけだった。

 これは驚異的なことで、極東ロシアのウラジオストクを旅行した時なんか、カフェのおばちゃん、ケーキを指さしての「This, One」すら理解してくれなかった。
 かつての宗主国(という言い方は語弊があるが)と比べて圧倒的に英語力が高い。この点には大いに助けられた。その為私はルーマニア語のこんにちはすら覚えないで2週間過ごせてしまった
 (さすがに挨拶くらいは覚えていかないと現地の方に失礼な気もするので、みんなはこうならないように気を付けようね!)

 観光立国を意識しているのか、ルーマニア語が英語に近いために学習が容易なのかは分からなかったが、旅行者にとって大変ありがたい国だという事は間違いなく言えると思う。

 こうしてルーマニアの言語に思いを馳せながら、ホテルに帰った私は明日からの観光に備えて大人しく初日の就寝をしたのであった。

 さて長くなってきたので今回はこの辺で区切ろうと思う。あまり風景の写真も貼れなかったので、次回から本格的にルーマニアの良い所をご紹介できればと思う。

クリスマスマーケットの準備が進む中央広場。次回の記事も頑張ります。

 次回、ティミショアラ探検編。

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