『日向坂で会いましょう』を見た午前、受話器をためらう手
今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。
確かに今日、わたしは月曜日の午前中を生き延びたのだ。会社に勤めてもう10年は経つというのに、こんな気分をふたたび味わうことになるとは。昼ごはんのご飯粒が立ってる、瑞々しく光り輝いている、気がする。なんて美味いんだ。
事の発端は前日深夜放送『日向坂で会いましょう』の【忘れかけてた二十歳の集いをちょっくらやっておきましょう!】企画。ふだんこの番組は月曜日の昼休憩の楽しみにしているのだが、今日はめずらしく早起きできたので出勤前にひと笑いして元気をもらおうと目論んだ。
山下葉留花、平尾帆夏、髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世の2003年生まれの5名のこれまでをホームビデオの映像などで振り返ってきたのだが、番組後半では慣例的に成人とされる年齢に達したということで大人としてのマナーを身に着けたいという話題が持ち上がった。
ということで、毛利蘭とおなじ前髪でお馴染みのマナー講師・平林都さんをゲストに迎え、会社での電話対応を実践していったのだが、すこしだけ見たことを後悔した。画面の中でメンバーが叱られているシーンに共感してしまい、当たり前を改めて聞かれた懐疑心が、わたしの日常が「これで正しい」ではなく「これで間違いない」で成り立ってることを思い知らせてくる。
仕事前にちょっくら元気がもらいたかっただけなんです。なのに、この仕打ちはあんまりじゃないですか。
だがその時、わたしはオードリーに救われた。未熟な生徒を厳しく叱る平林先生のそばで若林が添えた「何してんねん!」という腰ぎんちゃくな一言がゲームをガラッと変えてしまった。あの瞬間、マナー講座は漫才へと姿を変えた。
一般的にみれば20歳(21歳になろうとしているが)であれば電話対応が完璧にできなくて当然。時に失礼クリエイターとも揶揄されるマナー講師を相手取って、つまり負け戦を強いられているわけなのだが、あの一言によって失礼は”ボケ”に、叱責は”ツッコミ”に役割分担させられた。そうなってしまえば、マナーバトルは失礼こいたもん勝ちのゲームとなる。
番組終盤、畳みかけるように山下葉留花、山口陽世は失礼に失礼をこきまくって最高のショーをみせてくれた。仕事前のひと笑いと思ってたのに、気がつけば腹を抱えて大笑いしていた。仕事のある日にこれをみれたことは幸運だった。
再生を終えて、暗くなった画面に映し出されたのは、画面越しで注意された気分になった月曜日朝のわたし1人。平林先生は語気が強いけれど注意と訂正を簡潔な言葉で同時に行っているところはさすが教育者だなと感じるところだ。これは決して叱られたくなくて媚びてるわけではない。本当だ、信じてくれ。
朝活でマナー講座を受けたわたしに恐いものはなかった。午前中の仕事で何件か電話を受けたのだが、背筋が伸びた声が出ていたにちがいない。ありがとう、平林先生。ありがとう、『日向坂で会いましょう』。
おしまい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?