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W杯を終えて日本代表を言語化してみる。

 2017年11月、スウェーデンに負けロシア大会の出場を逃したイタリア代表GKブッフォンの言葉。

イタリア代表は特別な場所だ。ミラニスタもインテリスタもユヴェンティーノもロマニスタもナポリターノもラツィアーレも関係ない。みんなが1つになれた。これは代表にしかない魔法なんだ。俺たちイタリア人は強情で頑固だ。諦めが悪い。一度どん底におちても必ず這い上がってみせるよ。

 普段セリエAで激しい争いをしているクラブチームのファンが、1つのチームを共に応援するのはイタリア代表しかない。みんなが1つになれる場所として、ブッフォンは特別な思いを込めて「魔法」と言いました。

 今回の日本代表にはどんなものを感じたでしょうか。

クラブの監督は育てる人。代表監督は選ぶ人。

 よく言われている話ですが、クラブチームの監督と代表監督は、仕事が違います。クラブ監督の仕事は、今いる選手を育てチームを作っていくこと。例えばサンフレッチェ広島で言えば、27人の登録選手の中で、城福監督はやりくりして、今Jリーグ首位にいます。それは現在世界最高の監督と言われるマンチェスターシティのグアルディオラであっても変わりません。

 代表監督は違います。代表チームは対象となる選手は日本中、世界中にいます。その中で、W杯本戦で戦う23名を選ぶのが代表監督の大きな仕事です。昔岡田監督が19歳の香川真司を代表に抜擢したとき、彼は当時J1のクラブではなく、J2のセレッソ大阪でした。カテゴリーは関係ない。代表監督が選べば代表選手なんです。

自分ごととして、繋がっているかどうか。

 日本代表は監督に選ばれればなれる。だからこそ、日本中の人があの選手を試せ!この選手を呼んでくれ!と声を出せる。自分の街のヒーローが、大舞台に立つ。自分が普段見ていたあの選手が、各国の代表と戦う。自分の代わりに自分の夢を背負って。

このピッチの上、円陣を組んで、今、散っていった日本代表は、私たちにとって「彼ら」ではありません。これは、私たちそのものです。

と、山本浩アナウンサーは1997年のジョホールバルで語っていたように、他人ごとではなく自分ごとして、繋がっているかどうかが日本代表を見ていたいと思う大きな理由ではないでしょうか。サポーターが伴走者として、チームを応援し続けられる一つの要因は、「俺たちの代表」だからではないでしょうか。

あいつらの代表。

 コミュニケーション能力というあまりに漠然としたハリル解任理由。後任がハリルの仕事をサポートする立場だった技術委員長。W杯選手が選ばれなかった選手にたいして敬意のない発信をし続けたこと。今回の代表は納得しにくいネガティブな要因があまりに多すぎました。

 「俺たちの代表」と感じる時間が少ないW杯でした。純粋に楽しめない日本戦はこんなに寂しいものかと肌で感じ、俺たちの代表だと思っていたものは実は「あの人たちのもの」だったようにさえ思えました。大会後の組織体制は変わりません。むしろ、森保新監督の就任経緯から考えるに、より強大になっているように感じます。

 来年はアジアカップ、コパアメリカと大きな国際大会が続きます。北京世代の夢に付き合った形で、未来への投資が非常に少なかった今大会。結果はよかった。ただ、結果以外のすべてを捨てたツケは、未来の世代が払わなければならないのは、残念でならない。

 冒頭のブッフォンの言葉を借りれば、私たちが1つになる魔法の場所、日本代表。現状の追認と「日本は組織的でパスサッカーに向いている」という根拠のない甘い夢想に浸ることなく、継続的な競技の発展を願う。圧倒的な速度で進歩する世界のサッカーに追いつき、追い抜くためには、後退している場合ではないのだから。









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