「わかりやすい授業」の罠
さて、ジャンルをかなり変えて、みなさんが受けたことなる「授業」について考えたいと思います。
みなさんは、どんな授業が「良い授業」だと思いますか?
少し考えてみてください。
そうたずねると、多くの方が「わかりやすい授業!」と答えるのではないでしょうか?
もちろん、「この授業が正解です!」というのは存在しないので、その考え方もあると思います。
しかし、私は「わかりやすい授業」は良い授業だとは思いません。
その理由を説明したいと思います。
(ただし、ここでは一般的に大学進学を目指す、「自称進学校〜進学校」と呼ばれる高校での授業を対象としています)
まず、「わかりやすい授業」となる(なってしまう)理由を一言で言い表すと、
「授業内容のレベルが低い」です。
中学の基礎知識がある生徒たちであれば、レベルが低ければ(表面的な知識だけをなぞる授業)、聞いた時に大抵のことは理解できます。
しかし、少しレベルの高い内容まで踏み込むと、ほとんどの生徒が理解できなくなります。
すると、とたんに「わかりにくい授業」となります。
例をあげると、
物理で「運動方程式はma=Fで表せる」みたいな表面上の話は誰でも理解できます。
しかし、これに関連して「ベクトル」「スカラー」の話をすると、途端にわからなくなる人が続出します。
高校の勉強内容は、そんなに簡単なものではありません。
実はかなり高度な内容が要求されるうえ、それを理解しないと、少し難しい大学の入試問題は解けません。
表面上をなぞっただけの「わかりやすく感じる」授業を聞いた生徒は「わかった気になっている」だけで、実は本質を理解していないことが多々あります。
当然、少しひねった問題は解けません。
YoutubeでTr◯ の短い授業が上がっていますが、誰でも理解できます。
だって、レベルが低いし必要最低限の知識量しか抑えていないですから。
これは「わかりやすい授業」です。
しかし、上述した理由によって、「大学進学を目指す高校」では望ましい授業ではないと思います。
表面をなぞるのではなく、少し高度に踏み込んだ、本質を伝える授業をしないと、今後に活きません。
しかし「わかりやすい授業」を目指していると、なかなかたどり着きません。
真に生徒の学力を伸ばすためには、たとえその場で全部理解できなくても、「授業後や家で授業内容を復習して、考えて、本質を理解する」ことが大切です。
「本質を理解する」種さえ撒いておけば、たとえ授業中に生徒が完全に理解できなくても、その後復習したときに必ず定着します。
本質をつく授業はある程度レベルが高いので、予習をせずに受けた生徒の授業理解度は40 %といったところでしょうか。
しかし、それで良いと思います。あとで自分で考えて、本質を理解していく。この過程があって初めて「わかる」のですから。
以上、「わかりやすい授業の罠」でした〜〜!
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