らくがき王国⑧
ピーターとジョナサンの二人は王宮を出て、一本線が示す方角へ歩きだしました。
一本線は二人が少しでも道に沿っていないとすぐに方角を修正してくれました。
一本線が示す先には、深い森がありました。二人は少し心配になりましたが、外の世界に行くためには仕方がないとおもい、森に足を踏み入れました。
まだ、昼だというのに森は静かでじめじめとしていました。二人はあたりをキョロキョロと見渡しながら歩いています。
すると、急に森に濃い霧が立ちこめました。あっという間にあたりは白くなり、前が見えないほどになりました。
「おい、進めるのか。もうどこにいるかもわからないぞ」
ジョナサンが焦ったようにいいました。
「一本線はこの先を示している。もしかしたら、この霧の先に外の世界があるかもしれない」
ピーターはワクワクしていました。
二人は、一本線を信じて先に進むことにしました。ゆっくりゆっくりと前だけをみて歩きました。
そして、かすかな光が濃い霧の中に見えてきたのです。
光の先には、どこまでも続く草原が広がっていました。
風が二人を出迎えるように体を通り抜けていきました。もう濃い霧はどこにもありませんでした。
「これが、外の世界……」
ピーターがいいました。
「きっとそうだよな……。広いんだな、世界って……」
ジョナサンがいいました。
ピーターとジョナサンは、広がる草原をただただ見つめていたのでした。