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「来るぜ、東北」 今年のゴールデンウィークはおうちで東北を楽しみませんか
兵庫県に生まれ育った私にとって、東北という地はなかなか行く機会のない場所だった。
大学生になってバイクを買い、行動範囲が広がった時にもそうだった。
高速道路で四国や中国地方まで足を伸ばすことはある。
フェリーを使って北海道や九州に行ったりはすることもある。
それでも東北・・・となると、なかなか用事を見つけられず、立ち入ることはなかった。
「行くぜ、東北」という響きには、「そうだ 京都行こう」より覚悟を感じる。
ふと思いついて行ける距離感の京都に比べると、東北は行くために強い動機がないと行けない。
そんな東北にも社会人8年目にして、ついに行く必要がでてきた。
東京→大阪→福岡と転勤してきた私に、突如東北の宮城県仙台市で働くように内示が発令されたのである。
2月の寒い中、福岡から2日間かけて移動する引越のトラックの中で観葉植物は寒さのために枯れた。
人生で初めて灯油ストーブなしでは寒くて生きていけない場所にやってきてしまった。
ただ、カルチャーショックは大きかったものの、寿司はうまいし日本酒もうまい。
ずんだ餅は美味しいし、ずんだシェイクという謎の甘い飲み物まで生み出されている。
東北3大まつりの1つである七夕まつりの迫力はすごいし、
近隣の山をバイクで走れば素晴らしい温泉まである。
あき竹城そっくりの旅館の女将に教えてもらった蔵王キツネ村にはこれでもかというほどたくさんの愛らしい(そして野性味も残った)キツネたちが出迎えてくれた。(入り口で出迎えてくれたのはキングコングだったけど)
気がつけば東北の素晴らしさにガッチリ心掴まれて、関西国際空港からLCC(格安航空)でまた遊びにいきたいなーと思っていた。
でも、新型コロナウイルスの流行下である今、『行くぜ、東北』とはとても言えない状況になってしまった。
『美味しい牛タンが食べたいなー』なんて不要不急の気持ちで行けば、あのキツネ村のキングコングに飛行機ごとはたき落とされても文句は言えない。
私は泣く泣く東北へ行くのを諦めた。
そんな東北で、知り合いがあるプロジェクトを始めた。
それが今日紹介する「#tohokuru」というプロジェクトだ。
あなたのおうちに東北が来る「#tohokuru」プロジェクト
年に一回のこけしコンクールなどが全部中止になっている。
#tohokuru (トホクル)はそんな東北の窮状から生まれたサービスだ。
年に一回、こけしコンクールが開催されているというのすら、不勉強な私には初耳情報だったけれど、そのインパクトの大きさは更に予想以上だった。
「東北三大祭り」と呼ばれる青森ねぶた・仙台七夕まつり・竿燈まつり(秋田)をはじめ、百貨店での催事はのきなみ中止。
伝統工芸品やクラフト品、地域食や伝統食などの食品は家族経営や小規模運営。
そのほとんどの販売機会はイベントでの対面販売だそうで、こけしコンクールが開催されないだけで、こけしを作っている人の販売機会は大きく失われてしまう。
つくり手の方々からは、商品がお客さんに渡る機会が減ってしまったという相談を受け、株式会社金入さんが運営する東北スタンダードマーケットは、イベント中止により行き場のなくなった品々を届けるプロジェクトとして「#tohokuru / トホクル」を立ち上げた。
取り扱っている商品は工芸品から食品まで実に様々。
東北の物産展に来たようでみているだけでも発見が多くて楽しい。
百貨店の営業再開の先行きも見えない中、これだけたくさんの東北の名品を見て買えて、産地の皆さんに売上として貢献できるようなシステムを短時間で立ち上げた東北スタンダードマーケットさんはすごいと思う。
#tohokuru (トホクル)というネーミングには、いくつかの想いが込められている。
これまでは「行く」ものだった東北が、今年はあなたのおうちに「来る」ということ。
いま、東北スタンダードマーケットさんが産地の皆さんのためにできることは、「東北をしっかりと売ること」だという強い意志。
そして、事態が終息したら、また「東北に来るきっかけにしてほしい」という願い。
今回、私はこのプロジェクトのネーミングを軽く相談されて、東北が来るというコンセプトをきいて、反射的にこの名前をつぶやいて正式採用されてしまったので、利益関係もなにもないけど自分ごとのように感じられている。
でも、それを抜きにしても、また遊びに行く時に東北が元気でいてくれた方が嬉しいという気持ちは当たり前のようにある。
東北への引っ越しの際に枯れてしまった観葉植物も、半年の時間をかけて新しい葉が生えてきたことを思いだしながら、このtohokuruというプロジェクトが太陽のように東北をあたためてくれることを願っている。
東北スタンダードマーケットさんもnoteをされているので、もっと詳細な内容は下記noteでも読んでみてほしい。
第一弾となる4月27日〜5月10日までの受付期間には、東北の作り手78社・380品目の商品の予約販売が受け付けられている。
「行くぜ、東北」と言いたかったゴールデンウィークだけど、ぜひサイトを覗いてもらうことで、その気持ちを満足させてもらえたらと思う。