自分と向き合う/面接練習
工業高校の主な就職先は、「指定校」という形が多いです。
静岡県では、3倍枠ルールという名の下に、各学校に推薦依頼が届き、高校生は、その指定校として依頼をしてくれた企業一覧から会社選びをすることがほとんどです。
公開求人との大きな違いは、学校からの推薦があるということで、競争相手が少なく、実質合格しやすいメリットがあります。
また、工業や商業などの学科の特性を十分に生かすことができるので、いわゆる大手企業に入る!なんかも、このパターンが多いです。
そして、この就職活動を指導していく中で大事にしていることは、面接練習と志望動機の添削です。
面接練習
先に志望動機では?と思われるかもしれないですけど、面接練習の話からさせてください。
ボクの面接練習は、原則1時間のアポを生徒に撮ってもらいます。
多くの先生方は15分とかで終わってしまうことも多いです。
しかし、たった15分ではできないことが多いはず。
どうせ受かるし。
結局は挨拶だよ!!
とかは、とりあえず置いておきます。
まず、自己紹介をしてもらったりします。
「自己紹介をしてください」
で自分の考えを言葉で伝えること(大前提だと思うんですけど)は、結構できない生徒が多いです。
自己分析なんていうこともありますけど、
自分がどういう人物で何を大切にしているのか、どういう人間なのかということをわかっていない場合が多い
です。
自己肯定感云々の話にも繋がるかもしれないですけど、ここをしっかりと促して聞いてあげることが大事だと考えています。
掘り下げる
なんて言い方をする人も多いと思うんですけど、掘り下げるとはまた違った感覚なんですよね。
あくまでも本人の中にある自己に気づいてもらって、それを表現してもらうように聞くことに徹するという感じです。
なんで就職を希望したんですか?
これで「行動原理」を考えてもらいます。
漠然としている理由を持っている子がほとんどじゃないですかね?
なんで就職?
を一般的な回答しかできなかったり、誰かの受け売りだったり、それが悪いというわけではなく、自分の考え(理念)を持っていなければ、いくら就職しても努力していくことは難しいと思います。
今後のビジョンを教えてください。
「先を見ようとしてるかどうか」という意識を持って欲しいです。
・親に迷惑かけないようになりたい
・役職が欲しい
なんでもいいんです。でも、言葉にできない子はいます。
そういう子には、
どういう働き方をしていきたいですか?
という質問をしていきます。
企業が高校生に望んでいることは、成績ではない!とかいろいろ言われますが、やはり、
仕事に対する誠意、リスペクトすること
が、大事であると思うんです。
わからないこともたくさんあると思うんですけど、精一杯頑張ります!
ということだけではない、自分にしかない「想い」=「自己(概念)」に気づけたら、もっと主体的に進路を選べるのでは?
矛盾したことは言わないということもよく指導します。
例えば、
長所は小さなことをコツコツ頑張れることです。短所は、好きなことにしか目が向かないことです。でもこの短所は長所にもなります....。
ん?短所が長所になる?笑
それは、短所なのでは?笑
言葉遊びや概念はとりあえず置いておき。
短所は○○というのであれば、その短所については対策は?例えば?
ということを説明できることが大事だと思います。
何か課題があるとしたらどういう対処をしていくのか、その先にどのような完成像をイメージしているのか。
そういう考える力が大事なのでは。
こう言った面接練習をしていると、1時間なんて余裕で終わってしまいますし。
時には時間を取って、生徒自身に経験を書き起こしてもらい、一緒にみてあげると、生徒も主観的にも客観的にも自分をみれたりします。
人材系の仕事をしている友人にこんなことを言われたことがあります。
すぐ受かっちゃうなら、面接練習でよく考えさせたら?
人材系(派遣どか)は、毎日何人も面接をするそうですが、
→面接とは?自分を見つめ直す時間
→考えさせる
という考えを大事にしているそうです。
今まで印象に残ったこととかから長所短所を見つけたり、服装とかも誠意があれば、自ずと良いはずで、それがその人の誠意にも繋がるし....。と。
ただ身嗜み!
ということでなく、そこにどんな目的や意図、意識を持って接する(面接練習をする)かを、教員が明確に持っている必要があると思っています。
面接練習をすること回数をもって良いこととせず。
生徒のキャリアの一部を担っていることを意識していくことで、このような視点が出てくるのではないかと思います。
生徒が高校生として目の前で生活していることも、彼らのキャリアの一部であることを意識し、進路を考えて欲しいなと感じています。