久々のDCユニバース本腰感と俺たちのマイケル・キートンが楽しみな「ザ・フラッシュ」見た
The Flash/2023年製作の映画
鑑賞:2023.6.20 記事公開:2023.6.21
監督:アンディ・ムスキエティ
脚本:クリスティーナ・ホドソン
予告編ですでにサプライズのマイケル・キートン。これ以上のサプライズがあるならネタバレされのは辛いので、公開週末明けに劇場へ。
ザック・スナイダーDCはほぼほぼ見てるはず。ちょっとヒーローものの爽快感があんまりないザックDCだけど、超人演出とか映画そのものは結構好き。HBOジャスティスリーグも超長いけど気にならないほど面白かった。
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印象:いろんな要素がてんこ盛りだけど、すんなり見れる奇跡
いいいいという評判がほとばしっているザ・フラッシュ。あんまり期待値をあげ過ぎないようにしてたけど、期待していた部分とは別なところで面白かった。
冒頭の病院救出シーンとか、他のスーパーな人達と比べてギミックが無いにも関わらずあれだけ面白く出来るのがすごい。キャラクターの見せ方はとても良かった。あれだけバリーバリーなバリー尽くしの映画だったのにまた彼の映画を見たくなる。
ただ走るだけなのに、テンションが上がる見せ方をできるのはすごい。要所要所に入る面白要素もちゃんと面白かった。フラッシュのテーマがロックなのもテンションが上がる。
ココがイイ
お楽しみのマイケル・バットマンはソビエト施設の地下の格闘シーンが、ノーランやマット・リーヴスとまた違っていい感じ。ティム・バートン版のマトリックス前のボクシング・マーシャルアーツスタイルみたいなアクションは当時すごいカッコよかったと思ったことを思い出した。音楽もいちいちあのテーマが流れて得体の知れない高揚感が込み上がってくる。
スーパーウーマンはそれほど思い入れはなかったけど、シルエットが綺麗で女優さんも綺麗で良かった。
ワンダーウーマンは、1984であの曲がスカッと聞けなかったから今作は出し惜しみなしかと期待したらワンシーンだからか。
お話は家族ものの時点でグッとくる。エズラさんもいいけど、お母さんもいい。子役も。ということはやっぱり監督の演出がよかったんだと思う。前半部にしろ、スーパーのシーンにしろ。
ロン毛スーパーマンなどは、ギャグとして面白いけどあんまり素直に笑えなかった。役者はあの人でいいからせめて髪を切ってあげてもいいのに最後のあの人は面白かったけど、こうなってくるとどこがギャグでどこがシリアスか境目がどうなんだ。ベン・アフバットマンに思い入れはないけど、アルフレッドはジェレミー・アイアンズのままでいてほしい。ロバート・パティンソンはどうなったとかジョーカーはって想像しちゃうからめんどくさいね。クリストファー・リーヴは以降うまく活躍できなったことが思い出されて嬉しさよりもちょっと寂しさの方が強かった。
気になったポイント
映画としては、ありかなしかで言えば無しだったのは少し残念。マイケル・キートンが出てきて嬉しいのは、過去作の制作者たちが「またマイケル・キートンのバットマン姿が見れて嬉しい」と思える価値のある作品を作っていたからで、悪意は無いと思うけど過去作の功績を自分の手柄にしているような感じを受けてしまう。それは今作だけじゃなく、スパイダーマンなどなど同様の引っ掛かりは常にあったり。それだけなら、まあ引っ掛かり程度だけど、結局別アースの彼らの努力や頑張り、人類の為に犠牲になっても戦うという気持ちがバリーが母の死を受け入れる為のダシにしか過ぎないことの寂しさ。あれだけ大掛かりな出来事を起こしながら「どうにもならないこともあるんだよ」と放り投げてしまうのがヒーローの物語としていいのかしら。映画の最初と最後を比べて前に進んだ部分が父の無実がはらされたという結果(+自分を見て自分を見つめ直し、ちょっと反省して人に心を開く“かもしれない”バリー君)が、被害も死者も膨大な地球侵略という出来事とバランスが悪くなんだかな感。のような部分。パーツパーツは面白かったので仕方ないかとも思う。
あと、またゾッド将軍?何回目?とは思うけど、そこは飽きてるだけで映画として無しな理由の一つではない。そもそもなかったことになってるしマイケル・シャノンが当て馬だったのはある意味最高の贅沢か。
見終わって:なんだかんだと面白かった
監督はアンディ・ムスキエティさんで「IT」の人だった。映画はあんまり数は撮ってないみたいだけど、それであのクオリティは凄い。
終わってみればそれほどサプライズは無し。マルチバースもそれほどワクワクは感じなかった。そもそもタイムスリップものだったからかしら。
今作は何よりキャラクターが良かった。フラッシュは良く知らないけど、キャラクターを造形したザック・スナイダー監督のアイデアとエズラ・ミラーの魅力が面白さの90%くらいを占めてると思う。色々あるけど、圧倒的に引きこまれる魅力爆発なエズラ・ミラーさんには是非役者を続けていただきたい。
公開まで長くていろいろあったけど、無事公開できて単純に良かった。
そう言えば、今作あたりはザックDCの最後の名残りの一つになるはずで、そこの部分はちょっと寂しい。けど、「The Suicide Squad」「Peacemaker」が何よりも楽しかった身としてはガンDCは待ち遠しい。けど、仕事が増えてガンの作品数が減るのは嫌だな。
そういえば:THE FLASHとは関係ないけど
フラッシュが過去幾度となく映像化されてきたことを考えて思ったことが一つ。ヒーロー映画でリブートを幾度も繰り返すタイトルはいくつもあってそんなものかと思ってたけど、マーベルが同一キャラクターでのシリーズ化を成し遂げていることを考えると、アベンジャーズのようにヒーローを纏めてその中でキャラクターを相対化したことがマーベルの成功の一つなのかとふと考えた。
単体でのヒーロー映画はヒーロー像として「清廉潔白、正直者で勇敢で弱者を守り悪と戦う」要素が共通で必要。フラッシュにしろスーパーマンにしろ。ヒーロー達映画の場合は、共通要素は了承済みとできるから、わがままな天才エンジニアとか脳筋神様まで各キャラクターの掘り下げができ各ヒーローが個性を獲得していったのかなと思った。ソーとか一作目はかっこよくて強い神様だったけど、登場ごとにだんだん頭の悪さとダメ人間さが進行していってるように見えるし、そこまで掘り下げる余裕を製作陣が積み重ねて獲得してきた結果だとも思う。掘り下げれることによって魅力が増すサイクルが、うまく機能したんじゃないだろうか。