もうこれで最後の心踊る俺たちの冒険活劇。ありがとうインディ「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」見た
Indiana Jones and the Dial of Destiny/2023年製作の映画
鑑賞:2023.7.7 記事公開:2023.7.19
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、デヴィッド・コープ、ジェームズ・マンゴールド
ついに終わってしまう。
公開後のプロモーションは出来るだけみないようにしてたけど、それで終わりが引き延ばされるわけでも無く。IMAX版は見逃したうないので劇場へ。
過去作は2ヶ月くらいかけて見直済。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ネタバレアリ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
インディ・ジョーンズの新作が見れるというだけでテンションは上がるけど、寂しさもひとしお。予告編からは、これで最後感が溢れ出してる。ハリソン・フォードもスピルバーグも歳をとったという想いと同時に自分が老いている事実がひしひしと差し迫ってくる恐怖に冷静ではいられない。
映画はインディ・ジョーンズフォーマットに乗っ取った過去作に配慮した作りだったと思う。相手はナチスだしカーアクションで並列に走る車に当然のように飛び移る。遺跡ではちゃんと虫にたかられたりと、古臭かろうとマナーをなぞってくれてるところは素直にありがたい。
過去作と印象が違うのは、表現がリアル路線で残虐性みたいなのが今までよりも見えてきて部分。今までのインディも007もワイスピも冷静に考えると結構な事故が起こってて、主人公の通った後は死体の山。配偶者が死んだり後遺症を追ったりで生活や人生が壊され孤児や未亡人が大量に発生してるはずだけど、まあそれはそれという方向性の表現である。が今作は犠牲者を犠牲者として捉えるぞという心意気のようなものを感じた。撃ち殺された同僚の大学の職員とか過去作ではあんな見せ方はしなかったような。ダイビング船長(というかアントニオ・バンデラス!)もあんまりセリフはなかったが死体を運び出される様子とかちょっと生々しかった。今作の悪役手下が、本当に悪い嫌なやつ設定というのあるかもしれない。科学者フォラーをただの悪い奴にしないために、手下がその分悪を徹底しなければいけなかったのかも。
2023年の映画で人間を相手にある程度のリアリズムを保ちながら、勧善懲悪をやる場合の一つの方法として興味深い。
老体で一生懸命アクションしてたら痛々しいなと警戒してたけど、あまりそんな感じはなかった。良かった。ハリソン・フォードはハリソン・フォードとしてやはり良かった。年を取るごとに魅力的になっていく他にはいない役者だ。
マッツは今回インテリな悪役。佇まいもすこぶる良いし、出番も多いのでいろんなマッツを堪能できる。あの軍隊だから褒めづらいけど軍服もキマッててカッコよかった。ローグ・ワンのお父さん役も良かったけど、悪役もやはりハマる。ありがとうジェームズ・マンゴールド監督、ありがとうキャスティング担当とキャスティングの決定権を持っている人たち。
ヒロインのキャラクターは、人を騙したり嘘をついたりと一筋縄ではいかない造形でとても良かった。役者は予告からまさかとは思ってたけど、やぱっりフリーバッグの人でした。(今調べたら超順調にキャリアを積んでてびっくり。才色兼備とはまさに)何故かこの人には魅力も嫌悪も感じないので、いまいちノレ無くて残念だった。ただ、どこで何をしても楽しそうで、機転を効かせて状況を切り開いて行く魅力的なキャタクターで良かった。けど、それってインディの魅力じゃ無い?と考えると活躍の半分はヘレナが持っていってたことになるのかな。
2作目の歌姫でただただ悲鳴を上げるだけのキャラクターもそれはそれで面白かったけど、さすがに今のご時世で足を引っ張るだけのヒロインというのは問題視する人が多そう。だけど、今作のヘレナは外国で地元の権力者に結婚詐欺したり闇オークションを手配開催したりとかなり過剰。主体的で活動的な女性像に対する皮肉かな?とまで勘繰ってしまう。大学教授なのに軍人と殴り合って打ち勝つ人が主人公の映画だからそんなもんちゃそんなもんかも。
ヨボヨボ感とか狭い部屋に住んでるとか見たくなかった気もするけど、それはそれで諦めがついていいかも。CGやなんかで過去作なみの活躍をさせたところで、それはそれで虚しいかもしれない。
冒頭の過去列車シーンは音楽もハマってて結構良かった。あれは過去作のファンサービスだろうか。
純粋に冒険活劇という言葉がこれほど似合う作品もなかなかない。作品コンセプト、俳優、音楽が渾然一体となって作り出されたエンターテイメント映画の醍醐味が体現された作品群だったと思う。
ありがとうございました。