ユダヤ人の受難のパワー(なぜロスチャイルド家が誕生したのか?)①
ユダヤの宿命
“諸王の王、諸銀行の王”と呼ばれたロスチャイルド家の突出した繁栄が、一族の強靭なる意思と忍耐強さによるものであることについては疑いの余地はない。
だがそれは、虐げられたユダヤ人の底知れない屈辱、そこから這い上がろうとする強烈な願望と表裏のものであったことも確かなことである。
その背景にはヨーロッパの長い歴史の中で醸成されたユダヤ人の怨念があり、その事を知らずしてロスチャイルド一族の行動を理解することは難しいだろう。
ユダヤ人を代表する立場にあったロスチャイルド一家の歴史は、近現代のヨーロッパにおけるユダヤ人に対する迫害の歴史と密接に関係しているのである。
ロスチャイルド一族は執拗な迫害に屈したことはなく、ユダヤ人であることを誇りと思いこそすれ、放棄しようとしたことなどただの一度もない。
反ユダヤ勢力とは持てる力を全て使って正面から戦ってきたと言って良いでしょう。
今日のユダヤ人の地位、さらにはユダヤ人の国イスラエルにしても、ロスチャイルド一族の貢献がなかったら存在しなかったのかもしれません。
※
ユダヤとしての宿命と、それゆえの行動をロスチャイルド家初代、マイヤー・アムシェル(1743〜1812)の場合からみてみると、彼が誕生した18世紀中頃、フランクフルトに限らずヨーロッパのユダヤ人は姓も無く、まともな人間扱いされていなかった。
流浪の民ユダヤ人は市民としての基本的な権利を認められず、社会の下等人種の地位に貶められていた。
いわゆる賎民であった。
まず土地の所有が許されていなかった。
そして居住地域を制限され、ゲットーと呼ばれるユダヤ人のための特別な場所に住むことを強要されていた(押し込められていた)。
行動の自由も制限されており、フランクフルトを流れるマイン川を渡るにもユダヤ人ということで渡河料を取られ、一般の市街地に出れば嘲りの言葉を投げつけられた。
市民でないからには職業組合である各種のギルドにも入れず、洋服の仕立てとか靴職人といった商売を営むこともできない。
いわゆる生業はそれぞれの国の真っ当な市民のものであって、ユダヤ人がその領域をおかすことは許されなかった。
そこでユダヤ人は経済のスキマに行商人といった商売をみつけてかろうじて生きていたが、商いをするにしても例えば絹織物を扱ってはならないといった様々な制限が加えられていたのだ。
数少ないユダヤ人の職業の中で最も良く知られているのは金貸し業だが、これも当時のキリスト教会が、倫理にもとる卑しい職業として信者に禁じていた職業だったためである。
・・つづく・・
【参考文献】『ロスチャイルド家』横山三四郎(講談社現代新書)
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