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変化を たのしむ
ザァザァ…ザァザァ…
私の自宅の目の前には、澄んだ小川が流れている。
二、三箇所に小さな滝があるため、水の落ちるザァザァという響く音が途切れることはない。
滝のないところは、コプコポ……コポポポと静かな水音を立てて流れていく。
春の小川は、優しい音色に溢れ、水温も冬の時より温度が上がり、手を入れると気持ちが良い。
冬の水温は、驚くほど冷たくなり、手を入れれば何本もの針に刺された痛みのようになる。
川の音、流れというのは、人生の旋律によく似ている。
穏やかな姿もあれば、荒々しい姿を現すこともある。その日その日で、微妙な違いが川にも存在する。
荒々しく流れたあとの川は、今までにあった石の配置や、多くの砂の状態を変えさせ、全く異なる形に変えてしまうことがある。
私はこの変化に富む、川という生き物が好きだ。
私事ではあるが、この川のある山奥の家に辿り着くまで、大きな変化、変化の連続であった。
時折、人生というのは川なのだ、と、大きな石に腰を下ろして、じっと水の流れを見渡しながら、そのようなことを考えている。
今年はどんな姿を見せてくれるのか。
私たち人間も、“変わる” ということを恐れず、変化を一つのたのしみとしながら、川の流れのように、悠々たる歩みで進んでいきたい。
その先には必ず、素晴らしい景色が待っているに違いない。
(終)