「広島の人に『広島焼き』って言ったら怒られるんですよね?」と義姉は言った
大阪のお好み焼き屋さんで待っている間、そんな言葉を思い出した。広島県人(オレオレ)にとってお好み焼きは薄い生地の上にキャベツ、豚肉、イカやエビ、そばかうどんを乗せ、さらに小麦粉生地をかけ、卵に上にひっくり返すものを指す。大阪のものは最初から具材すべてを混ぜて焼くスタイル。焼き方の違いこそあれ、これはこれでうまい。
ところでその「広島焼き」という表現は一体どこから来たのだろう。「大阪焼き」というのはきいたことがない。
昨年来日時に、私と息子二人、義兄の3人で新橋にある広島のお好み焼き屋さんに行った。前菜で「とんぺい焼き」(これは広島発祥ではない)を4人で食べたあと、それぞれのモダン焼きが出てきた。
本場のモダン焼きは、私以外の3人の目には巨大に映ったようだった。それをペロリと平らげる私を見て倅二人は驚愕した。
思えば子供の頃から、フライパン1枚分のモダン焼きを夕食前のおやつとして完食していた。お腹が空いていたときは「そばダブル」というそば二玉を入れて食べていた。広島県人ならそれが当たり前だった。
高校のとき、学校近くにあるお好み焼き屋さんが溜まり場だった。その店で先輩たちが大食い競争をしていて、私の知っている華奢で可愛い小柄な女子の先輩がモダン焼き2枚食べた話を思い出した。
それも「広島県人あるある」だった。「親父はお好み焼き食べさせたらすごい」とせがれたちは妙なところに感服しているのだった。
そんな広島県人に「広島焼き」は「言うたらいけんワードNo. 1」なので、よう覚えとってつかあさい。