ハタ坊とハタ嬢
おそ松くんのハタ坊は頭に旗を立てて「ハタ坊だじょー」とのたまうの人だが、これから話すのは違うのだ。
以前近所に住んでいた一人暮らしの中年男性は、旗が大好きだった。彼は毎日服を着替えるように、旗を立て替えていた。
旗への愛情が溢れすぎているので、われわれは敬愛を込めて「ニュージャージーのハタ坊」と彼を呼んでいた。
一般的なアメリカ人はアメリカ国旗が大好きで、あちこちの家の玄関前にさしている。したがって玄関脇の柱には必ずと言っていいほど「旗刺し棒」(そう呼ぶのか知らないが)が立ててある。
それがない場合は、至るところで購入できるので自分で立てるのだ。
私がまだ幼かった頃は祝日には必ず日本国旗を玄関横に立てていた。その役目がやりたくて、朝目覚めるとすぐに飛んでいったものだ。
30年近くアメリカに住んでいるので確かなことはわからないが、今は日の丸🇯🇵を持っている家庭すら希少なのではなかろうか。
「今日のハタ坊の旗、いいね」と密かに楽しんでいたわが夫婦の歓びを知る由もないハタ坊は、数年前に家を売りどこかへ引っ越してしまった。
すっかり彼のことを忘れてしまっていた昨年末、隣りの家に“Merry Christmas!”の旗が立てられているのを見た。
あれ?あの家はクリスチャンではないはずだが・・・
おそらく高校生の娘がたてたものと思われる。異教徒であっても高校生くらいだとクリスマスを祝いたいのだろう。日本人がそうであるように。
そして明けて2024年。Happy New Yearの旗が風になびいていた。
「ハタ坊みたいに旗が好きなんだね」と妻が言った。
ハタ嬢の誕生である😙