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移民の国アメリカ②: 英語できなくてもできる仕事

移民にとって、英語でのコミュニケーション能力に欠けていてもできる仕事がある。

それは建築や飲食関係などの専門職だ。

以前紹介したように、NJ州ニューアーク市には全米最大のポルトガル・ブラジル系移民の街がある。市内アイアンバウンド地区はポルトガル語がまかり通り、英語ができなくても生活ができる。

80年代以降急速に増えたブラジル系移民は、手先が器用な人材が豊富なのか大工さんなど建築関係に多い。

わが家の改築のときコントラクターを入札で決めたのだが、たまたまブラジル人だった。

コントラクターとは現場監督のような職種で、彼が予算管理をして電気関係は彼、水道配管工事はコイツ、というふうに仕事を割り振る。

親方がブラジル人なので建築軍団は全員ブラジル人だった。

親方が英語ができるので現場で働くポルトガル語オンリー職人でもOKだった。何か気になることがあれば親方に話せば良い。

親方の英語力がAランクとすれば(訛りは強いが意思疎通は問題ない)、ちょっと危いがたまに世間話くらいできる職人はBランク、まったく英語通じないのがCと勝手にランク分けした。

元巨人の槇原投手に似ているので「マキハラくん」と読んでいた大工職人はB。彼とはブラジルの話をよくした。

親方が「ここ片付けろ」と命令するとせっせと掃除しまくる職人さんを「掃除くん」と呼んでいたが、彼はまったく英語ができない。

ある時掃除くんが私に「ほにゃらら」と話しかけてきた。ポルトガル語らしいがこっちはまったくわからない。

手で何かを飲むフリをしてるので「水がほしいのかな?」と思いボトル水を渡したら喜んで飲んでいた。

・・・Waterくらい覚えろよ英語で😂

またあるときBとCの中間くらいの職人さんが「ちょっと見てくれ」というので現場を見に行った。

以前私が気に入らないところを親方経由で直させた経験を知っている彼は「おくさんこれ見てオッケー言った。だからオッケー?」と身振り手振りで決死のプレゼンしてきた。

幸いにも妻がそれで納得したようだったのでOKしたが、私に先にききに来ていたら「ダメぢゃ。やり直しぢゃ」と言ったかもしれない。

日系ブラジル人職人が来たこともある。西坂くんという名前の彼は右腕に「西坂」のタトゥーを彫っていた。そのまんまやないかい😅

C国から来た移民は中華レストランで身分を隠して不法滞在しているので、搾取されながら長時間労働を強いられている。

わずかな現金を貯めて自分の店を持つのが彼らの夢だ。

英語ができないことくらいで尻込みなどしていられないのだ。

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