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陳建一麻婆豆腐店で甦るニューヨークの想い出
素直な感想は、予想以上においしかったこと。サイドメニューはあるものの、麻婆豆腐だけで勝負する意気込みも素晴らしい。
1995年に渡米した私にとって、当時のニューヨークの思い出を語るとき「料理の鉄人」を外すことはできない。Food Networkというチャンネルが水を得た魚のように世間を跋扈し、その中心的存在が「鉄人」だった。
アメリカ人キャストによる「アメリカ版鉄人」も制作された。日本語版には英語のナレーションがつけられていたが、現場レポーターがアナウンサー福井さんを呼ぶ声はそのままで「フクイサン」がちょっとした流行語になった。
日本版がニューヨークロケで撮影された回もあった。スタジアムの観客は、イントロの映像で鹿賀丈史がピーマンをかじるシーンが映し出されるとき、大人から子供まで全員がピーマンかじって真似していた。
3代目和の鉄人・森本氏は派手な演出がアメリカ人に受け人気爆発、ニューヨークの有名レストラン「ノブ」から独立し、自分の店を持った。
信じられないかもしれないが、週末に友人や親戚などを招いて行う「料理の鉄人ごっこ」が流行した。料理人(もちろん素人)二人がゲストの前でテーマ食材を料理し、審査員が採点するゲームだ。
ちょうどその頃、日本行き飛行機に乗るためセキュリティを通っているときに、前の女性が置いたスカーフがベルトコンベイヤーの隙間に吸い込まれ、紛失する事件があった。
その女性が、岸朝子さんだった。英語が苦手な岸さんは、一生懸命身振り手振りを交えて「私のスカーフがなくなった」と主張していたので、我々が手助けした。結局何も出てこなかったが、岸さんはご丁寧に謝礼してくださった。
岸さん、毎週「鉄人」楽しませていただき、おいしゅうございました。
今年急逝された陳建一さん、あなたが天に召されても、このおいしい麻婆豆腐は永久に不滅です(長嶋風に)。ありがとうございました。
陳建一さんのご冥福をお祈りします。