夢で会える彼
「僕らに足りたいのはいつだってアルコールじゃなくて愛情なんだけどな」
最後に恋をしたのはいつだろう
小中高大、それなりに恋愛をしてきたつもりだけど
夢に出てくるのはいつだって中学校の時好きだった彼であって
大学に入ってからも何回か会ったけど、変わったようで変わってないようで、やっぱりちょっと変わってて
当たり前のことだけどそれがちょっと寂しかったりするような
私がずっと恋してるのはあの日あの時あの教室で一緒に授業を受けている彼
もし彼に彼女ができて、結婚して、子どもをもってパパになったとしても、
もし私に彼氏ができて、結婚して、子どもをもってママになったとしても、
きっとずっとあの日の彼に恋し続けるのだろう。
夢の中で聞かれたの
「俺と初めて会った日、何の本読んでたか覚えてる?」
私は答えた
「うわぁなんだっけ、、ハッ…」
「ズバリ?」
「伊坂幸太郎の…」
『そう、伊坂幸太郎の「伊坂幸太郎」』
そして彼は続ける
「それを読んでた俺は全然ユゥイのこと知らないんだって思ったよ」
初めて会った日に読んでた本にたまたま私と同じ名前の登場人物がいたんだと思う。
きっとこれは彼渾身のボケだろう。初めて会った日なんだからこっちのユイを知らないのは当たり前じゃん!てツッコまれたかったんだろう。
そんな感じで普通の顔して飄々とボケてくる。
何となくわかってたけどそんなボケをスルーして私は聞いてみた
それ以前に私の存在は知ってた?
きっと聞きたすぎたのだろう。
声に出していた。
つまり寝言だ。
私は起きた。
その声で。
疑問を夢の中に置いてきたまま
時々ふと思う、今の彼じゃなく中学の時の彼が好きなのは何なのかと。
きっと理想像を作ってしまったのだろう。
もちろん過去の人だから3次元ではなく、だからといって2次元とも言えない、芸能人みたいな2.5次元でもないこの虚像は一体どこに存在してるんだろうか。
どこに行っても会えないから夢で会うしかない。
また会う時まで、さようなら
さてといい夢でも見れたことだし、図書館行こうっと
※この話は半分本当で半分フィクションです