顧客が気になっていることをあまり綺麗に解決できない時はどうする?
プリセールスとしてお客様と商談すると、お客様から「御社製品でこういうことってできますか」「既存製品ではここに困っているのですが御社ソリューションで解決できますか」と質問されるケースがよくあると思います。特に、お客様の現場担当者に初めてお会いした時のヒアリングでこのような話になったことを想定してみてください。
ここでまず、自社製品の得意分野だったらどうするんでしたっけ?
待ってましたとばかりに「もちろん解決できますよ、と言いますのは…」と製品の説明を早口で始めるのは人間のさがですが、これはプロダクトセリングになってしまいますね。
それよりも、せっかくなのでお客様の課題をもっと掘り下げ、課題の影響範囲や重要性などを改めて実感していただいてから、そのソリューションとして満を持して製品導入によるベネフィットを訴求すべきですね。プロダクトセリングについては以前別記事でも書きましたが、顧客の質問が起点だとしても同様なのです。
さて、ここからが今回の本題です。お客様の質問や懸念されているポイントが、自社製品の得意分野ではなく、うまく解決できない内容だったらどうするのが良いでしょうか?あるいは、ある条件可では自社機能でうまいこと解決できるけど、別の条件だとかなり込み入った設定をしないと解決できない、というような場合はどうしたら良いでしょう。
詳しい状況のヒアリングを行う
詳しい状況のヒアリングを行わない
もう一つ、自社製品で解決できるかどうかはどう答えると良いでしょうか。
a. もちろん解決できると言う
b. 実はうまく解決できないと言う
c. 解決できるかどうか言わない
私は、初回のヒアリングでしたら2の「詳しい状況のヒアリングを行わない」をおすすめします。また、解決できるかどうかについては、可能ならcの「解決できるかどうか言わない」、言う必要がある場合、解決できないならbの「解決できない」、やや込み入っていても解決できるならaの「解決できると言う」、を選びます。ただし、どう解決できるかについては詳しく話さず、今後詳細をお伺いした上でご提案させていただきますね、などと伝えます。
大前提として、プリセールスが発言において顧客からの信頼を失ってはおしまいなので、できないことをできると嘘をつくのは絶対駄目です。ですが、詳しい状況のヒアリングもせずに、次の話題に移ろうとするのはなぜでしょうか。
それは「商談のアーリーステージでは、顧客のPainのうち、自社ソリューションの適用で大きな効果の出る箇所に多くの時間を使うべき」という理由によるものです。大きな効果が出そうな箇所に時間を使うために、あまり効果が出ないかもしれない箇所に時間を使うのを避ける、という意味合いです。
仮に、顧客が話し好きの方で、自社のソリューションの分野とはそもそも全然関係ない、顧客自身にとっての課題感をお話されたとします。だとすると、不快感を与えないように話は合わせるかもしれませんが、そこを深く掘り下げたりはしませんよね。それと近いものだと思ってください。
商談のアーリーステージでは、まずは自社ソリューションによりお客様の何らかの課題が解決しそうなことをお客様に感じていただくことが非常に重要です。また、一般的に、自社ソリューションで解決できそうな企業の課題というのは幾つかありますし、企業の課題も潜在的なもの含め幾つかあると思います。
ですので、得意ではないかもしれない部分の課題をおっしゃっていたとしたら、例えば「できますよ」的に軽く答えて詳細については触れず、早めに他の課題のヒアリングに移り、その中で、自社製品の得意分野、解決できそうな課題が出てきたら、その掘り下げに時間を使うべきなのです。
反対に、もし苦手かもしれない分野について詳しく状況をお聞きしてしまうと、「こういう感じなのですが解決できますか」と聞かれる展開になり、仮にうまく解決できない条件だったとすると、かなりお客様の心証を損ねます。その後他の項目をヒアリングした結果、全体としては一定のメリットをもたらせそうだとしても、「でもうまく解決できない部分もあるみたいだしな…。」と、お客様として他の業務の優先度が上がってしまいねません。客観的にその判断が正しい場合だけでなく、人間心理的に、まだ購買意欲が上がっていないフェーズでうまく解決できない部分があった、ということには気を取られてしまいがちだ、ということです。
なので、まだヒアリングできていない分野があればまずは他の内容含めヒアリングを進め、大きな効果が出せそうな得意分野があれば、そこに時間を使うことで、購買意欲を高めて行くのがおすすめとなります。
もちろん、商談が進む中で苦手かもしれない内容についてもしっかり聞き取り、対応方針を誠実に決めていく必要があります。ただ、あくまでそういった話をするのは、ソリューション導入の価値をおおむね感じていただいてから、という順番が好ましいということです。
「これできますか」的な質問を受けた時に、営業担当がプリセールスに熱い視線を送ったり、「○○さんどうですか」とプリセールスに発言を促したりすることもあると思いますので、この件については、営業担当とも足並みを揃えておくことがおすすめです。つまり、この部分は得意なので掘り下げるけど、この部分はちょっとリスクなのであまり深追いしないつもりですよ、ということを営業担当にもあらかじめ伝えておく、ということですね。
今回の記事は以上です。もしためになった部分があれば、ぜひいいねなどお願いします。他の記事はこちらからご参照ください。
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