第三十四回 捻りモデルから考える運動能力を開発する方法/Part5 (2022年6月11日)
前回は「受験生のポーズ」を例に、悪い姿勢を長時間続けることで猫背や巻肩が生じるという仮説についてお話しました。引き続きこの仮説が正しいと仮定して、巻肩を治す方向に働くと思われる運動をご紹介します。
私が言う巻肩は、ざっくりとした言い方ですが猪首とかBuffalo humpといわれ、一般に首が短くなり猫背をともなう歪みを指してます。
今回は、このBuffalo humpを治す方法についてです。
まずは巻肩という歪みが生じるという現象について考えてみましょう。
具体的に「受験生のポーズ」で猫背・巻肩になる場合を見てみると、肩関節を中心に背骨だけでなくあばら全体を巻き上げるように歪みを発生させたものと見えます。(下図赤丸は、おおよその肩関節の位置を示します)
このような動作が巻肩の原因であると仮定して、この反対の方向に縮まった筋肉を伸ばすこのような運動・ポーズを考えてみましょう。
上図の様に短く歪んだ首や背骨は、上方向にけん引したくなりますが、上ではなく背骨を下方向に伸ばすのが良いと考えます。
下図は、壁に手をついて立ち背骨を下方向に伸ばす運動の例です。
壁に手をついているように見えるでしょうか。
壁から離れて立つほど、背骨とあばらを強く矯正すると考えられます。
この動作を横からもう少し詳しく見てみると、回転する間接である肩関節を中心に、あばらと背骨を下方向に回転させるように伸ばすと「受験生のポーズ」の反対の方向に矯正するものであることがわかります。
上下方向のストレッチというよりも、肩関節を中心としたローテーションであるため、壁から少し離れた方が矯正する働きが強く作用するわけで強くなりすぎないように注意が必要です。上体をそらした時に、アバラ上部は上方に下部は下方に、アバラ全体をアコーディオンを引っ張るようにストレッチする感覚を覚えるかもしれません。そうなると姿勢はかなり改善しているのではないかと思います。
ところで肩関節は、回転はしても上には伸びる関節ではないので、上下に強く動かそうとすると肩が外れる可能性もあると思います。注意が必要です。
(*これらの運動を試す場合は、必ずトレーナーの指示に従ってください。何か起こっても私は何の補償もできません。)
また背中下部の筋肉が強く収縮するので、カウンターポーズとして併せてこの動作を組み合わせた方が良いと思います。
このイラストは、前回紹介したYOGAアナトミーからのものです。
実際にやってみると、あばらと背骨の歪みは前回説明した筋肉の収縮だけで説明できず、あばらや背骨の関節も固くなっているように感じます。
あばら全体と背骨を矯正するときは、文字通り骨が軋みます。
しかし上半身の歪みについては、第三十二回で紹介したような成長前の骨盤に働きかけるものではないこともあり、毎日続けていくと、中年以降であってもひどい肩こりから解放される程度は改善が望めるようです。
この様な本も出版されているので、参考までに紹介します。
佐々木朗希もゲレーロ選手も一分間だけ伸ばしてみると、より投球が安定するかもしれません。
最近は、大谷選手もBuffalo hump気味に見えるので、1分間だけ伸ばして(肩を中心に回転させて)みましょう。投打で上半身がより安定するかもしれません。
背骨を下方向に伸ばすというコンセプトでは、ぶら下がり健康器や肋木にぶら下がるのも有効と思いますが、肩関節を中心としたローテーションよりも上下へのストレッチが強いので、巻肩の矯正よりも予防に有効でしょう。
子供達は鉄棒か肋木に、毎日30秒ほどぶら下がってみましょう。
現在の体育やスポーツの分野では、個々人の体の違いによる運動能力の違いについての考察だけでなく、生活習慣により生じる体の歪みについての考察がないと思います。最もこれは新しい学問分野で、これから開拓していくものかもしれませんが。
成長期に学校の平たい机に座らせて、長時間悪い姿勢でいさせるなどは、身体に歪みを生む最たるものでしょう。
猫背と肩こりが国民病になるわけで、私に言わせれば人災です。
余談ですが長年こうした視点で人を観察していると、単なる妄想かもしれませんが、近眼を発症している人の多くは巻肩であること、成長期に発症し成長が終わると止まること、などから両者に関連があるのではないかとも思います。
50年程前には、近眼の原因は「近くばかり見ていることで、水晶体のピントを合わせる毛様体筋が固く収縮したままになり、遠くにピントを合わせられなくなるから」と言われていました。しかしいつの間にか近眼の原因は「何らかの原因で眼球が前後に延びることで眼軸が長くなりピントが合わなくなるから」に変わってきたようです。
これは老眼と近眼のメカニズムがそれぞれ別であると考えれば、納得のいく説明です。それでは巻肩のような歪み、首や背骨に生じる歪みが眼軸に影響を与える可能性はあるのでしょうか?
視神経が脳につながっていることを考えれば、直接的な関係があるようには見えないというのが正直なところです。もし関連があるとなれば大発見でしょう。
余談はともかく、学校や塾における長時間の「受験生のポーズ」から生じる子供達の体の歪みは防いであげたいものです。
そもそも体の柔らかい成長期に、学校や塾で長時間「受験生のポーズ」を強要することになる受験というシステムは、満点からの減点をどれだけ少なくなるかという「やる気をそぐ」システムでもあり、教育と言うよりもはや拷問の域に達していると思います。
せめてそれで良いことになればいいのですが、受験を経て無事に難関大学を卒業し就職しても、もはや会社は従業員のものではないなどと言われ、結果多くの労力を自分の為でなく外国人株主に捧げ、財務省の間違った経済政策による重税にあえぎ、狭いアパートに住んで小さいEVに乗り、満員電車で通勤し、おまけに近視や巻肩・肩こりにも悩まされなければならない、そんな未来しか考えられなくなれば、子供でなくても何もかもぶん投げたくなります。
日本のより良い未来ををつくるのは大人の責任だということで、少々強引ですが、敬愛する武田邦彦先生が参政党から立候補されるとのことでもあり、武田先生の街頭演説のリンクを紹介しましょう。
武田先生は、きっと日本の将来の為に有益な活動をしてくれる事でしょう。
参政党は大手マスコミに完全に無視されていますが、何かマスコミにとって都合の悪いことがあるのでしょうか。そんな話があれば、是非聞きたいものです。武田先生の話を聞いてみましょう。
与野党ともに既存政治家と、フェイクニュースで世論誘導するマスメディアにおいては、そろそろ人を入れ替える必要があると思います。
「十年に一度はこんな事が起きるのさ。悪い血を入れ替えるんだ。」
次回は、NPBの打撃について書いてみようかなどと、ぼんやり考えています。
(追記 2022年6月30日)
参院選真っ盛りですが、武田先生と高校生のやりとりが面白かったのでリンクを貼っておきます。確かに0.04%まで下がった大気中のCO2がなくなってしまっては、地球上の生物は絶滅してしまいますね。
(追記 2022年7月26日)
これは良い参政党の批判動画だと思います。「授権法」は確かに怖い。注意して見てないといけませんね。
参政党を支持しないワケを解説するから、もう質問しないで下さい。