あなたはわたし(9)【ナツキの記憶】
お店は、まるで記憶と違いました。
広かったらテラス席は半分以下。テーブルのピッチも狭く、ランチタイムは満員電車のようです。
どうしたんだ・・・。
記憶とのあまりの違いに、立ち尽くしていました。
振り返ると、メイもびっくりしています。
突然、目の前のテーブルのお客様が立ち上がりました。
席が空いたのです。
チャンス!
でも・・・・。
違う、ここじゃない。
振り返り、メイに違うところにしようと提案します。
メイも一も二もなく頷きました。
メイも同じ気持ちのようです。
二人で歩き出しながら、僕はもうお店を決めていました。
さっき見た、お寿司屋さん。
あそこしかない。
そう!今日はお寿司だ!
それは、食欲からの決意でしたが・・・。
でも、そのお寿司が、
お寿司屋さんこそが、
新たな世界の「ゲート」だと、
その時の僕にはまるで気がつきもしませんでした。
久々のお寿司に心をときめかせ、暖簾をくぐる僕、ナツキ。
ツインレイの世界に突然飛び込むまで、
あと30分でした。