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赤と青のガウン

エッセイを読む率はかなり高い。作家さん、女優さん、料理家さんとそれぞれの視点から書かれたエッセイは驚きあり、共感ありそして、1話がそれほど長くないので、ガッツリと時間が取れなくても読めるところも良いところ。

この本の著者は日本のプリンセス、彬子女王。オックスフォード大学への留学記になる。ヒゲの殿下と呼ばれた三笠宮様のご長女。お父様もオックスフォード大学への留学経験があり、そのせいか、ご自身もそれを当然だとお考えだったとのこと。しかし実際に行くとなると、さまざまな壁がありそれを乗り越えての留学。そして最初は修士課程のつもりであったが、彬子様の学習の内容から先生が、なぜ博士に進まないのか?との意見で留学期間を延長して博士号を取られる期間までのエッセイになっている。

普通に留学して博士号を取るだけでも大変なことだが、著者は日本でも数名しかいない、皇族の方。
日本にいるときは側衛が警護についている。そうした生活が当たり前というところからして違う。ただし、EUは滞在が2週間以上だとつかないとのこと。これも不思議に思うが、これは地域的に王子、王女の位を持つ人が多数いるからだろうか?また、家の鍵を持ったことがない、切符を買ったことがない、チェックインの手続きをしたことがない、など必ず周りの人が行うことで経験がないとのこと。それが留学となると全てご自身でされた時のお話をエッセイにされている。パスポートが発行されないため、小さな空港では担当者の対応にもいろいろあったこと、日本ではあり得ない交通事情に絡めて、これで何かあった時、こんなニュースタイトルで報道されるのは嫌だな、といったふうに堅苦しなく、20代の感性で感じられたことがエッセイとして書かれており、とても読みやすかった。

日本国民でもなく、苗字も持たない、それを当然のようにして、ご自身が周りとは違うことを理解されており、皇室に属することの意味と義務を高く持たれていることは読んでいてハッとさせられる。

エッセイだからこそ感じられる、彬子女王のお人柄と感性に読む手が止まらなかった。惜しむらくは、文庫本で読んだこと。単行本では紙の質などこだわっての発行だったことがあとがきに記されている。どんなものだったのか気になって仕方がない。

この本ののちに、京都について書かれた本が出ているそうなのでそちらもぜひ読んでみようと思う。


記述に際して不遜な表現があるかもしれませんが、ご容赦ください。

#読書  

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らんさぶ
街歩きがさらに楽しくなるものがあるといいな