あしながおじさん
ジーン・ウェブスターの作品。ちゃんと読んだことはなくとも、名前を知らない人は少ないのでは?
昔読んだ記憶があるけれど、それって、原文に忠実に訳された物なのか、面白いところだけを抽出して読みやすくされた物なのかがわからずに読んでいるので、ちゃんと「読んだことがあります」と言える物なのかいつも、心許なく思う。
あらすじについては、シンデレラストーリーと言われることがあるけれど、この表現ってあっているんですかね?同じ文脈で言うと、源氏物語の若紫もシンデレラストーリー?
こうした時代背景を盛り込んだ作品は、アメリカにおける、宗教観や、その時代の経済状況などが窺い知れる。著者がニューヨークにいたことから舞台も東海岸側だと想像するが、女性が受ける教育も時代が1900年初頭であればまだまだ、一部のそう言う境遇の人のみだったろう。主人公がいた孤児院も規律が厳しかった描写があり、週末には教会に行き説教を受けるところなどから、プロテスタント系が強いことが感じられる。
一方、全文が、ジュディからの手紙の形で綴られているのが、今でいうブログに、自由に、何があったか、どう感じたかが書かれているのと同じような感覚で読める。本では一人に対して書いているが、ブログでは逆に、フォローしたクリエーターの記載を日々追ってゆく。それは手紙を読みながら主人公の生活を、成長を追いかけてゆくのに似ている。
話として起承転結もあり、ある意味叙述トリックのような展開もお話としてとても面白い。複雑な話でなくとも、主人公の成長、飽きないように文体や言い回しに工夫する書き口、(アメリカ人であればきっと)日々の暮らしの記憶にある郷愁、そうそう、と寄り添える心の動きなど、名作と呼ばれるだけある作品なんだと改めて思った。
ちなみに、「続あしながおじさん」があるけれど、こちらはどんな話か全く知らない・・
探してみよう。
P.S.
これを投稿した後に、 続あしながおじさん を翻訳されている方を見つけました(すごい・・・)。投稿が1年前から始まっているようですが、すでに全文終わっているのか、そもそも全文訳されるつもりなのか・・・。
「初回」と書いてあるページがいきなり気になるスタート。
これ、続けて読むのはどうすれば良いのかな・・・
ジーン・ウェブスター「Dear Enemy」ペンギンブックスp.135~137★初回|柿田川 朝(かきたがわ あさ) (note.com)