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嘘つきアーニャの真っ赤な真実
すっかりブームの米原万里さんの本。小学生の頃に通ったプラハのソビエト学校の同級生に数十年ぶりに会いに行くお話。もうこの時点でなかなかに個性的ですが、通っていた同級生も、さまざまな国の出身。そして皆子供ながらに祖国への想いをもっている
一点の曇りもない空を写して真っ青な海が水平線の彼方まで続いている。波飛沫は、洗い立てのナプキンのように真っ白。マリ、あなたに見せてあげたいわ
子供ながらに熱烈なセリフだ。これに対して数学ができない友人に向かって先生のセリフもすごい。
あーあ、リッツァ、あなたは本当に、ピタゴラスやユークリッドを産んだギリシャ民族の末裔なの?!
ルーマニアの特権階級にいたアーニャは友人としてとても大好きであったにも関わらず、自らの境遇には意図的に見ないようにしている
丸い栗色の瞳をさらに大きく見開いてまっすぐ私の目を見つめるアーニャは、誠実そのものという風情だった
ユーゴスラビアの高官の女ヤースナとは、お互いに惹かれるものがあって、友達になる。そんな彼女がマリの帰国の際に書いてくれたメッセージがこれ。
愛しいマリ、私と別れてから、マリにはいろいろな友達ができると思う。私より大切な友達ができたら、私のことは忘れてもいいのよ。でも、そうでなかったら、時には私のことを思い出してね。
あれから数十年後に探し当てた時の世界は当時と全く違うものとなり、そしてその中で生きているそれぞれも異なる境遇だが、かつて同じ場所で机を並べた彼女たちは、それだからこそ理解し合えるところと、それゆえにと思う気持ちが混在している。
社会主義を目指し、共産主義に傾倒して行った人たちとその家族。今となっては歴史と呼ばれるその時々の判断の結果を理解し、その概要をちゃんと理解しないと彼女たちの苦悩と気持ちは理解できないことだと思った。
リッツァの夢見た青空、嘘つきアーニャの真っ赤な真実、白い都のヤスミンカ。この色で構成された国旗はいくつかあるが、三人が共通する学校であり、それぞれの社会体制などに大きく影響を及ぼしたロシアと連想するのが順当か。
#読書 #米原万里 #嘘つきアーニャの真っ赤な真実 #ロシア
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