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Photo by
b_mary
旅するクリームソーダ
昭和の時代からある喫茶店、今風にいえば純喫茶のメニューで思い浮かぶのは、コーヒーではなく、ナポリタンとクリームソーダ。プリンアラモードも候補になるが、1番ではないかな。
自分の記憶にあるクリームソーダはいつもみどり色。シュワシュワというオノマトペはクリームソーダのためにあると思ってしまうほどピッタリ。
少し背があり、裾広がりのガラスコップに、存在をアピールする不透明さが「少し」残る氷が入り、コップからはみ出すように盛られた真っ白なアイスは必ず海から登る朝日の様。そして必ず添えられる、真っ赤な枝付きさくらんぼは軌跡を残す隕石なのかも。
必ずついてくるあのスプーン。普通のスプーンだとクリームをすくうときっとソーダをこぼしてしまう。クリームを崩さないように端からそっと入れたストローで、クリームをいつ食べるか思案しながら、ソーダの高さを下げてゆく。思いの外大きな氷だと、クリームが座礁してしまう。こうなると、さながら災害救助のように食べることになってしまう。
そんな描写がわかる人は、きっとどこかでクリームソーダを飲んだことがある人。今の人たちはこうした体験を何で思い浮かべるのだろう。ファーストフードのフライドポテトをシャカシャカする時?Lサイズのピザをこぼさないように食べるとき?なんかどれも違う気がする・・・・
風景写真にワンポイントとしてお気に入りのキーホルダーを入れて撮るに似て、ワンポイントにクリームソーダを入れる。考えてみれば色シロップを変えれば、どんなに色にもできるのだから、その風景に合わせるのは撮る人のセンス次第。なんなら、無色のシロップを使えばまさに、風景をその中に溶けこませることもできる。そこに気がついたところが著者のセンスの良さだと思いました。
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