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探偵は教室にいない
第28回鮎川哲也賞受賞作のミステリー小説。
メインは中学生の女子2名男子2名に対して幼馴染の探偵役の合わせて5名で話が進行する。殺人や、血が出るようなシーンはなく、日常の謎解き。日常といっても、謎を解く彼は学校に行っていないので、日常の線引きは難しいが。中学生設定なので派手な恋愛にするのは、現実はどうあれ、読者は引きそう。(リアル世代からすると、この程度なわけない、と言うかもしれないけれど)
学園もののミステリーでも高校が舞台になると暴力的な事件も起こることがるけれど、どちらかというと「氷菓」のように、気になることを一人が解くという設定。
この設定のミステリーは、なかなかに難しいと思う。学生でも大学生ともなれば金銭的にも行動範囲にしても交友範囲にしてもかなり広がるが、中学生となると、常識的な範囲が理論的な制約になる。一般家庭の中学生が、突然、これまでのお年玉を貯めてあるから、そのお金でブラジルまで家出しました、などという展開はあり得ない。なので、その制約の中でどう違いを出すかにかかってくる。とすれば、出てくる人のあの時期特有の気持ちや、考え方をそれぞれに持たせることじゃないだろうか。
派手なトリックがあるのではなく、パッと見えない答えに、小さなヒントを見つけ、つなぎ合わせてたどり着く、そこにスイーツを入れてきたり、手を口に当てて考え込むなどのエッセンスが盛り込まれている。
「そうだな、こういうのって、もらった時の情景もプレゼントの一部だと思うんだよ。何年か後に包装紙を見て、ああ、あの日海を見に行って、誰も酒なんか飲めないのにウイスキーの試飲場に潜り込んで、ナッツ食べながら誕生日祝ってもらったなぁ、なんて思い出せたら、いいよな」
最近の14歳になったばかりの男子はこんなセリフを言うんだ・・・
続編もででいるようなので、そちらも今度読んでみよう。
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