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パテックフィリップの歴史②(パテック氏時計屋を始めてみた編)
こんにちは!
前回に引き続きパテックフィリップ創業者
アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックについてお話ししていこうと思います!
今回はポーランドから亡命し、フランスを経由してパテックフィリップ創業の地スイス・ジュネーブにて時計事業をはじめた経緯についてのお話です。(今回はちょっと内容が濃いです)
苦難の先の自由
スイスのジュネーブへと移住してきたパテック氏はそこで当時のヨーロッパの中で独自な発展を遂げていたスイスの時計産業を目にします。
この時代、すでに懐中時計が普及していたにも関わらず、なぜ数ある仕事の中で、しかも画家となる夢を捨ててまで時計産業に参入していったのでしょうか?
それはスイスの地で時計産業を育んでいったとある集団の歴史が関わっているのではないかと私は思います。 その集団とは、16世紀前半にヨーロッパで起きた宗教改革によってフランスからスイスへ亡命したキリスト教の新教徒(ユグノー)達です。
私たち日本人には宗教関連の話は少し縁遠い話で私自身もキリスト教信者ではないので、言葉足らずのところなどあるかと思いますが、できるだけ伝わるように噛み砕いてお話ししていきますのでよろしくお願いします!
16世紀中期から末期まで続くカトリック派とプロテスタント派(ユグノー)の戦争(ユグノー戦争)がフランスで起き、その戦争から逃れて、スイスへ亡命したユグノー達の中に時計職人がいて、年を追うごとにその数は増えていき、その多くは宗教改革の指導者カルヴァンがジュネーブを統治していたため、ジュネーブに集まっていました。
結果1601年には時計職人たちの組合ができるまでになり、スイスで時計産業が発展していくきっかけとなりました。
その後もキリスト教内で対立が起きてユグノー達がスイスや他の国に亡命していったわけですが、なぜそんなに時計職人が多く、みんなして時計作りをしていたのか、というと…
そもそも時計、ないし時間は教会が鐘を鳴らして時間を教えるものだったのが、懐中時計など携帯できる時計が開発されたことによって教会の鐘から解放されて、個人が時計を持ち、時間を自由に扱うことができるようになったことがユグノー達に支持され、時計職人が増えたという説があります。 また、古典的なカトリックの教えでは、
お金は汚いものというような教えがあるのに対して、カルヴァン(プロテスタント)の教えを現代っぽく解釈すると、資本主義に近いものがあります。
ざっくりいうと派手に使っちゃダメだけど、仕事頑張ってお金たくさん稼いで事業を拡大していくのOK!という感じです。
これが職人たちの意識とマッチして各々研鑽を積み、切磋琢磨していったわけですね!
こうして自分たちの自由を求めてスイスに亡命してきた時計職人たちが脈々と受け継ぎ、発展させてきた時計産業に、パテック氏は自分と重なるところがあり、自由を得るための厳しさを実感して、彼ら時計職人達に習うように時計事業に参入していったのではないか、というのが私の推測です。
小さな一歩から
…だいぶ難しい話を長くしてしまい、しかも途中怒られそうなことも書いちゃってますが…
ごめんなさい!
ここまで読んでいただけた方、本当にありがとうございます!
…しかしここで終わろうにも今回まったくパテック氏の話をしていないので、もう少しだけお話しさせていただきます!
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かくして時計事業に参入したパテック氏がはじめに行ったのが、ムーブメント(時計の心臓部)
を購入して、ケースに入れて時計としてポーランド人の交友関係から販路を作って売る販売業でした。
同じく亡命したポーランド人たちを巻き込んだのはドラクロワの絵を見て、みんなで強くなっていつかポーランドを復活させよう!という想いもあったのかもしれませんね。
その流れで軍人時代にパテック氏も参加した
十一月蜂起に同じく参加していた時計職人のフランソワ・チャペックと出会い、1839年に二人は共同で時計事業の会社「パテック.チャペック」を設立しました。
この会社が今日の「パテックフィリップ」になっていくのです。
まとめ
今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
ここまで読んでいただき、お疲れ様でした!
前回に引き続き、時計とは関係のないお話しでしたがいかがだったでしょうか?
一人の人物にフォーカスすると、ここまで深い話ができるとは書いてる自分も驚いていますw
次回は、ようやく時計に関するお話をさせていただこうと思います!
2作続いて時計じゃないお話に付き合っていただけた方お待たせいたしました!
よかったら3作目も見ていただけると幸いです!
読んでいただけて新たな発見や、こいつ難しいこと話してるけど面白いなぁと思っていただけた方はフォローや、スキをしていただけると執筆の励みになります!
よろしくお願いいたします!!