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何年経っても幼馴染

幼馴染が二人いる。どちらも男。

よく少女漫画などでいつのまにか「まさかコイツのこと…!好きになってる…!?」みたいな展開を見かけるが、そんなことは微塵もない三人である。

多分2歳ほどの頃に出会っているが、中学にあがり学校が分かれてから疎遠になった。大人の今になって本当にたまに会うくらいになっている。

普段全く動かないLINEグループに連絡が入った。幼馴染の一人(以下Hちゃん)が「子どもが産まれた」と。結婚した時も連絡が来たが、特に会うということにはならなかったため、今回は集まることになった。色々な人に報告のLINEを送る中、私たちへの連絡は2番目だったらしい。なんか嬉しかった。

「まさかキミがパパになるなんてなぁ…」と、独身の私ともう一人(以下Tちゃん)は言う。もちろんおめでとうも言った。「ありがとう、いやぁ自分でもびっくりだよ」と言いつつ照れ臭そうにしていた。会うのは3、4年ぶりくらい。でもいつもと変わらない。幼馴染なんてそんなものである。

奥さんも赤ちゃんもいるお宅にお邪魔する。アプリ婚だそうで、言葉は聞いたことがあっても身近にいるのは初めてだった。奥さんは明るく、赤ちゃんはご機嫌で可愛かった。

抱っこさせてもらい、昼を食べながら雑談をした。奥さんは私たちと同い年だったため、話しやすかった。ゲーム大好きマンの二人はいつのまにかコントローラーを握っていた。ちなみに昼を食べている時でさえもゲームの話をしていた。

これが三人だけで集まってもある。毎回。だから蚊帳の外になる私はつまらなく、正直今回行くのを躊躇った。でも「せっかくならいとしちゃんと一緒に」という話になってしまい、行かざるを得ない空気で重い腰を上げたのは内緒。まあ、奥さんと赤ちゃんがいるということでそちらメインで決めた。

だからほぼ奥さんと話していた。赤ちゃんをあやしつつ、女ならではの話で盛り上がった。出産時の話から仕事、恋愛、学生時代の話に花が咲く。何故だか、Tちゃんはゲーム画面を見ていてもバウンサーに乗っている赤ちゃんに手を握られていた。

「誰かしらHさんの知り合いが来るといつもこんな感じなんだよね」と言う奥さん。「いやマジでごめん」と言うHちゃん。「まあちょっと教えてもらうだけだから」と言うTちゃん。「私らだけで集まってもゲームの話多いだろ」と言う私。赤ちゃんが男の子ということもあり、ゲーマーになる将来もゼロではないんだろうなと思った。

時間も時間になり、家を出る時に抱っこされた赤ちゃんと顔を合わせると何度も声を出して笑ってくれた。「こんなに初対面の人に笑うなんて今までなかったからびっくりしてる」と奥さんに言われ、やっぱり子どもに好かれやすいのかと思った。単純に私の顔が面白かった説もなくはないけれど。

お邪魔しました〜と駅に向かう。送ってくれるために一緒にきたHちゃんが「ちょっと今から話すことは愚痴になっちゃうんだけどさ」と話し始めた。

男女として、というより人間同士としての悩みだった。言わば価値観のことだ。やっぱり家族になったとはいえ、他人同士である。そりゃ合わない部分もある。Tちゃんは「あ〜〜」と唸る。私も「う〜〜ん」と腕を組む。

結果、諦めるしかないんだろうなとなった。「こうしてほしい」ということが起きて、何度注意しても改善されないならもう何も言わない。人は変えられない。「諦めるって言っても結局は気になってチリツモが爆発する時が来るんじゃない?」と私が言うと「うん、すると思う」とHちゃん。「むっず」とTちゃん。

同じ地元で育ったから価値観が似ている部分があるような気がして、「俺たちってあの星に生まれたからこういう感じなのかな」とTちゃんが言い、「もうさ、今度飲みに行かない?俺家出たい」なんて普段温厚なHちゃんが嘆いて話が終わり、帰路に着いた。

夫婦って、インスタだと綺麗なキラキラしたところしか見せない。Twitterは魔窟のように不満が蔓延っている。この違いは現実の友達に近況報告のようなものであるかどうかなのかもしれない。

他の友達に相当相談して決めた結婚でも、他人同士の価値観の擦り合わせは避けられない。というか、夫婦に限らずだ。
まあ、結婚は契約だから無理です別れましょうが簡単に出来ない。それなら真剣に話し合うしかないのだろうな。

男性視点からのそういった話を実際に聞くのは初めてだったため、新鮮だった。沢山の情報を聞いてきた中でも割と参考になるな、といつ結婚するかも分からない独身女は思う、そんな一日だった。

読んでくださりありがとうございました。
また来週!

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