「2024年12月24日、AM 6:55」
くえすさん主催の「クリスマスプロジェクト☆イメージ」の二次創作です。
#イメージクリスマス
ヘッドライン画像は「ちびひめ」さんの画像をお借りしました。どうもありがとうございます。
本編の設定とはだいぶ離れたストーリーになっていますが、二次創作ということで、広~い心で見てもらえるとありがたいです。
では…。
「2024年12月24日、AM 6:55」
―2034年、12月24日の某ファミレスでの会話より―
「お疲れ~!」
「何でこの歳のグループの打ち上げがファミレスなのかと…。」
「初心に帰ってってヤツよ! 10周年とか、我ながらこんなに続けてるとは思わなかったわ。」
「いやー、何だかんだで、10年も“Rainbow▽Icecream”続いてしまったねぇ。」
「沙綾、そのカッコしてるとまだ大学生みたいだったよぉ~。」
「美桜もねぇ~。」
「友也はなんか老けたよね。」
「老けてねーよ!」
「凡造の変わらなさは異常だけどね。」
「うん、異常だね。」
「異常だ。」
「………」
「ところでさ~、気付いた? 今日の3人組。」
「あー、アレなぁ。気付いた気付いた。」
「端っこにいた3人でしょ~? 気付いたよ~。なんてゆーか、異彩放ってたよねぇ。」
「なんか、昔の私らを思い出しちゃってさぁ~。」
「あぁ、凡造誘ってった時な。」
「無理やり引っ張ってったじゃん? なんか妙に嫌がるからさ。私らが目指すステージなんだから一回見とけ!とか言って。」
「あん時の俺らも、たぶんムチャクチャ浮いてただろうな。」
「凡造、やたら嫌がってたからねぇ。…何で?」
「………特に理由は。」
「まぁ、いいや。」
「あの3人もさぁ、そんな感じだったよね?」
「そうそう。アレはたぶん、あのボサッとしたメガネ男子を無理やり連れてきたとみたよ。」
「うん、間違いないね!」
「明らかに、一番居心地悪そうにしてたしな。」
「………」
「…ん? 何? ボンゾー、何か言いたい事でも?」
「…いや、まあ、良いんだけど、…気付いてないのか?」
「何を?」
「気付かなかったんなら、良いんだ。」
「いや待てコラ。そう言われたら気になるじゃろ。」
「…うん、まあ、大した事じゃないんだけど。」
「だけど?」
「お前ら見た3人って、どんなヤツ?」
「えー、ナニ、ボンゾー、見なかったの?」
「プレイに集中してたって事でしょ。…う~んとねぇ、可愛い子と、超イケメンと、ボサッとしたメガネ君だよ。」
「そうそう! アレはイケメンだった! で、メガネ君はボンゾー2世だった!」
「え? 可愛い子とメガネ君はいたけど、もう一人は、アレ女の子だろ? 男だったら超イケメンだけど。じゃなきゃ、男の娘?」
「え~!? 何言ってんの、アレはどうみても男じゃん! 超イケメンは同意。だよね?」
「うん。どうみても男だよ。あの身長と恰好で、女子はないなぁ~。」
「え? 身長、低かったじゃん。服だって普通にワンピースだったし。」
「アレ?」
「え?」
「………ま、つまり、そういう事だよ。」
「…ナニガ?」
「俺たちは、3人を見た。けど、それは同じ3人を見たわけじゃなかったって事さ。」
「ナニ言ってんすか? 酔った? 酒飲んでないケド。」
「酔ってない。でも、俺は何となく気付いてた。あんま認めたくなかったけど。」
「…あんま聞きたくない気がするけど、気になるから、言って。」
「あそこには、4人いたんだ。3人じゃなく。」
「いや、絶対3人だったぜ?」
「1人は認識できなかっただけだ。“自分”は同じ場所に2人存在してはいけないからな。」
「ナニ、冬の夜の怪談ですか…? やめてください、そういうの。」
「そうじゃなく。…そうだな、昔、俺がライブに行きたがらなかった理由から話をしよう。」
「なにソレ初耳~。え? 理由とか、あったの? 単純に苦手なだけかと思ってた。」
「じゃ、無理やり連れてくなよ。…まあいいや。」
「そうそう、理由、理由!」
「あの日俺は、朝から体調がおかしかった。」
「それだけかよ!」
「いや、身体が分裂しているような、半分コントロールが効かないような、“融けてる”感じなんだな。」
「ヤバい薬を」
「やってない。…で、そういう感覚の時って、だいたい見るんだ。」
「幽霊を?」
「幻を。空間が飛んだ感じだったり、異世界っぽかったり、時間がズレてたり。」
「…あぁ、幼馴染がコンナ中二だったなんて…。」
「中二じゃねーって。ま、そんなわけで、なんかヤバそうだったからあんま歩き回りたくなかったんだな。」
「ふーん。で、それが?」
「俺たちは、4人でライブハウスに行ったな?」
「ああ。」
「そんで、端っこの壁に陣取った。今日の“3人”と同じ位置に。」
「え? ちょっと、凡造、あれ…?」
「服装を思い出せ。」
「10年前の人の服なんて思い出せんわけだが?」
「あー、そういえば…、フォト撮ってあったはず~…。…あ、コレ。…」
「自分は、見えない。」
~・~・~・~・~
―2044年、12月24日―
「記憶は消してきた?」
「ああ。」
「まさか、あんな会話が元で、こんな大事になるとは思わなかったね。」
「だが、もう大丈夫だ。」
「まさか、あの機関がアレして政府の対策がこんな事態を引き起こすなんて。」
「もう終わった事だ。」
「宇宙まで巻き込んで絶望の中で奇跡を願う事になるなんて。」
「もう…、いいか?」
「あの子、…ボンゾー? 監視しなくて大丈夫なの?」
「大丈夫だ。音楽活動で“安定”したらしいからな。」
「そう。…ああ、今日はイブね。久しぶりに音楽でも聴きましょうか。」
そうだな、たまには、それも良いかもしれないな。俺は懐かしい曲をかけた。
Merry Christmas!
全ての人に祝福を。俺は懐かしい、秘密の、昔の記憶に心を漂わせた。
―終わり―
ということで、「2024年12月24日、AM 6:55」でした。
毎回の事ですが、会話文のみで書いていく時は「どんな場所なのか?」とか「今はいつか?」とか「誰がしゃべってるのか?」とか、説明口調にならないように伝えるのにすごく頭を使います。自分ではちゃんと伝わるか客観的に読めない所が、悩ましい所です。
ただ今回に限っては、一番の問題点「誰がしゃべってるのか?」という部分がはっきりしなくても良い話として考えているので、その点は少し楽でした。厳密には、「凡造」のセリフだけは区別しないといけないのですけど。
「凡造」と「その他のメンバー」が判れば良いとして書いています。
さて、この話の裏設定的な事を書いておきます。
事の始まりは「2044年12月」に発覚した、終末論を唱えていた宗教団体の「地球消滅テロ計画」でした。この計画の詳細は、もはやわかりません(2044年の“凡造?”によって無かった事にされたため)。しかし、実行されれば、少なくとも地球の生物は消失する計画だったようです。
2044年のテロ対策部隊は、その計画の根幹思想が何処にあるかを突き止めます。それが2034年の、某ファミレスでのあるバンドメンバーの会話でした。この時、その会話を、おそらく近くの席で偶然聞いていた宗教団体のメンバーがいたのでしょう。この内容に発想を得て、テロ計画が作り上げられたのでした。
2044年の“凡造?”は、精神だけですが時間跳躍させ、干渉することが出来ます(そのため、テロ対策部隊に所属する事になりました)。この件の解決には“凡造?”が実行役になりました。
まず、2034年に跳躍し、このファミレスの会話を直に聴きました。同時に周囲に怪しい人間がいないか、あらゆる角度から確認が行われました。そして、そこで要注意人物とされた人は、その前後の年月も全てをチェックされ、テロに関わったとされた者は全てリストに名前を書かれていきました。
当初、この2034年の会話を“無かった事”にする予定だったのですが、それでは「2024年12月24日」のライブハウスでの出来事が残ってしまいます。その場合、「2034年12月24日」以外のどこかのタイミングで、再びこの話題が出るとも限りません。
ですので、急遽“凡造?”は2024年のライブハウスへの道を阻止すべく、「2024年12月24日、AM 6:55」の凡造の精神へと跳躍したのでした…。
そして、タイトルの「2024年12月24日、AM 6:55」が始まります…と、まあ、実は裏ではそんな物々しいストーリーが動いていたりするのですが、そんな小難しい事は考えずに、いつものように軽~い会話を軽~く読み飛ばしてくれれば、そして何となく楽し気な気分に浸れればいいなと思っております。
たぶん、今度は凡造くんはメンバーの誘惑を振り切って、この日を乗り切ったのではないでしょうか。そして平和な「正しい」時間を過ごしていくのではないのかな~。
そんなわけで、あと1ヶ月ほどの「2024年12月24日」、楽しみましょうね~!
最後まで目を通していただき、どうもありがとうございました。