戦い方ではなくて戦う場所を変える

変化球を投げても勝てない

デザインの仕事、広告の仕事をしているとよく打ち合わせで「面白い」「ユニーク」「インパクト」のある捻ったアイデアの話になり、まぁ、そりゃないだろ的な意見とか出し合ったりするんです。そういうやりとりから生まれてくるものもあるので、それはすっごくいいことなんですけど、実際にそんな「面白い」「ユニーク」「インパクト」のある捻った広告が、ちゃんと広告として成り立っているかはまた別の話。
私は結局のところ、捻ったアイデアに頼らず、どストレートな表現の広告が一番いいと思ってるんですが、世の中にはその捻った面白アイデアに酔ってしまった広告っていうのもあったりします。
キャッチコピーで、「ん?これどう言う意味…ああ、そういうことか!」と
読む人にほんの少し考えさせる、汗をかかせるっていうのは技術の一つとしてありで、それは広告の王道だったりするんですけど、だけれども、見た目のビジュアルもキャッチコピーも「何?どこの広告?何の広告?」と社名を見てすらも何を言いたい広告なのか分からない、ただアイデアに酔った広告を見ることがあります。こういうのを見るたび、そこはその変化球じゃないだろ、と思ったりします。
広告というかデザインに限らず、マーケティングの施策であったり、それこそビジネスモデルのアイデアであったり、やっぱり他と違うことをしようとしてアイデアに酔った変化球を投げることってよくあると思います。
でも、こういったアイデアって世に出てくること無いと思いませんか?
それこそめちゃめちゃキレのある変化球なら別ですけど、大概は打ち返されちゃってると思いませんか?
アイデアに酔った広告もそうで、結局そういった広告は印象に残らないし、残ったとしても一瞬。なんじゃかんじゃ人の記憶に残るのは、感情に素直に訴えかけてくるものじゃないかなと思ってます。

生き残るために戦う場所を選ぶ

我々のような弱者はよくこういう変化球を投げがちだなと思います。
強者と戦うには真っ向勝負しても勝てないので、戦い方を変えなきゃいけないって思ってるからだと思います。だけど、これは大きな大きな間違いで、戦い方を変えるのではなく戦う場所を変えるべきなんです。もっと言うと、戦う場所を変え、そこに戦わなくて済む場所を創るってことが重要だと思います。
よく、キングコングの西野さんが、飲食店ならSNSで発信するより、近所の人とガチガチに癒着しろって言ってるんですが、SNSで世の中の全ての飲食店と争っても意味がないので、戦う場所を近所に絞って、ご近所さんにファンになってもらって結果戦わなくても生き残れる環境を作っちゃえばいいじゃんってことです。
これはブランディングをする上でとっても重要な視点で、ブランディングで差別化をするっていうことはこういうことだと思います。

というわけで今日は、戦い方ではなくて戦う場所を変える。というお話でした。

ブランド・プランナー/採用ブランディング認定ディレクター 下野

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?