メガベンチャー勤務、CTOを経て次の挑戦へ。TVerで取り組む、スケーラブルな開発組織づくり/技術統括 兼 バックエンド部部長 脇阪インタビュー
急成長を続ける株式会社TVerは、開発内製化、サービスの大規模リニューアル、そしてサービスプロダクト本部の新設と、技術面に力を入れてきました。
今後さらなる事業拡大を見据えて不可欠なのが、スケーラブルな開発の組織づくりです。今回のインタビューでは、実現に向けて組織をけん引するバックエンド部 部長の脇阪が登場します。
脇阪は、株式会社ディー・エヌ・エーや株式会社ZOZOなどのメガベンチャー、スタートアップでのCTO(最高技術責任者)を経て、2024年1月にTVerへ参画しました。さまざまな経験を積んできた中で「組織の課題を解決するためにここへ来た」と語る、彼の取り組みと挑戦に迫ります。
■プロフィール
サービスプロダクト本部 技術統括 兼 バックエンド部部長:脇阪 博成
2008年、ヤフー株式会社にエンジニアとして入社。以降、toCサービスのバックエンド開発に長く携わり、株式会社ディー・エヌ・エーではエンジニアリングマネージャー、株式会社ZOZOでは開発部門の本部長を務め、組織開発も経験。スタートアップのCTOを経て、2024年1月、株式会社TVerに参画。
開発組織づくりの経験を活かし、多くのユーザーを抱えるTVerで新たな挑戦を
——脇阪さんがTVerに参画するまでの経歴を教えてください。
コンピュータサイエンスを専攻していた大学時代に、エンジニアとしてのキャリアが始まりました。先輩が立ち上げた大学ベンチャーで、仕事を手伝ったことがきっかけです。以来、一貫してtoCサービスの開発に携わってきました。
新卒では株式会社ヤフーに入社し、その後は株式会社ディー・エヌ・エーでエンジニアリングマネージャーとして経験を積みました。株式会社ZOZOでは、システムのリプレイスや新プロダクトと開発組織の立ち上げ、さらには本部長のポジションも経験して、管掌範囲が広がっていきました。
さまざまな経験をしてきた中で、開発生産性を高めるための開発や、仕組み化、組織づくりという領域に特に強い関心を持っています。なぜなら一人でできることには限りがあり、組織で挑んだほうがより大きな成果が出せますし、そのときの喜びも大きいからです。これは企業に所属する醍醐味のひとつかなと思っています。
直近ではスタートアップのCTOを務め、さらなるチャレンジを考えていたタイミングでTVerと出会いました。
——当初、TVerにはどのような印象を持っていましたか?
経営陣をはじめ、TVerで働く人たちと話す中で、プロダクトにかける思いや「放送業界をアップデートしたい」という熱量を感じ、関心が高まっていきました。確固たるミッションを掲げながら、同時に数字に表れる成果も追求する姿勢に共感しました。
また、現状の事業やエンジニア組織に関する課題を率直に伝えてもらったことも、心に強く残りました。
多くの企業は採用の場で、自分たちの良い部分を見てほしいと思うものです。一方で、TVerの皆さんは「足りない部分に力を貸してほしい」と誠実に語ってくれました。だからこそ、私も一緒にその課題に取り組んでみたいと心から思えました。
——そのほか、 TVerへの参画を決めた最も大きな理由はありますか?
TVerは、自分や身近な人も含め、あらゆる層の方々にユーザーになっていただけるサービスだからです。
転職について周囲に相談する中で「私もTVerを利用しているよ」という声をよく耳にしました。さらに「こんな機能があればもっと便利になるのに……」といった具体的な意見も聞かれ、ユーザーの期待値が高いサービスだと実感しましたね。
影響力が大きく、多くの人にとってなじみのあるサービスの開発に引き続き関わりたい。これまでの経験を活かして、周りの方々にさらに喜んでもらいたい。そう思ったことが、TVer参画への大きな決め手になりました。
目指すは、サービスの成長に合わせてスケールし続けられる組織
——現在の担当業務について聞かせてください。
私の主な役割は、バックエンド部門のマネジメントです。バックエンド部門には、TVerサービスのバックエンド開発、SRE、セキュリティ、TVerIDなどのプラットフォーム周りやAI・ML系の担当など、さまざまな専門性を持つエンジニアメンバーが所属しています。
また、サービスプロダクト本部の技術統括として開発組織全体のマネジメントも担当しており、採用や評価制度の構築、エンジニア組織のカルチャーの醸成、技術広報などが管掌範囲です。プロダクトの開発については、本部長やプロダクトマネージャーが責任を持ち、役割分担をしながら多面的にプロダクト開発を推進しています。
——今、どのような課題に向き合っているのでしょうか?
一番の課題だと捉えているのが、業務における属人化の解消と、スケールしやすい組織づくりです。TVerではバックエンド・フロントエンドともに開発内製化を実現しましたが、組織の体制は、サービスリリース当初の数名で開発に取り組んでいた頃から変わっていない部分も少なくありません。
そこで技術負債を返済するための技術戦略の策定や、それを実現するための組織の組成などに取り組んでいます。
採用についても課題はあります。人材が不足している状況ではあるものの、ただ人数を増やせばよいというわけではありません。採用基準や人物像の定義や、事業戦略に基づいた計画的な採用を進めていくことが必要です。
総じて、制度や仕組みの面から開発生産性を高め、サービスの成長に合わせて成長・拡大し続けられる組織づくりに挑戦しています。
——脇阪さんがTVerに参画してからの具体的な取り組みについてもお聞きしたいです。
主に二つの取り組みを行いました。一つ目は、開発プロセスの全体的な見直しです。フロントエンド、バックエンド、デザイナーを含めた全体的な開発プロセスをPdMと連携して再構築しました。
具体的には、要件定義からテスト、実装に至るまでの各工程で、誰がどのように関わるべきかを言語化し、図示しました。この新たな開発プロセスは、2024年7月から実行しています。
二つ目は、バックエンド組織のチーム再編成です。プロダクトの機能開発を担当するチームと、そのチームを支援するための開発を行うチームに分けました。これにより、開発を進める中でなかなか手が回らなかった改善活動にも着手できる体制が整いました。
——メンバーからの反応はどうですか?
「仕事が進めやすくなった」と、ポジティブなフィードバックをもらえています。また、開発を支援するEnablingチームに改善したいポイントを挙げてもらったところ、一気に数十もの提案が出てきました。メンバーのモチベーションの高さを表しているエピソードだと思います。
さらに、プロダクト開発に集中したいメンバーにとっても、自分の業務により集中しやすい体制が整ったのではないでしょうか。具体的な成果が出るのはこれからですが、非常に期待が持てる状況だと感じています。
現状の課題を乗り越え、エンジニアの成長の場として想起される存在に
——これまでさまざまな企業でエンジニアとしてのキャリアを歩んできた脇阪さんですが、ずばり「TVerに参画してよかった」と感じていますか?
「まだわからない」というのが、今の率直な気持ちです。というのも、自分は組織の課題を解決するためにここへ来ていて、まだ挑戦の最中だからです。
難しい課題ほどやりがいがありますが、直面しているときはしんどい思いを抱えることも少なくありません。また、すぐに目に見える成果が出せないことに対して、日々もどかしさや悔しさも感じています。
このような状況で「満足しています」とは到底言えません。今までの転職でも、挑戦したことのない課題に向き合い解決することで、自分の選んだ道を満足できるものにしてきました。TVerでも、この選択を心から良かったと思えるように前進あるのみだと考えています。
——率直な回答から、脇阪さんの決意や覚悟が伝わってきます。今後の抱負や意気込みについてもぜひ聞かせてください!
さらにキャリアの幅を広げたいと考えるエンジニアの方々にとって、魅力的な企業として想起される存在になりたいと考えています。TVerはサービスとしての知名度は一定ありますが、働く場所としての認知度はまだまだ低いのが現状です。
まずは社内の組織づくりから着手し、エンジニアメンバーが働きやすく、かつ成長できる環境の実現に注力します。そうすれば、おのずと社外にもTVerで働く魅力が伝わりやすくなるはずです。
マネジメントにおいて、私がトップダウンですべてを決めることはありません。プロダクトの方向性を示し、メンバーたちが課題を発見し解決するまでを後押しすることが自分の役割だと捉えています。
その分、メンバーには大きな裁量権があり、自ら課題を見つけ出し改善活動に取り組める環境です。TVerは多くのユーザーを抱えているサービスなので、成果の見えやすさも働く上でのモチベーションになるでしょう。一緒にTVerを、そしてエンジニア組織をさらに魅力的なものにしていく仲間をお待ちしています!
脇阪のインタビューはこちらの記事でもご覧いただけます。
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