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「dボタンを押して番組に参加!」テレビ番組連動企画を支える少数精鋭のバックエンドエンジニア/TVerの開発組織を知る【後編】

2022年4月1日よりTVerは、無料でアカウント作成できる「TVer ID」を利用したログイン機能を導入しました。TVer IDによりユーザーは、テレビやスマホといった異なるデバイス間でも「お気に入り」や「あとでみる」等のリスト共有が可能となりました。

一方の放送局側も、TVer IDを通じて地上波の視聴者の利用動向を知れるようになるので、より魅力的なテレビ番組の開発につなげることが可能となりました。それによってTVerでは、放送局からのTVer IDを利用したテレビ番組連動企画に関する相談が、日々増え続けている状況にあります。

そして、これらのサービスを支える基盤が「TVer Media Platform」。地上波のテレビ番組との連動企画は、アクセス環境が常に高負荷となるため、地上波放送にマスト要件である安定的なシステム稼働が求められています。

今回は、放送局とTVerの橋渡し役(テクニカルサポート)を担う岩田と、TVer Media Platformの運用保守に携わる平松の二人に、これらのサービスを支える仕事の舞台裏について話を聞きました。

■プロフィール
メディアソリューション事業本部 業務推進タスク:岩田 雅也(写真左)
2019年7月、株式会社HAROiDへ入社。2019年8月の新設分割により、株式会社YourCast(現:株式会社TVer Technologies)所属となる。その後、ID・データ事業の一部を株式会社TVerが事業吸収したことに伴い異動。現在は、2023年4月に新設されたメディアソリューション事業本部にて、放送局でのTVerリンクやテレビ番組連動企画を運営・推進する業務を担っている。

サービス事業本部 プロダクトタスク:平松 健太郎(写真右)
2020年3月、株式会社TVer Technologiesに入社し、岩田と同様に2021年4月株式会社TVerへ異動。現在はサービス事業本部にて、TVer IDやTVerリンク等の機能を支える「TVer Media Platform」の運用保守業務をメインで担当している。


テレビコンテンツを支え続けた10年と、前職から続いてきた二人の関係

──まずは、お二人のご経歴について教えてください。

岩田:10年ほど前、日本テレビの子会社だった株式会社フォアキャスト・コミュニケーションズ(現:株式会社日テレWands)に業務委託の形で参画しました。それがテレビ業界で働くきっかけで、当時はインフラからサーバサイド、フロントエンドまでの全領域の開発に携わるエンジニアをしていました。

その後、現在のHAROiD社から声をかけてもらったことがきっかけで、転職をしています。2020年10月にTVer社へ出向し、翌年にはTVer Technologies社の事業の一部がTVer社へ吸収されることが決まり、私も異動となりました。

最初の配属は技術開発本部でしたが、2023年4月にはメディアソリューション事業本部への配属に。現在は業務推進タスクとして、放送局との番組連動に関する取り組みを進めています。

平松:私が新卒で入った会社もフォアキャスト・コミュニケーションズ社で、2年目から岩田さんと同じプロジェクトで働いていました。その時に関わったのが、現在のTVer社が扱っているプラットフォームの前々身のシステムです。

その後、Web広告のシステムを開発する会社へ転職したのですが、もう一度テレビに関するエンジニアの仕事がしたいと考えるようになりました。そのタイミングで岩田さんと一緒に飲みに行く機会があり、そこで「うちにおいでよ」と声をかけてもらったんです。これがきっかけで、現在のTVer Technologiesに転職することになりました。

そこからTVerへ転籍するまでの流れは岩田さんと同じです。現在は、インフラやサーバーサイドの運用保守の業務をメインに、サービス事業本部 プロダクトタスクのエンジニアとして働いています。

放送局と伴走しながら “国民全員参加のテレビ番組” を実現させることが最大のミッション

──お二人の仕事内容についても、詳しく教えていただけますか?

岩田:メディアソリューション事業本部は、TVerが所有するデータを活用し、放送局に対してどのような価値提供ができるかを考える役割を担っています。

従来のテレビは「視聴するだけ」の受け身のものでしたが、データ放送・インターネットを統合することで「参加する」という、テレビを通じた新たな体験を視聴者に届けられるようになりました。

今では皆さんにもおなじみの「dボタンを押して投票する」等の裏の仕組みも、TVerが提供しているプロダクトのひとつです。

テレビ放送でも視聴者のデータを集めることで、人気番組を分析してコンテンツ開発につなげるなど様々な利活用が可能となるため、放送局側からは日々、TVerとの連動企画が持ち込まれています。

私の仕事は、それらの提案に対して何ができるかを放送局の皆さんとともに考え、視聴者にとって “おもしろいコンテンツ” を実現できるような媒介者になることです。

──ありがとうございます。一方で平松さんは、TVer IDやTVerリンク等の機能が乗っている「TVer Media Platform」の運用保守を行っているのですよね。こちらについても詳しく教えてください。

平松:TVerは幅広い年齢層から認知されているサービスで、現在も最大のマスメディアであるテレビとリアルタイムで連動していることが特徴です。利用者数やアクセス数が多く、利用時間も幅広いため、常に高負荷な環境でシステムが動いています。

見逃し配信やリモコンボタンでの投票等、アクセスが集中するタイミングが多数あるため、システム監視やセキュリティ対応には余念がありません。

──国民的なサービスであるTVerだからこそ、より責任と経験が問われるわけですね。ほかに開発面での特徴や事例はありますか?

平松:最近の事例ですと、プレゼントキャンペーンを実施するにあたって、コネクテッドTVタスクからプラットフォーム基盤を使わせてほしいとの要望がありました。2023年6〜7月にかけて実施したTVer IDを持っている方限定の「抽選で500名にTVerボタン付きFire TV Stickをプレゼント!」という企画です。

この時のシステム設定や調整等を担当しました。また、メディアソリューション事業本部を通じて放送局からのリクエストが定期的に入るため、都度対応しています。

中には、受け身ではなく能動的に取り組むべき業務もあります。代表的なのが、コストや性能面をアップデートするためのシステム改修です。プラットフォームとして長期にわたって運用される基盤だからこそ、自ら率先して課題設定をして解決をすることが求められます。

視聴者のリアルな反応を楽しめるのは、多彩なテレビコンテンツを扱うTVerのエンジニアならではの喜び

──TVerサービスの基盤である「TVer Media Platform」に関わる重要な仕事であることがわかりました。ここからはお仕事のやりがいをお聞きしたいと思います。

岩田:TVer自体が世の中に認知されているサービスなので、自分の仕事を周囲が評価しやすい点が挙げられると思います。携わったキャンペーンについて話をすれば、「それ知っているよ。岩田さんが関わっていたんだね」と言ってもらえたり。

あとは放送局とのコミュニケーションが日常的にあるので、テレビを含めてコンテンツ作りに関することが好きな人であれば、より一層楽しめると思いますね。番組と連動している企画であれば、SNSで視聴者の反応を見ることもできるので、評判が良かったものに関しては私たちも思わず嬉しくなります。

平松:インフラ、サーバーサイドのエンジニアとしては、24時間365日動いている大規模なシステムを安定稼働させている自負があります。アクセスの集中が予想されるキャンペーンであれば、事前にどれだけのサーバーを立てれば乗り切れるかを計算して、波を乗り越えた時には「よしっ!」となります。

もちろん安全を買うという意味で費用をかけることはできますが、明らかに無駄なコストをかける必要もありません。知識や経験を伴うプロの技術で、適切なマネジメントを心掛けることが求められる仕事だと考えています。

岩田:これは平松さんを見ていて思うことですが、自走できるエンジニアはTVerと相性がいいなと思います。自分で課題設定をして解決していくことが成長フェーズにあるTVerでは求められるので、何でも挑戦したい人に向いている環境でしょうね。

平松:メイン業務はプラットフォームの開発や運用保守ですが、それだけが仕事だと線引きしないことは大事かもしれませんね。何かひとつの技術に特化しているエンジニアも素晴らしいですが、自分の中で「これしかやらない」と決めてしまうと、TVerで働く中では少し息苦しくなるかもしれません。

TVerのエンジニアはリモートワークが多いので、自分が今やるべきことが見えなくなってしまうと「動きたくても動けない……」となり、精神衛生上良くない気がしますね。少なくとも自分でアラートを鳴らせる人であれば、気持ちよく働けると思います。

TVerという巨大プラットフォームを支えるからこそ、バックエンドエンジニアとして貴重な体験ができる

──最後に、TVerに興味を持つ候補者の方へメッセージをお願いします。

岩田:TVer IDの登録者が増えることで、TVerはもちろん、放送局にも大きなメリットがあることをここまでお伝えしてきました。

こうした動きは、今後も加速するだろうと私たちは予想しています。実際に放送局からのリクエストや企画相談が日々増えており、メディアソリューション事業本部としてもますます採用に力を入れなければいけないフェーズに来ているんです。

今はまだ少数精鋭で動くバックエンドエンジニアの組織ですが、今後はTVer主導で新機能を追加するといったプロジェクトの余白も期待できると思っています。これまで培ってきた技術や経験を活かし、さらに成長したいと考える方はぜひご検討ください。

平松:私が入社した頃を振り返ると、実力的にはミドルエンジニア相当だった気がします。手前味噌ではありますが、それが今のポジションにまで上がってこられたのは、TVerという巨大プラットフォームを支えるエンジニアとして、挑戦を続けてきたからこそです。

繰り返しになりますが、インフラやサーバーサイドに限らず、自分が強化したいと思う技術を率先して磨き、現場で発揮したいと思えることがTVerのエンジニアに求められる共通の素養のように感じます。

こうした働き方に共感できる方と、ぜひ一緒に働けたら嬉しいですね。


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取材協力:CASTER BIZ recruiting