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高負荷に耐えうるシステムを構築し、大規模サービスを支える。TVerにおけるバックエンド開発の意義とは/TVerの開発組織を知る【前編】

2015年にサービス提供を開始したTVerは、2023年5月、月間の動画再生数が3.5億回を突破しました。サービスの安定した運営を支えるエンジニアリング組織は、今後さらなる拡大を見据えて体制を増強中です。

今回は、多数のエンジニアが所属するプロダクトタスクのバックエンドチームで活躍する内海にインタビュー。

これまで、サービスのリニューアルに伴うアプリケーションの構築やシステム内製化に携わってきた内海。その実績から先日の全社イベントでは“TVerのミッション・ビジョン・バリューを最も体現した”社員として、MVPに選出されました。

TVerの開発組織では、どのようにサービスやユーザーと向き合っているのか。すでに大規模なサービスを開発・運用する中「組織の伸びしろは大きい」と語る彼に、エンジニアとして今のTVerで働く楽しさも含めて、詳しく聞きました。

■プロフィール
サービス事業本部 プロダクトタスク:内海 恵介
エンジニアとしてソーシャルゲームのAPIサーバー構築・運用に携わった後、テレビ番組とインターネットの連動サービス事業を手がける、TVer技術組織の前身であるHAROiDへ転職。分社化や事業譲渡を経て2020年10月よりTVerに出向し、2021年4月TVerへ入社。


人気ソーシャルゲームの開発経験を活かし、TVerのバックエンドシステム内製化をリード

——内海さんの担当業務と、TVer入社までの経歴を教えてください。

私はバックエンドのリードエンジニアとして、ユーザー向け・放送局向けのあらゆるAPI開発に携わっています。TVerの開発組織の中でも、放送局からの提供コンテンツをユーザーに届ける仲介の役割を担うのが、私たちバックエンドです。

個人のロールとしては、現在のバックエンドチームのリードエンジニアとして、サービス全体のアーキテクチャを統括し、高負荷・高スパイクのサービスの品質を支えています。

PdMとの実装相談から、採用目的での社外への情報発信、開発業務におけるメンバーとの壁打ちなど、幅広く担当しています。

TVerには、前職の分社化・吸収分割を経て入社しました。正式な入社年月は2021年4月ですが、2020年からTVerに出向して既存のTVerの仕組みやドメイン知識の吸収、「TVer ID」の基盤開発に携わっていたんです。

TVerに携わる前は、ソーシャルゲームの開発を長く経験してきました。何千万とダウンロードされるアプリを提供する中で、とくにやりがいを感じるのは、高負荷なアクセスに耐えうるサーバー構築を手がけることですね。

現在、TVerという大きなサービスを支える業務の中で、これまでの経験が活きていると思います。

——TVer入社後、とくに印象に残っている仕事はありますか?

2022年4月のTVer大幅リニューアルに伴い、バックエンドシステムの内製化をリードしたことです。

当時、サービスの提供開始からすでに5年が経ち、技術的負債の蓄積が課題として浮かび上がっていました。また、バックエンドの開発を全面的に外部委託していたところから、スピード感と柔軟性を向上させたいという狙いもあり、内製化に踏み切ったんです。

インフラの設計やセキュリティ管理などは、タスク内のメンバーそれぞれの得意分野で力を借りながら進めましたが、アプリケーション構築についてはなんとかひとりでやり切りました。

内製化を進めるにあたって、初期に曖昧なままになっていた仕様を改めて考えつつも、自分は手を動かすことに注力。システムを刷新した後は、社内の連携体制を整えていきました。

——システムの内製化に踏み切って、どのような成果が生まれたのでしょうか。

大きく2つあります。1つ目の成果は、サーバーサイドだけで完結できるロジックの変更に対応しやすくなったことです。例えば、ユーザーの視聴履歴に基づいてより興味のありそうな番組を優先して表示するレコメンド機能は、サーバー側のみの対応でアルゴリズムを変更できるようになりました。

2つ目の成果は、バックエンドで柔軟に対応できる作業が増えた結果、タスク内で新たなアイデアを施行する回数やスピードが上がったことです。「明日やってみる?」といった会話をよくするようになりましたね。

総じて、ユーザーのサービス体験向上につながる改善と提案が、どんどん実現できる組織になったと思います。

ユーザーにTVerを楽しんでもらうための確実な運用と、さらなる体験向上に向き合う日々

——プロダクトタスク内の開発体制は、どのような構成になっているのでしょうか?

プロダクトタスクは現在30名ほどの規模で、そのうちエンジニアが17名在籍しています(2023年7月時点)。

フロントエンド、インフラ、バックエンド、プラットフォーム、データエンジニアとそれぞれが得意とする主担当は持ちつつも、チームは明確に切っていません。役割横断で実施する朝会では、課題を持ち寄りながら都度話し合って、開発の優先順位を決めているんです。

——今、タスク全体で注力している取り組みはどのようなものですか?

ユーザーの皆さまに楽しんでもらえるコンテンツを、サービス上で確実にお届けすることです。そのために、ユーザー数の拡大やアクセス負荷に耐えうるシステムの構築に取り組んでいます。

とくに2022年4月から開始した番組の地上波リアルタイム配信では、放送と同時に広告の挿入も必要となり、最悪の場合、サーバーが落ちてしまう可能性もある。障害を防ぎ、ユーザーの視聴機会の損失を限りなく減らすことは、バックエンドだからこそ担える責務だと捉えています。

つまり、プロダクトタスクにはシステムを不安定にさせない、パフォーマンスを落とさないような開発・運用が第一に求められますが、もちろんそれだけではありません。「ユーザー体験をさらに向上させるには」という視点も持ちながら、業務に向き合っています。

——直近で「開発によってユーザーの体験を向上できた!」と感じた具体的なエピソードがあれば聞かせてください。

専任のタスクフォースを立ち上げ、2~3ヶ月間、検索エンジンの精度を高めるミッションに取り組みました。

当時、検索機能についての改善要望が上がったため、ユーザーの体験向上のためにも優先的に取り組むことにしたんです。プロダクトタスクとしてやりたいことは山ほどありますが、その中でも優先度の高いクリティカルな課題に集中するため、タスク内から何名かメンバーをアサインしました。

複数の施策を集中的に実行していった中で、とくに検索のサジェスト機能改善は大きな成果につながりました。「そもそもユーザーはどのように検索するのか」から考え直し、検索結果表示のロジックを大幅に入れ替えていったんです。

——検索機能は、ユーザーにとっての使いやすさを左右する大きな要素ですね。取り組みの結果、どのような良い変化につながったのでしょうか?

検索したい番組名や出演者のワードを一部入力したときに、該当のコンテンツがサジェストされるまでの時間が短縮されました。その後、データチームから上がってきたデータでも、ユーザーの動線が大幅に改善されたとわかり嬉しかったですね。

エンジニアの立場からは「このロジックが最も合理的だ」と考えて仕様を決めても、実際にユーザーが取る行動にはフィットしないケースもあります。ユーザーに向き合いながらサービスを開発する重要性を、改めて痛感した出来事でした。

拡大を続けるTVerの開発組織は伸びしろが大きく、多くの挑戦機会に恵まれている

——今後、TVerで挑戦したいことを教えてください。

ひとつに絞り切れないほどありますが、目下の課題として取り組みたいのは、プロダクトタスク以外の部門との情報共有をさらにスムーズにすることです。

バックエンドは、ユーザーが触れるサーバーを担当しています。ユーザーに関する様々なデータが集まりやすいという特性を活かして、他の事業部やタスクがバックエンドチームに依頼しなくても、いつでもデータを安全に取得できる基盤を作ろうと考えています。

ユーザーに対してさらに良いサービスを提供するために、社内での連携と意思決定のスピードを高めていきたいですね。

——内海さんが感じる、TVerでエンジニアとして働く魅力とは?

やはり、ユーザーを多く抱える大規模なサービスに携われることです。高負荷への対応や大量のデータ管理などの経験を積める環境は、TVerのほかにはなかなかありません。

さらに、トレンドやユーザーの動きが速いエンターテインメント産業に関わる中で、都度変化への適応が求められる点でしょうか。そこは難易度が高いからこそ、楽しさを感じるところでもあります。

TVerでは、サービスとともに組織も拡大している最中です。やりたいことをすべて実現するには、明らかにリソースが足りていない状況なんですよね。それゆえ、組織の伸びしろの大きさや、挑戦機会が多い点もやりがいにつながっています。

以前、エンジニアが集まるイベントに登壇した際、他社の方から「新卒社員の受け入れ体制はどのようにしていますか?」と質問をいただいたことがありました。

ですが実態は、この通り良い意味でなかなかカオスな状態です。現状では新卒採用にまで手が回っておらず、むしろあらゆる場で「TVerを助けてください、一緒にサービスを作る仲間になってください」と採用のヘルプメッセージを出しているくらい(笑)。

チームビルディングやオンボーディングなど組織の面から、新たな施策の立案・実行など業務の面まで、これから取り組みたい課題は多岐にわたります。
ゼロからチームを作ることや、自ら意思決定していくことに楽しさを感じる人には、きっとTVerの環境をおもしろがってもらえるはず。

一緒にTVerのエンジニアリング組織を成長させていける方と、これからも多く出会いたいですね。


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取材協力:CASTER BIZ recruiting