デバイスの垣根を越えた、新たな広告配信の選択肢「TVer広告」の可能性〜 / 執行役員 広告事業本部長 古田インタビュー
近年、スマートデバイスは多くの人にとって身近な存在となり、コンテンツの視聴体験も大きな進化を遂げました。時間や場所を問わずテレビ番組を楽しめるようになった今の時代では、テレビ番組やCMの在り方にも、変化が求められています。
民放公式テレビ配信サービス「TVer」を提供する株式会社TVerは、2021年4月に運用型広告「TVer広告」を正式リリースしました。
「自社の利益や成長だけを追求するのではなく、テレビ業界全体をさらに活性化させたい」と語るのは、事業をリードする執行役員 広告事業本部長の古田。
今回は、TVer広告のサービスとしての強みや独自性、今後の展望を聞きました。
■プロフィール
執行役員 広告事業本部長:古田 和俊
2002年、株式会社フジテレビジョン入社。営業局でテレビスポット、テレビタイムの地上波セールスを担当。その後、デジタル営業部に異動しデジタルセールスを担当。2020年、株式会社TVerに出向し現職。
独自データを活用した高精度&ブランドセーフティなTVer広告
——まず、TVer広告のサービス概要と強みについて紹介をお願いします。
TVer広告は、民放公式テレビ配信サービス「TVer」内で運用型広告の配信ができるサービスです。
月間動画再生数が2億8,500万回を超える国内最大級の動画プラットフォームで、各放送局の垣根を越えた広告を届けられる特性を持っています。
現在は、個人情報保護などの観点からCookieレス(※Cookie=ログインIDやWebサイトの閲覧履歴を保存する仕組み)が進んでおり、広告配信にも影響を与えています。
従来のように外部データを活用した適切なターゲティングが難しくなったため、企業のデジタルマーケティングは転換期を迎えているのです。
そのような中でTVer広告は、TVer社の持つファーストパーティーデータ(自社で収集した顧客データ)を利用し、広告主のニーズに合わせた広告配信ができる。それが、最大の強みであると考えています。
また、最近ではコネクテッドTVを通じた視聴比率が増えているのも、広告主からの関心が高まっているポイントです。
テレビというデバイスは、複数名で見る割合が一番高いと言われています。依然として、届く範囲が非常に広い広告商品だという点も強みです。
——広告主とユーザー、それぞれへの具体的な提供価値はどのようなものなのでしょうか?
広告主の皆さまには、居住地まで絞ったターゲティング設定が可能な点に魅力を感じていただいています。あらゆるデジタル広告と比較しても、TVerほど高精度に対象ユーザーを抽出できる媒体は他にありません。
加えて、広告配信先としてブランドの価値が保たれる安心安全のプラットフォームであることも、選ばれる理由の一つです。
TVerには、違法にアップロードされたコンテンツや、過剰な謳い文句を用いた信頼感の低いコンテンツは存在しません。広告主のブランドイメージが損なわれる可能性がないため、安心してご活用いただけます。
ユーザーの皆さまに引き続きこのサービスを無料で提供する上で、広告収入は非常に重要です。ただ、むやみな広告の挿入はユーザーの視聴体験を損ないかねません。
不快に思われてしまってはサービスとして本末転倒ですので、2つ配慮していることがあります。
まず、各放送局によって審査された広告のみを配信すること。内容をきちんと人の目で確認しているため、安心して視聴いただけると考えています。
そして、広告を挿入するタイミングや回数です。そもそも地上波で放送されている番組は、CMが入ることを考慮して制作されているため、他の媒体に比べると広告挿入による違和感が少ないと言えそうです。
TVerが過去に実施した調査でも同様の回答が寄せられています。コンテンツをうまく活かせるような広告配信を常に意識しているんです。
大幅な成長率を支えるのは、裁量が持てる組織風土とTVerの豊富なコンテンツ力
——顧客への提供価値をお聞きしましたが、社内における広告事業本部の役割や位置づけについても知りたいです。
会社やサービスが成長していくためには、どんどん投資をしていかなければなりません。広告事業本部は、利益を生み出す役割として機能しています。会社の未来を担う責任感とやりがいを日々感じられるポジションですね。
さらに言うと、会社単体ではなく、放送業界全体の収益を支えていくのが私たちの使命です。
世の中では「テレビ離れが進んでいる」と言われています。しかし、実際にはリアルタイムでテレビを見る時間が減っただけで、番組は様々な形で視聴されており、依然として注目度の高いコンテンツと言えるでしょう。
テレビ業界では、これまで地上波のみでCMを流し、その利益で新たなコンテンツを作るというサイクルが根付いていました。
近年見られる視聴方法の多様化に対応して、収益モデルも変えていく必要があります。そういった部分でも、大きな役割を担っているのです。
——TVer広告は、2021年4月から始まったばかりの比較的新しいサービスです。部署の立ち上げから現在に至るまで、どのような変遷があったのでしょうか。
2020年後半に各放送局から出向してきたメンバーが集まり、広告事業本部の前身となるチームが立ち上がりました。私は当時から統括の立場として、メンバーと共に事業推進や組織づくりを行っています。
テレビCMの広告事業自体は、もとから業界に長くある仕組みです。その既存のビジネスモデルをふまえて、TVer広告としてどのような形でサービスを提供するかを模索してきました。
サービスはこの1年で急成長し、前年度と比較した2022年度の売り上げの伸び率は大幅に伸長しています。
広告事業本部としても、創設時の4名から、今ではアカウントプランナーやアドテクエンジニア、広告の入稿や配信設定を担当するディレクターなど約20名規模のチームに。
サービスの成長に伴って、組織としても順調に拡大を続けてきました。
——古田さんがこの仕事をする上で感じる、おもしろさや魅力とはどのようなものでしょうか?
環境としての魅力と事業の魅力、それぞれを感じながら仕事をしています。
環境面では、会社の設立から間もなく部としても立ち上がったばかりで、様々な業務プロセスを一から決められることです。広告主との契約締結や発注フローなど、自分たちで最適な方法を話し合いながら構築してきました。
今でも「一度決めたからOK」ではなく、問題が生じれば新たなツールの導入を検討するなど、常に見直していこうという意識が広告事業本部内に浸透しています。まさに、一人ひとりの声が反映されやすい環境だと感じます。
事業の魅力としては、やはり今最も勢いのあるプラットフォームで、2,700万もの月間ユーザーに対してリーチできる広告商品を扱えることです。
さらに、TVer上にある約650以上の番組、すべての広告枠が提供可能。これほどダイナミックな仕事はなかなかありません。
以前、広告主から「TVerが配信している『月9』の番組内で、自社のCMが流れたよ!」と喜びの声をいただいたことがありました。
メジャーなコンテンツに広告を出せる価値と可能性を感じた場面でしたね。
私たちにとっても、誇りを持ってご提案ができる広告商品です。
自社だけでなく、テレビ業界全体をもっと良くしていきたい
——広告事業における今後の展望を教えてください。
国内で一番の動画プラットフォームになることが今後の大きな目標です。TVerは確実に伸びているものの、業界トップのサービスと比較するとユーザー数も広告の売り上げも、まだまだギャップがあるのが現状。
外資系の競合サービスも日本に多数上陸してきている中で、日本発のプラットフォームとして存在感を発揮し、より多くのユーザーに支持していただけるサービスを目指します。
ユーザーに対して快適な広告体験を、また広告主には新たな広告商品を提供して、誰にとっても安心安全なプラットフォームであり続けたいですね。
その中で成長のカギを握るのは、やはり私たちが提供する広告事業だと思います。
TVer広告は、まだまだデジタル広告配信の手段として想起される存在になれていません。テレビCMが持つリーチ力と、ファーストパーティーデータをもとにした高精度なターゲティングを掛け合わせて、新たな価値を訴求していきます。
——広告事業本部では、どのような方にジョインしていただきたいと考えていますか?
何よりもまず「コンテンツが好き」な方を歓迎したいです。やはり、楽しく創造的に仕事をするには、自分たちが扱うサービスに興味関心を持つことが大切だと思うんですよね。
また、今のTVerに新たな風を吹かせてくれる方との出会いも期待しています。企業の成り立ち上、TVer広告はテレビ業界とのつながりは深いものの、デジタル広告の世界では新参者の立ち位置です。
今までにない柔軟な発想やネットワークを持ち、TVer広告を様々な企業に知っていただくきっかけを作っていただけたら心強いですね。
——最後に、TVerで働くおもしろさや魅力について、ぜひ候補者の方へメッセージをお願いします!
「働いていてこんなに楽しい会社はない」と、日々感じています。TVerには異業種からジョインしたメンバーも多く、まさに異文化交流をしているような刺激と発見が絶え間なく得られるんです。
一方で、全員に共通しているのが「未来のテレビ業界をもっと良くしたい、変えていきたい」という強い思い。テレビが衰退していけば、すぐれたコンテンツも作れなくなってしまう。製作費を担保するため、すべてが有料サービスになってしまうかもしれません。
テレビの良さをいかに守りながら、業界として成長できるか。これが、今後の重要なカギだと捉えています。実現に向けて、志を共にした仲間たちと、変化を生み出していけるのがTVerという会社です。
ぜひ皆さんにも仲間に加わっていただき、一緒に体験してほしいなと思います。
株式会社TVerでは、一緒に働く仲間を募集しています。興味のある方は、こちらからエントリーください。
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