【日刊辛愛媛】地方創生と都道府県再編
◎人口減少県どうしの合併は有るか
このたび、石破総理就任直後の衆院解散で自民党は、公明党を道連れに惨敗を喫した。自民党内からは石破下ろしの声が高まるような報道も見受けられるが、よくあれ位の敗北で済んだと思う筆者は、火中の栗を拾うような者が直ちに現れず、このまま越年し、来年夏の参議院選挙を迎えると楽観している。いわゆる鈍感力が強いというか、叩かれ慣れて失うものがない石破氏は、淡々と自身の仕事をやっていくであろうと思う。先日も、防災庁設置準備室が設けられ、彼の政策が具体化しはじめた。これに異論を唱える人は与野党共にいないだろう。
さて、もう一つ彼が掲げた政策に「地方創生」がある。東京への一極集中や大都市への資本集中を分散し、地方の産業発展を国策として促していくものと理解している。それは、例えば躍進したれいわ新選組の山本代表も主張しているように、南海トラフ大地震を想定し、東京のバックアップを青森でも佐賀でも可能にし、地域の雇用も安定させるとの意味合いもあるだろう。
そして、今後は顕著になっていく人口減少。かつては100万人以上いた人口が近い将来、愛媛を含めて多くの県で半減するという推計は、決して単なる警鐘ではない。実際人口減少著しい県、例えば高知や徳島は政治的に参議院選挙区が合区となって国会へ代表者を1人しか送れない現実がある。一票の格差是正のためとは言え、語弊があるかもしれないが「政治的合併」を強いられた両県民の心境は複雑であろう。
都道府県合併の兆しと法的整備現況
これが、政治的枠組みにとどまらず、今後は経済的にも行政的にも加速していくのでは、と筆者は予想する。
例えば石破総理を輩出した鳥取は、島根と共に昭和時代から人口が少なく、これ以上減少が続けば自治体の財政的に厳しいという意見はよく聞く。高速道路や都市基盤のインフラ整備が追いついていない両県は、文化的には山陰という括りで親近感があり、地方では珍しい放送局(民放3局)の相互乗り入れで毎日、島根のニュースを鳥取県民が、鳥取のニュースを島根県民が見るという日常的な近さはある。
しかし、東西に長い両県が一つの自治体として機能するか、これは生活している県民の意見が当然尊重されるべきであり、それでももし、郷土の生き残りをかけて山陰が一つの行政区になるという場合、法的に何がハードルになるかと言えば、実は受け皿となる法律は既に出来ているという。
それは昭和の市町村大合併が進んだ1960年代、次なる課題として「都道府県合併特例法案」が国会に提出された経緯に見ることが出来る。
審議の結果は廃案となったが、それから(上記から引用)35年後の2004年(平成16年)に地方自治法が改正され新たに第6条の2として都道府県合併の規定が新設された。この規定は合併を希望する都道府県が都道府県議会の議決を経て内閣総理大臣に申請すれば、内閣総理大臣が申請に基づき国会の議決を経て都道府県の合併を定めることにより合併を認めるというものであるが、都道府県議会の議決の数にかかわらず住民投票は不要となっている。(引用終わり)
つまり、県議会の議決を経れば、総理大臣が国会を経て合併が認められるという建付けが既に出来ているという。ならば、現実味のない道州制よりも遥かにハードルは低く、お互いにウィンウィンと思った都道府県(都道府は無いとみる)は、議論が進展する地域が出てくるかもしれない。検索して出てきたのは、北東北の3県(青森、秋田、岩手)の例があり、以前から仮定の話としてあったようだ。
筆者が思うに、四国も道州制で考えると、なかなかややこしい問題、まず州都で揉めるというのがある。その枠組みが決まらないうちに、香川と徳島は合併するのではないかと密かに想定している。実際、
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