【日刊辛愛媛】縮小傾向の陸海空交通
◎半世紀にわたる小倉・松山航路廃止へ
先日、関西汽船時代から松山と北九州を結んでいた小倉・松山航路について、現運航会社の石崎汽船から来年6月を以て半世紀余の歴史に幕を下ろすことが発表された。
船の老朽化と燃料費高騰の影響で、最近では隔日運航となっていたため利用者減少に拍車がかかり、廃止は時間の問題と囁かれる中ついにその日が来たかというのが、地元や利用者の受け止めだ。
筆者も一度、小倉行きの乗船歴があり、古さは否めないが、目覚めたら九州という利便性と現在の半額ほどの運賃で快適だった記憶がある。
これにより、松山から九州への直接アクセスはJALの福岡便に限られて、気軽に往来できなくなった。しかし、九州と四国の旅客と物流は決して激減しているわけでなく、現に八幡浜と伊方町三崎からは、大分の別府や臼杵等、3社の4航路が昼夜高頻度で運航している。
筆者も近年、宇和島運輸の八幡浜〜別府航路と九四オレンジフェリーの八幡浜〜臼杵航路に乗船した。両社便とも2等が3千円台で運賃は比較的低廉かつ船舶は新しく、快適な船旅が楽しめた。問題は松山〜八幡浜への陸路が普通列車で約1時間1400円程の運賃と、八幡浜駅から港までの徒歩では微妙な距離と時間を要すること。それも旅の醍醐味と割り切るなら話は別となる。
柳井〜松山航路に寄せる期待と航路延長の願望
とはいえ、松山から九州へ直行できる海路の利便性が今後失われるのは残念。
そこで注目されるのは、防予フェリーが運航する松山〜山口・柳井航路だ。いまは減便された深夜の時間帯もあるが、周防大島寄港便も含めて約3時間で西中国を結ぶルートは今後需要が増すのではと期待する。
もしそうなれば、いつかそのうち1日1便だけでも小倉・松山航路を復活する余地はないだろうか。関門海峡の手前、下関まででも良い。その場合、今の防予フェリーの船体ではさすがにサイズが小さく、約6時間の船旅に適するのは八幡浜〜別府航路クラスの船体が求められる。
イメージは神戸〜高松を結ぶジャンボフェリー。船内施設も大事だが、夜行の利便性が西瀬戸海域にも欲しいところ。宇和島運輸や九四オレンジフェリーから用船というのは無理筋か。
空路では東京便が小型化、他空港行リムジンバスが利用客を奪う
他方、陸路ではJR高速バスの東京行ドリーム号が撤退して久しい。空路は松山〜札幌便の休止や、LCCでは好評だったPeachの関空線も収益性の観点から他路線へ振り向けられてしまった。更にはJALの東京便は、B767からB737へ小型化された。そして、愛媛県東部の東予(とうよ)地方の四国中央市エリアからは、香川県の高松空港へリムジンバスが走り利用客が奪われている。同空港は中四国最大の国際空港でもあることは既報の通りで、この利便性を活かし、国内線も松山空港の利用者数を追いかけている。
こうして見ると、国内各地から愛媛・松山への陸海空交通の輸送力は次第に落ちていることは明らかだ。
そんなところへ飛び込んできたのは
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