『2gether』第11話レビュー:今明かされる真実。世界一美しいストーカー・Sarawatの秘めた想いに全米が泣いた!!
世界中を涙と胸キュンの沼に落とし込んだタイ発のドラマ「2gether」。最終話までの全話レビュー連載です! 書き手は、ご自身もタイドラマ沼に落ちた、ライターの横川良明氏。プロの書き手として冷静と情熱の間を彷徨いながら、横川氏が「2gether」と共に毎週金曜を駆け抜けます!
文/横川良明
よこがわ・よしあき●演劇とテレビドラマを得意とするライター。初のインタビュー本『役者たちの現在地』(KADOKAWA)が発売中! 電子書籍『俳優の原点』(ライブドアニュース編集部)も発売中。
<前回までのレビューはこちらから>
もういくつ寝ると、10月18日〜♪
などという語呂を一切無視した替え歌を口ずさみたくなる今日この頃。それもそのはず。なぜなら10月18日は、待ちに待った「Kun-gu 2gether Live on Stage」の日です! BrightやWinはもちろん、MikeにToptap、DrakeにFrank、Khaoutung、JJ、Gunsmile、Guy、Gun、そしてLoveにFilmと女子メンバーまで集結。Bright&Winのファンミーティングはありましたが、『2gether』メインキャストが揃ってのファンミーティングはこれが初めて。『2gether』に人生を変えられた者として、このファンミに参加しないという選択肢はないのです。
日本のファンはあくまでオンライン視聴。なのに、つい当日の服装を考えたり、お酒は何を用意しようか、ゴハンはUber Eatsでちょっと贅沢でもしようか、とあれこれプランを立てているだけで心が華やぎます。大好きなあのメンバーがステージでどんなワチャワチャを見せてくれるのか楽しみすぎて、もしも願いが叶うなら10月18日が永遠にループする世界線に送り込まれたい。
一緒に『Kan Goo』を合唱できるよう、とりあえず歌詞を覚えるところから頑張りたいと思います!(タイ語の壁ェェェ)
では、今週のBright&Winです。
10月8日、Brightが芸能生活7周年を迎えました!!! この長い歩みの中で、僕がBrightと時間を共有できたのは、たったの5ヶ月程度。それでもこうして大切な瞬間をお祝いできた幸運に胸がいっぱいです。Happy anniversary,Bright!
そして、コラボ中のダンキンドーナツをゴリゴリ営業するWin。タイ沼に来て知ったのですが、推しなら何を言ってるかビタイチわからなくても、ただ喋っているだけで幸せなんですね。ようわからんけど、天に向かって拝んでるのめっちゃ可愛い。
なぜダンキンドーナツは日本で展開していないのか。どうやらかつて吉野家が運営していたそうですが、1998年に日本から撤退した模様。「吉野家め〜〜!!!」と筋違いの怒りをぶつけたところで、第11話のレビューを始めます。このレビューでは物語の内容にガンガンふれていきますので、ネタバレを避けたい方はすみやかに避難してください。
Sarawat VS Mil。Tineをめぐる男たちの本気バトルが勃発!
<第11話 あらすじ>
Sarawat(Vachirawit Chiva-aree/通称Bright)のスマホに今も大切に保存されている『Your Smile』というラブソングはいったい誰のためにつくられたものなのか。過去の恋が気になって仕方ないTine(Metawin OPAS-iamkajorn/通称Win)は、なんとか本人から聞き出そうと作戦を立てるものの、あえなく失敗で終わる。
そんな中、軽音部で植林キャンプに出かけることに。Sarawatと楽しい時間を過ごそうとするTineだが、なぜか次々と悪いことばかりが起き、すっかり落ち込んでしまう。そんなTineを思いやり、Sarawatはある計画を実行する。
みんな〜! 嫉妬している男の子は好きですか〜〜!! 僕は〜〜〜〜(1回息継ぎをして)大好きで〜〜〜〜〜〜〜す。
ということで、ついにやってきました第11話。この第11話は見どころがありすぎて体感視聴時間は2分くらい。なのに、観終わったあとは、ディズニー帰りの京葉線くらい幸福感に満ちている。すごいぞ『2gether』。いけいけ『2gether』。
今回も、嫉妬でモヤモヤしているTineのオンパレードです。Sarawatのスマホから『Your Smile』というタイトルのオリジナルソングを見つけてしまったTineは、その曲が誰のためにつくられたのか知りたくて居ても立ってもいられない様子。
そこでTineはコイントスゲームで「勝った人は相手に質問ができて、負けた人はお酒を一気飲みする」という企画を決行。かつて石田ゆり子が「女房酔わせてどうするつもり?」と聞いてきましたが、TineはSarawatを酔わせて本音を吐露させる気満々です。
強運にも3連勝したTineはSarawatの恋愛遍歴をなんとか聞き出そうとしますが、のらりくらりとした回答にはぐらかされた挙げ句、飲み過ぎでSarawatが早々にダウン。結局、大した収穫もないままゲームは終了に。根がいい子のTineはどうやら尋問には向いてない模様。絶対に警察官とかになっちゃダメだ。
一方、SarawatもSarawatで嫉妬心がむき出し。隙あらばTineにちょっかいを出しはじめたMil(Sattabut Laedeke/通称Drake)を相手に火花を散らします。植林キャンプにやってきた軽音部は、松の木の精霊にお祈りに行くことに。実はこれ自体が、SarawatとDim(Sivakorn Lertchoochot/通称Guy)が落ち込み気味のTineを元気づけるために立てた企画。本当は裏工作でTineとペアになるはずが、Milの乱入により失敗。結局、TineとMilがペアを組むことに。
TineにベタベタするMilに腹を立てるSarawat。そんなSarawatを気遣うDimはMilがお祈りしている隙に、彼の持っているキャンドルの火を消すというイタズラを。このやりとりだけで可愛いのですが、見どころはそのあと。キャンドルの火が消えたMilは、横にいたTineのキャンドルから火を分けてもらいます。この瞬間、後ろで「あ! 俺のTineから火をもらってんじゃねえ!」と地味に怒ってるSarawatがめちゃくちゃキュート。さりげない一瞬のカットですが、Brightの小芝居が光っています。
Sarawatがつくった謎のラブソング事件から踏んだり蹴ったりのTine。ふたりの愛を誓った植樹はDimとGreen(Korawit Boonsri/通称Gun)に踏み折られ、せっかくSarawatがつくってくれたおそろいのブレスレットはどこかになくしてしまいます。この恋人からもらったプレゼントを紛失してしまうエピソードは、かの名作『天使なんかじゃない』で晃からもらった天使の羽のネックレスをなくしてしまった翠のようで、私のりぼんマスコットコミックス魂をさらに燃え上がらせてくれました。
興奮のあまり「落ちるまでキスするぞ」と言っちゃうSarawat の思考回路、最高やろ
松の木の精霊が眠る社までうっかり燃やしてしまったTineは、せめてもの厄払いにと夜中にこっそり宿泊施設を抜け出し、焼けた社のもとへ行きます。しかし、もともとTineといえば、睡眠薬を入れたドリンクがどちらだったか2秒で忘れてしまうニワトリレベルの記憶力しか持ち合わせていない男。すっかり帰り道がわからなくなり、迷子になってしまいます。
この旅行中に単独行動をとった主人公が行方不明になっちゃう展開も、よくりぼんとかで見た気がする〜〜。もちろん、そんなピンチに駆けつけてくれるのは、白馬の王子ことSarawatです。ふたりは雨露を避けるため、近くのバスで雨宿り。そこで、Sarawatは『Your Smile』という曲に込められた真実を明かします。
そう、あの『Your Smile』とはまぎれもなくTineのためにつくった歌。1年前、Scrubbのライブで見かけたTineに心奪われたSarawatが、Tineの無邪気な笑顔を想って書いた曲だったのです。
そして明かされる、悶絶級に可愛いSarawatの秘密。1年前、ライブで出会って以来、もう一度Tineに会いたくて、Scrubbのコンサートに通い続けていたこと。そんなTineと再会できて、子どもみたいに大騒ぎしたこと。Tineから来た初めてのメールに興奮したこと。そして、それをMan(Chinnarat Siriphongchawalit/通称Mike)が勝手に返信し、真っ青になったこと。Tineが軽音部に入れるようDimに根回ししたこと。Tineに「もう構う必要はない」と言われて落ち込むSarawatをTineに「もう会わない」と言われて落ち込むSarawatを、ManとBoss(Chanagun Arpornsutinan/通称:Gunsmile)が励ましてくれたこと。
これまでずっとTineの視点から描かれてきた物語をSarawatの視点から見てみると、そこにあるのは初めての感情に戸惑い、ドキドキし、友人たちに支えられ、懸命にアタックする、とってもピュアでまぶしいひとりの青年の初恋日記なのでした。
(Sarawat の半ズボンの破壊力よ……)
つーか、いきなり好きな人が目の前に現れたからって、つい「そんなに見つめられたら、落ちるまでキスするぞ」と口が滑っちゃうって、どういう思考回路??? しかもそれを「でも俺ってば“落ちるまでキスする”って」と反省しているSarawatの可愛さに、自分の中で感じたことのないクソデカ感情が炸裂しました。
クールで無愛想に見えて、実はめちゃくちゃラブリーなSarawat。この顔面にして、このウブさ加減に、私の微笑みの爆弾が大爆発。だてにあの世は見てねえぜ!!
リアルタイム時、この11話を観終わった瞬間、多くのファンたちが「え? そうだったの……?」と思わず1話までプレイバックしたのは今や語り草。「このシーンのあとのSarawatの気持ちは??」と途方もない妄想に胸を膨らませ、眠れぬ夜を過ごしたのでした。
ManとTypeのカップリングが良すぎて、ブッダに祈りを捧げました
Sarawatの告白の破壊力にもうすっかり残機はゼロ状態なのですが、この11話を語る上でもうひとつ忘れてはいけないポイントがあります。それが、ManType萌えです。
Type(Jirakit Kuariyakul/通称Toptap)の行きつけのカフェを調べ上げたManは、偶然を装いTypeに接近。しかし、ちょっと席を離れた隙に逃げられたり、巧妙な嘘に引っかかってまんまと置いてけぼりを食らったり。あの手この手で煙に巻くTypeと、どんなに嫌がられてもまるでめげないManの鋼メンタルに、恋のドーパミンが大量分泌。
そんな縮まる気配のまったくなかったふたりの距離は、Typeの車のパンクをManが修理してあげたことから急展開。Manの頬にタイヤの汚れがついているのを見つけたTypeはぶっきらぼうにハンカチを渡します。Typeの優しさに思わず表情を明るくするMan。そんな彼の屈託のなさにつられて、ついTypeも頬が緩みそうになりますが、それに気づいて、きゅっと口元を引き締め直すところが全オタクのツボを突いてくる。とりあえずタイの方角にひざまずいて、ブッダに祈りを捧げたくなりました。
あ〜〜、このドライでそっけないTypeと、一途で健気なManというカップリングがたまんねえ〜〜〜〜。年下わんこがご主人さまに尻尾振ってる感じと、そんな大型犬に困惑しながらも明らかにほだされていってるさまが、心のときめきメモリアルに火をつける。もちろん付き合ってからのイチャイチャもたまらんのですが、やっぱりこの付き合うまでのムズムズするような関係性こそがラブコメの真骨頂なんですよ!!!
しかも、「身長差」というみんなが大好きな要素がこのManTypeには盛り込まれているので、ふたりが並んだときの絵面の良さは圧倒的大勝利。SarawatTineが覇権を握る『2gether』にManType民という新勢力が爆誕したのでした。
友達の恋をみんなで一生懸命応援する。そんな『2gether』の魅力である友情の微笑ましさが前面に描き出された第11話。「もうこれで最終回でいいのでは?」という幸福感でいっぱいなのですが、幸せのあとには必ず涙がやってくる。次回は、SarawatとTineのもとに最大級のクライシスが訪れます。あ〜、思い出しただけで億劫になってきた…。
最終回まで残り2話。いよいよクライマックスを迎えるこの世界でいちばんハッピーなラブコメディの行方を、最後までじっくり見守っていきましょう。
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