lyrical school himeに聞く！　日本ヒップホップシーンのリアル事情

chelmicoやCreepy NutsがTVを賑わせ、You Tubeでは毎週のように注目アーティストが登場し、刺激の尽きないヒップホップシーン。そんなシーンの動向とニューカマーを、アイドルラップユニット：lyrical schoolのメンバーとして、そしてアイドル界きってのヒップホップファンとして知られるhimeが解説！　インタビューの最後にはhimeレコメンドの3曲も！

取材＆文／高木”JET”晋一郎　撮影／横山マサト

――Abema TV「Music 水曜TheNIGHT」でもサイプレス上野くんが同じことを言っていましたが、サ上や僕のようなオジサン世代が日本語ラップのニューカマーや、新しいフレッシュな存在を知る窓口として、himeさんは欠かせない存在となっているのです。

そうなんですか（笑）？

――最先端のラッパーの同じ世代で、近い感性を持っていて、熱心にラップを追ってるから、めちゃくちゃリスナーとして信頼してます。それにオジサン世代がニューカマーを紹介することにリアリティを個人的には感じにくいし、そういう人たちを「欺瞞じゃないかな」と過去に自分でも感じていた節もあるので、ここはhimeさんにご登場願おうと。実際、めちゃくちゃ聴いてるし。

You Tubeやサブスクでひたすらヒップホップを流しっぱなしにしてますね。そこで気になったものをピックアップしたり、友達からの情報で聴いたり。逆にバンド系とか、普通に流行ってる曲を全然聴かないんで、そこで友達と話が合わなかったりするのが悩みなんですよね。だから流行ってるバンドの曲を2曲並べられても、「ん～……どっちもロック！」ということしか分からない（笑）。

――極端すぎる（笑）。しかも大学ではヒップホップと経営学を絡めた研究をしているという。

経営学の研究発表なのに、BAD HOPとかKANDYTOWNの名前がバンバン出てきます（笑）。でも同級生にもヒップホップを聴く子がすごく増えてるし、みんな他のジャンルの音楽と並行してヒップホップを聴くようになっていますね。友達のプレイリストを見たら、「あいみょん／Official髭男dism／米津玄師／KID FRESINO」みたいに並んでたり。

――今年はchelmicoとCreepy Nutsが『ミュージックステーション』（テレビ朝日系）に登場したり、何年か前の「ラップバトルブーム」のような飛び道具的な取り上げられ方とは違って、ちゃんと楽曲として注目される機会も増えてきましたね。またPizzaLoveくんが『激レアさんを連れてきた。』（テレビ朝日系）に「ノリで自分の電話番号をネットに晒したら1日に1000件の着信地獄に陥る中で、ある運命の出会いを果たし人生が激変した人」として登場したように、『リンカーン』（TBS系）でD.Oくんがブレイクしたときと同じ感触で、キャラクターとしても注目される傾向ももちろんあって。

PizzaLoveさんが所属してるユニット：TajyusaimBoyzも最高なんですよね。

――グループ名通り、全員が多重債務者で、そこから生まれるペーソスや、それを笑い飛ばすようなラップがモットーのグループですね。

でも私の推しメンだったYOUNG SEXが脱退しちゃって。

――……アイドルが発言していい名前じゃない！（笑）。

だからヤンセって呼んでます（笑）。脱退ライヴもみんなニコニコしてる感じだったんですけど、私だけ大号泣しちゃって、周りから不審がられました（笑）。

――「Mステ」といえば、福岡のRin音くんも出演しましたね。彼の「snow jam」はYou Tubeで1千万回再生を超えるなど、大きな注目を集めています。

Rin音くんとか空音くん、クボタカイくんみたいな、エモいラップを表現する人たちもすごい人気ですよね。私も大好きです。分かりやすいメロディ・ラインとフック、テーマはラヴソングが多いっていうのは、すごくポップだと思うし、ポップなラップが流行って入り口が広くなったお陰で、私たち（のようなラップアイドル）を聴いてくれる人もいるみたいで。しかも女の子のファンがすごく多いんですよね。客演で参加したり、関係性が近いシンガーソングライターのkojikojiちゃんも含めて、ゴリゴリのラップ好きじゃないリスナーにまで届くキャッチーさがあるし、耳に残りやすい楽曲が多いと思うので、ヒップホップが苦手な人にも聴いて欲しいですね。カラオケでも歌いやすいと思います。

――カラオケでラップってします？