『2gether』第10話レビュー:多くの人が「サラタイ 初夜」と検索した伝説の回がついに降臨!
世界中を涙と胸キュンの沼に落とし込んだタイ発のドラマ「2gether」。最終話までの全話レビュー連載です! 書き手は、ご自身もタイドラマ沼に落ちた、ライターの横川良明氏。プロの書き手として冷静と情熱の間を彷徨いながら、横川氏が「2gether」と共に毎週金曜を駆け抜けます!
文/横川良明
よこがわ・よしあき●演劇とテレビドラマを得意とするライター。初のインタビュー本『役者たちの現在地』(KADOKAWA)が発売中! 電子書籍『俳優の原点』(ライブドアニュース編集部)も発売中。
<前回までのレビューはこちらから>
先日、Brightが立ち上げたプライベートブランド・AstroのTシャツとトートバッグが届きました。トートは思ったよりも大容量でマチも広いので、なんでもガンガン入れられて便利。生地も厚手で耐久性がありそうだから、普段使いもノープロブレム。Bright&Winのぬいぐるみもすっぽり入るので、ぜひこれを持ってオタク会をやりたいです。
ちなみにTシャツはMサイズなんですけど、日本のMサイズよりかなり大きめ。メンズの僕ですら着ると彼氏のTシャツ感がすごいです。タイの男の人って大きい〜〜〜〜〜〜と感慨にふけった瞬間、「は…!」と183cm&185cmの彼らの体格が妙にリアルに感じられたので、今日はこのへんにしておきます。
そんな今週のふたりはというと。
壁にもたれるだけで絵画になる男・Bright。
立てた襟から漂う富豪の風格・Win。
こんなふうに週に何度かは推しの新規画像が爆誕するなんて。しみじみタイのSNSが活発でよかったと思う今日この頃です。
ということで、第10話のレビューを始めます。このレビューでは物語の内容にガンガンふれていきますので、ネタバレを避けたい方はすみやかに避難してください。
交際開始→同棲のスピード感がすごすぎて、サラタイへの愛が止まらない
<第10話 あらすじ>
Sarawat(Vachirawit Chiva-aree/通称Bright)からの告白を受け入れたTine(Metawin OPAS-iamkajorn/通称Win)。ついに恋人同士となったふたりは新しく部屋を借り、同棲生活をスタートさせる。
ところが弟に悪い虫でもついたのではないかと怪しんだTineの兄・Type(Jirakit Kuariyakul/通称Toptap)が新居を訪れ、ここで1週間暮らすと言いはじめる。何かとふたりの間を邪魔しようとするTypeに、TineはSarawatとの関係を言い出せず、ふたりの間に微妙な空気が流れる。
キャンユーセレブレ〜〜〜イ。キャンユーキッスミートゥナアアアアアイ。
のっけから突然歌い出したこの気持ち、10話をご覧になった方ならおわかりいただけることでしょう。それもそのはず。だって、Sarawat&Tineがついにお付き合いを始めたのですから。
ずっと恋人のお世話をする立場だったTine。それが、Sarawatが現れたことで、初めてお世話をされる側になった。その気恥ずかしさやぎこちなさに戸惑いながら、自分もSarawatの役に立ちたい、何かをしたいという気持ちで、Tineは軽音部のステージに立ちました。
しかし、緊張のあまり練習通りのパフォーマンスができずに終了。映画のようなハッピーエンドにできなかった。そのことが辛くて、自分はSarawatにふさわしくないと身を引こうとします。けれど、そんなTineにSarawatは言います。
「俺たちふたりの映画ならこのシーンはきっと…お前が結末を選べる。悲劇で終わらせてもいいし、ハッピーエンドにもできるよ」
たとえ失敗や悲しみに心が打ち負かされても、そこで人生が終わったわけじゃない。前に進むことさえあきらめなければ、どんなバッドエンドもハッピーエンドに塗り替えることができる。そう勇気づけてくれる『2gether』の中でもとびきり大好きな台詞のひとつです。
そんなSarawat の最高の口説き文句に、Tineの出した答えもOK。しかも、その伝え方がオシャレです。
覚えておいででしょうか。第2話の終盤で、SarawatがTineのペットボトルに「彼には恋人がいる」と付箋をつけてドデカいマウントをとったことを。それをなぞるように、今度はTineがペットボトルに「Sarawat には恋人がいる。名前はTine」と書いて渡します。
返歌かよ。
平安時代は和歌を詠んで想いを伝え、受け取った相手はまた和歌で返事をしたといいますが、国も時代も超えて完全に一致。
そんな雅なやりとりから始まったふたりの清い恋ですが、8分後には同棲してた。
早ない???
これがジャンプの連載なら「どうしたん?打ち切りでも決まったん?」と疑いたくなる急展開。しかし、この常識をすっ飛ばしてくるドライブ感こそが、タイドラマの面白さ。突如始まるイチャイチャシーンの連発は完全にボーナスゾーン。これはもうマリオが豆の木のぼった先にあるエリアや! 大人しくコインとりまくろ!
オタクの心臓を仕留めに来てるとしか思えないイチャイチャのオンパレード。楽園じゃー!!! ここは人類の楽園じゃー!!!!!
まさかイケメンがイケメンのケツを叩いたり、イケメンがイケメンと歯磨き粉をくっつけ合ったり、イケメンがイケメンと煮卵を食べ合いっこさせる場面を3Dで拝める日が来るとは思っておりませんでした。本当に長生きはするものですね。
このシーンは現場でいろいろセッションしながらつくったらしく、画面からにじみ出る雰囲気もとってもナチュラル。その仕草のひとつひとつに、BrightとWinがSarawatとTineとして生きた日々まで感じられるようで、胸がキュンキュンしすぎて明日筋肉痛になりそう。
この回だけは水沢めぐみじゃなくて北川みゆき作画でもよかったんやで…
新居祝いに駆けつけたMan(Chinnarat Siriphongchawalit/通称Mike)とBoss(Chanagun Arpornsutinan/通称:Gunsmie)。ふたりがくれたプレゼントはコンドームブーケ! 鍵を閉めていたはずなのにどうやってあのふたりは入ってきたんだと訝しむTineですが、間違いなくSarawatが共犯だと思います(確信)。
さらに、いよいよふたりの初夜!
Tineの腰に体をくっつけるように抱き寄せ、下から「どうする? イヤか? 答えろ」と煽るSarawat。この角度のBrightのビジュアル、無双すぎ。出てるフェロモンが異常値すぎて、スカウターが爆発してるわ。
ついに、この日が、来た……! と、ぐっと固唾を呑むオタクたち。
Tineをベッドに突き飛ばし、跳ねるようにSarawatが飛びかかった瞬間、次のシーンは翌朝でした。
\ライカントピニー!/
危ない危ない。興奮のあまり『2gether』が水沢めぐみ案件だということを完全に忘れていました。こちらとしては、若干、北川みゆきになってもらっても何ら構わないのですが、そこは爽やかめぐタンワールド。小林大地の上裸など想像できないのと同じです。あとは想像力という翼を羽ばたかせることにします。
(ちなみにSarawatが Tineの首筋を執拗に狙っていたのを見て、めちゃくちゃ想像が膨みましたありがとうございます)
必死に涙をこらえるPhukongに僕の情緒が崩壊した
ところが、そんなふたりの「ハッピーライフハッピーホームタマホーム♪」生活に早くも異変が。Tineの兄・Typeが弟の変化を察知し、突如転がり込んできたのでした。
いきなり1週間泊まり込むからと宣言した上、Sarawatを追い払うように床にテープを貼って陣地分けをするType。この心臓の強さにTineと同じ遺伝子を持つ男だと実感。TineはTineで兄にSarawatのことを恋人だと言えず、友達だと嘘をついてしまいます。
ですが、これしきのことで10話のイチャイチャモードは負けません。Typeが寝たのを見計らって、TineはSarawatが眠るソファへ。Sarawatはソファで一緒に寝ようとTineを誘います。どう考えてもめちゃくちゃ体格のいい男ふたりが眠るには狭すぎるソファですが、狭ければ狭いほどこちらとしては好都合。バックハグ状態で眠るふたりに、5年分の賞与をもらった気持ちになりました。
ちなみにお気づきの通り、このTypeはManが追いかけていた謎の青年です。運命の人の正体はまさかのTineの兄だったという、6943万人というタイの人口を完全に無視した展開ですが、そこは面白ければいいのです。ここから一気にManは口説きモードへ。
まるでイタリア人のようにラテンでオープンなManの口説きは清々しささえあり、露骨に嫌がるTypeとの相性も抜群。最終回まで残り4話という終盤に入って、突然ギアが3つくらい上がったManTypeの恋が、『2gether』をさらに面白くさせてくれるので、どうかこのふたりにご注目を!
一方、Mil(Sattabut Laedeke/通称Drake)とPhukong(Thanatsaran Samthonglai/通称Frank)にも大きな進展が。兄を襲ったのはMilではなかったと知ったPhukongは改めてMilへの想いを募らせます。
どうでもいいことですが、めちゃくちゃよく盗み見をしているPhukong。いつも気づいたら物陰から盗み見をしている気がするので、完全に星明子(by巨人の星)状態。
そんな星明子、Milへの想いを抑えきれず、おなじみのサッカーコートへMilを連れ出します。「言いたいことが。ゴールできたら言います」と告白をにおわせる星明子。岡村ちゃんかよ! 「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」かよ!
しかし、残念ながら蹴ったボールはゴールポストに弾かれます。正直、キーパーもいないこの近距離でゴールを外すの下手すぎないかと思わなくもないですが、恋は足元を狂わせるのですね。代わりにMilが鮮やかにゴールネットを揺らし、「お前が好きだ」とラブい雰囲気を出しておきながら、「弟のようにな」と付け加える鬼畜プレイでPhukongの恋心をこっぱみじんに。Mil、鬼すぎるやろ。
と思ったら、自分のつけていた腕時計を外し、「試験のときに使え。時間切れになるなよ」とPhukongに渡すMil。優しいいいいいいいいいい。でもその優しさがつらいいいいいいいいい。一生懸命涙をこらえるPhukongを見ていたら完全に情緒が崩壊しました。
誰かの願いが叶うころ あの子は泣いているよ
実る恋もあれば、実らない恋もある。そんな人生の喜びと悲しみを凝縮したような第10話。兄にSarawatとの関係を告白し、めでたしめでたしと思いきや、Tineのもとに新たな不穏な影が訪れます。
次回は、『2gether』を「何度も見たくなる」と言わしめた理由が解き明かされる回。最後は「オ〜〜ハッピ〜〜デ〜〜〜」と高らかに歌い上げたくなるはずなので、1週間、ボイトレをしてお待ちください。