「2021年は一発カマせるものが欲しい!」【フィロソフィーのダンス 偏愛記・特別編】全員インタビュー
フィロソフィーのダンス、新年一発目は2020年の振り返り&今年の展望をたっぷり語ったインタビューからスタート! 「一発カマせるものが欲しい!」と力強く話してくれた彼女たちに、期待しかありません。これまでの記事は↓から読めます!
取材&文/南波一海 撮影/横山マサト
フィロソフィーのダンス、2020年の活動を振り返り
――今回は2020年の総括と2021年の展望という企画になります。メジャーデビュー以降の調子はどうですか?
佐藤まりあ 日向ハルみたいな質問(笑)。
十束おとは ハルちゃん以外に調子を聞く人は初めてですよ! 調子ですか。今年はあまりライブもできなくて、お客さんを目の前にして熱を感じることができなかったのは残念でしたけど、11月に「Philosophy no Dance "World Extension"」でARなどの映像演出を入れたライブという初めての試みをやらせてもらえたりしたので、収穫はありました。でもやっぱり2020年を振り返るとなると、お客さんともっと会いたかったな、と。
――2020年は有観客での単独ライブがなかったということ含め、フィロソフィーのダンスは慎重に事を進めるグループなんだなと改めて思いました。
奥津マリリ それは思います。デビューイヤーってちょっと無茶してもおかしくないタイミングだと思うんですけど、そんな年ですら今まで通り慎重というか、狭い歩幅で歩いていく感じで。結果的にそうなっちゃったというのもあるんですけど。
――コロナ禍という状況がなお続いていますし。
奥津 慎重に、安全に、着実に、ですね。有観客のライブはもちろんやりたいんです。メジャーデビューしてからは、知り合いの知り合いが名前を知っていたりとか、アイドルファンじゃない層にも少しずつ広まっているのかなと思うことが増えました。ただ、ライブがなくて実際にファンの方々を目の前にできないので、今フィロソフィーのダンスがどのくらい広まっているのかを実際に感じることができない。だから不安ではあるんですよね。
――今年の春先で言うとNHKの音楽番組「RAGAZZE!〜少女たちよ!」が放送されて、色んなファンがフィロソフィーのダンスの存在に気付いて広がっていくということがありましたよね。
奥津 あれはうれしかった。
――ただ、それをライブ現場で実感するタイミングがなかったという。
奥津 そうですね。放送が3月で、自粛し始めたのが2月だったので、実際の反応を現場で感じることはできず。
――コロナ以降、あちこちで取材をしてきた感じたことは、演者にとって、ファンの前でライブができないということは、予想以上にストレスフルなんだなということでした。ある意味ファン以上かもしれないくらいで。
日向 お家にずっといたので、ステージに立てること自体がまず楽しいんですけど、ライブは、リアクションを見て、こっちもテンションが上がって、煽って、という掛け合いがあるからこそ楽しいので。お客さんが目の前にいないライブは、正直物足りないと感じることもあります。
――わかります。
日向 だからこのままじゃいけないな、踏み出さないといけないなと思っていて。最近、自分がお客さんとしてライブを何本か見に行く機会があったんですけど、やっぱりパワーをもらえるものだと改めて感じました。私たちはメジャーに行って進化したんだというのを見せるワンマンライブをお客さんを入れて早くやりたいという気持ちが強いです。
――前回のインタビューでもライブができないことへのもどかしさを感じましたが、よりその気持ちが強くなっているわけですね。
日向 できてない期間がだいぶ長いですしね。色んな人たちが対策を取りながら工夫を凝らしてライブをやっているのを見て、発信したいともっと思うようになりました。
――佐藤さんはいかがですか?
佐藤まりあ もちろんすぐにでもお客さんを入れてライブをやりたいんですけど、やろうと言ってすぐできる状況ではないなと思っていて。もどかしい気持ちはあるけれど、ファンの皆さんには体を大事にしてほしいというのが一番。YouTubeでの発信とか、今できることを模索しながらもうしばらく様子を見たほうがいいのかなと今は思っています。ほかのアーティストさんがライブをやっているのを見たりして、悔しさを感じたりすることもあるんですけど、私たちも今できることを全力で頑張って進んでいくしかないかなと思います。
――なるほど。少し話が逸れてしまうかもしれないですが、グループ内でもこうして違う意見を自然と表明できるところがいいなと思いました。
奥津 そうそう(笑)。
十束 自分にブレない芯があるところがいい。
――それ自体がそのままグループの魅力になってますよね。
十束 風通しのいい素敵な職場です(笑)。
ARなどを取り入れた新感覚配信ライブ“World Extension”の感想!
奥津 色んな思考があるし、人は人なので、こういう人もいるよね、私はこうだよみたいな感じになる。否定はしないんですよ。
日向 だからライブに慎重な意見を聞いて、「あれ? 私、違った?」と思ったけど、それはそれでいいやと思った(笑)。
佐藤 ここの風通しがよすぎて、協調性みたいなのが苦手になってきてない?
奥津 そうなんだよ!
佐藤 友達と遊んでても「私、これって身勝手じゃない?」と思うときがあって(笑)。そういうことがあるたびにみんなはよっぽどいいメンバーなんだなと気づかされる。
日向 もうメンバー以外と仲よくできない(笑)。一番居心地がいいから。他人に心を開くのが面倒くさいからこのなかで生活したい。一生守られていたい。
十束 頑張って他の人にも心開いてくれー(笑)。
――話を戻すと、“World Extension”をやってみての感想はいかがですか?
十束 やってよかったのは間違いないです。あのライブをすることで新たな発見があって、仲間も増えました。普通の配信ライブはもう飽きられちゃっている部分もあると思うので楽しんでもらえるだろうかドキドキしていたのですが、見てくれた方々の反応もすごく良くかったので安心しました。次はファンじゃない方々にもたくさん知ってもらえるような機会のあるところでもう1回やりたいなと思ったりもしました。
奥津 ARの演出を取り入れたライブと言葉で言われても、実際に見てみないと想像しづらいものだったと思うので、実際に見てくれた方のリアルな感想が広まればいいなと思います。
――十束さんが普通の配信ライブは飽きられているのではないかと言いましたけど、まさにそうで、フィロソフィーのダンスの切り拓こうとする姿勢はすごくよいことですよね。トライ・アンド・エラーをしていくなかで、仮にエラーに転がることがあっても、トライしないと見えてこないことはたくさんあるじゃないですか。以前とまったく同じことをやるわけにもいかないし。
十束 本当にそうだと思う。最初に何かをし出す人の失敗はつきものだから、やらないよりかはやったほうがいい。今回の1歩目はよかったと思う。次の2歩目をどうするかが重要で、さらに考えて臨みたいなと思います。
日向 演出をしてくれた(渡辺)大聖さんは「RAGAZZE!」をテレビを見てフィロソフィーのダンスを知ってくれて、それでオファーをくださったんです。私たちもちょうど配信ライブで新しいことをやりたいなと思っていたところだったので、ひとつの仕事が次に繋がって出会いがあったというのは自分としてはすごくうれしいことでした。
――2020年の大きなライブとなると、“World Extension”と、5周年記念ライブと……。
奥津 自主企画としてはそのくらい?
十束 あとは配信のフェスとかに出たり。2020年は本当に少なかったです。
佐藤 そろそろ振りも忘れてる気がしてこわい(笑)。
――身動きが取れなかったけれど、過ぎてみれば1年がとても早かったなと思います。
十束 私も2020年の前半の記憶がほぼないですもん(笑)。
日向 体感2秒だった。でも、後ろめたさを感じずに足を止められたのは自分にとって収穫だったなとプラスに捉えていて。毎日忙しくさせてもらっていると、目の前のことをこなすのに精一杯で自分を見失うこともあると思うんですよ。逆に、死ぬほど時間が有り余ってどうしようってなることは人生においてもなかなかない。その時間が急にできて、じゃあ自分は何に興味があるんだろう、何が好きなんだろうって自分と向き合うことができました。あとは、何を発信したいかをすごく考えさせられる年になったと思います。インディーズの頃は与えられたものを歌って踊るという意識に近くて、そのなかで自分の個性を出すという感じだったんですけど、メジャーのファースト・シングルを作るにあたっては、「私たちが発信するもの」という意識が生まれて、私は今後何をやりたいか、どういうものを届けたいかが考えられるようになったので、その面ではすごくいい年だったと思います。
――強制的に自分と向き合う時間ができて、結果それがよい方向に作用した。
日向 それは大きかったです。お客さんの前でライブはできなかったけど、私はいい期間だったなと思いたいです。発信したいことがなくなったら、何のためにやっているかわからなくなっちゃって続けられないから。逆に発信したいことが増えたのは今後にとってプラスだったと思います。
十束 私たちは前向きだからここにいて、それは生きる上でも絶対必要なことだと思うんですけど、一方で、アイドルがどんどん消滅してしまった1年だとも思っていて。その点では寂しかったという気持ちもあります。
――自分を見つめ直すタイミングでその後が分岐したのは間違いないですよね。
十束 どんなスターでも自分と向き合うとつらいと思う人はいるだろうし。だから、続けられることに感謝。そのことを心から思った1年でもあります。
2021年は「一発カマせるもの」が欲しいです!(奥津)
――グループの2021年のビジョンについてもうかがっていいですか? 現時点では言える話、言えない話があると思うんですけど。
十束 明るい話が待ってます! フィロソフィーのダンス列車は結構な速度で走ってます(笑)。
――それは楽しみです。
奥津 この先の状況がどうなるかわからないですし、この状況は短期間では変わらないかもしれない。だからこそこれまでの期間に溜めてきたみんなの力とか鬱憤みたいなものを晴らす、爆発できる場があったらいいなとは思っていて。それが人のいるライブなのか何なのかわからないですけど、一発カマせるものが欲しいですよね。
――カマせるもの。
奥津 望ましいのは人前でのライブですけど、そこは無理をせず。私たちは続けていくための努力を怠らないので、ファンの方々も「何もないなぁ」と焦る気持ちをグッと一緒に堪えてもらって、元気で会えるようになったら涙が溢れるくらいの幸せなライブをしようねという気持ちです。
――人前でライブをやったらどれだけの感動になるのかという。
奥津 私、配信でもすでに泣いてるんですよ。
十束 毎回泣いてるよね(笑)。
奥津 歌うたびに泣いてる(笑)。“World Extension”のときはモニターに映ってるみんなの顔を見て泣いた。これこれ!っていう。スタッフさんが私たちとファンのみなさんがどう繋がった気持ちになれるか、いかに一緒の会場にいるような気持ちになれるかを考えてくれて、それに心が満たされすぎちゃいました。あのライブのあと、スタッフさんが、いかに私たちにファンの存在を感じさせるかが大事というモードになってるんです(笑)。
――いい話ですね。演者側もしっかり喜ばせたいと。
奥津 もちろんファンの方々が一体感を感じられるライブを模索していくけれども、私たちの反応を見て、演者側がファンの人を感じられるような仕組みをもっと考えなきゃなと思ったとスタッフさんも言っていて。あの日のライブも繋がりましょう、心を通わせましょうと考えてくれたもので、それこそトライ・アンド・エラーの一環じゃないですけど、あの1回を経たからこそ、私たちの気持ちが更に入るようなライブを作ろうと考えてくれています。
――より相互になる方向を模索していくわけですね。
奥津 そうですね。技術に関してはわからないですけど、配信ライブは今後も続くと思うし、しっかり考えてくれるスタッフさんがいるので、そちらも今後に期待という感じです。配信でも感動したから、人前で歓声なんて浴びたらおんおん泣く(笑)。
佐藤 歓声は久しく浴びてないですからね。1年以上。バンドセットでやりたい。新木場でやったのが2019年の12月17日なんですよね。
日向 やば! もう1年経ったんだ!
佐藤 毎年のバンドセットで自分たちの成長を測ってきたところもあったので、やりたいですね。
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