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商標弁理士と振り返るファミコンソフトのタイトルネーミング ~その1 単独造語編~

こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。

さて、以前にも書いたとおり、今年2023年は、ファミコン(ファミリーコンピュータ)が発売されて「40周年」という記念すべき年となります。

昨年末、それに先がけて「ファミコンゲームの商標登録15選&私の思い出」という記事を3回に分けて書きました。はっきり言って、まったく反響はありませんでしたが(苦笑)、人によっては共感などもいただけたようです。

で、今年も(懲りずに)引き続き、このnoteでは「ファミコンネタ」の記事を書いていこうと思います。

今回のテーマは、

商標弁理士と振り返るファミコンソフトのタイトルネーミング

です。

我々「商標弁理士」は、「商標」のプロフェッショナルです。
そして、商品やサービスの「ネーミング」も商標になるものですから、ある意味、ネーミングについても本業の一部だと言えるでしょう。

そんな商標弁理士である私が、これまでに発売されたファミコンソフトのタイトルをチェックし、それらのネーミングについて、独自にカテゴリー分けをした上で語っていこうというのが今回の企画です。

せっかくですので、商標実務的な観点からも、多少コメントを加えていきたいと思います。そうすれば、かなりオリジナリティのある記事になるかと(多分)。今後、読者様が商品やサービスのネーミングを考案する場面でも、少しくらいは役に立つこともあるかもしれません。

まぁ、きっと自己満足的な記事で終わってしまうのでしょうが(苦笑)、この記念すべきアニバーサリーイヤーに、記録として残すことが重要だと思っております。反響が無くてもいいんです、好きでやっているので…笑。

ちなみに、ファミコンソフトの全タイトルのチェックにあたっては、「ファミコンコンプリートガイド(山崎功著) 主婦の友インフォス」という書籍を参考にさせていただきました。この本は本当にすばらしいですね。

というわけで、早速見ていきましょう!!

~閲覧にあたってのご注意~
※商標弁理士Nがチェックしたファミコンソフトは、1983年~1994年までに正規のルートにて「カセット」で発売されたものとなります。ディスクシステムのソフト等は含まれません

アニメ、漫画、特撮、映画などの原作があるもの、元ネタとなるキャラクターがあるものなどのタイトルは、原則として除外しています

※タイトルの解釈や、そこから生じる意味合いの理解が間違っている場合もあるかもしれませんが、あくまでネーミングを独自にカテゴリー分けしてコメントすることが本題となりますので、その点はどうか温かく見守っていただければと存じます。

やっぱり強い単独造語!

やはり、ファミコンソフトのタイトルにおいても、ネーミングとして強いのは「単独造語」でしょう。「単独造語」とは、私が今勝手に考えた言葉ですが、「既成語ではないオリジナルの造語1語から構成されている」ネーミングとご理解いただくと、わかりやすいかと思います。

たとえば、「ゼビウス」とか、「プーヤン」とかですね。

既成語を少し変形させたと思われるもの(たとえば、「ココロン」)や、合体変形させたもの(たとえば、「まじゃべんちゃー」※おそらく「マージャン」と「アドベンチャー」に由来する造語)なども、「単独造語」と言って良いかと思います。

既成語でないネーミングは、一般的に「覚えられにくい」特徴があると言えます。また、「そのネーミングから内容がよくわからない」というマイナスの特徴もあるでしょう。

その一方で、「一度覚えられれば、他と大きく差別化ができる」という特徴もあると考えられます。特に、インターネット上においては、検索されれば他のネーミングに紛れることなく、ピンポイントで相手に届くことが期待できます。

ですから、そのネーミングの音感やインパクト次第で、非常に良いネーミングになることもあれば、まったく覚えられないダメなネーミングになることもあるでしょう。

たとえば、うまくいっている身近な「単独造語」のネーミングの一例としては、「インスタグラム」などが挙げられるでしょうか。

この点、ファミコンソフトのタイトルで見てみると、「単独造語」については、ネーミングが上手いものが多いという印象です。やはり、リストにして眺めてみても、ヒット作や「一度は聞いたことがある」タイトルばかりです。

たしかに、ネーミング自体からはどのようなゲームなのかがわからないものも多いです。ですが、音感の良さやインパクトの強さによって、「記憶に残りやすい」、つまり「覚えやすい」ものになっていると思います。つまり、メリットがデメリットを上回っているものが多い、と言えるのではないでしょうか。

単独造語からなるファミコンソフトのタイトルの一例

その中でも、商標弁理士N的に、「なかなか上手いなぁ」と思ったタイトルネーミングの一部を、以下にご紹介いたします。

・ゼビウス  (ナムコ)
・マッピー  (ナムコ)
・プーヤン  (ハドソン)
・ギャラガ  (ナムコ)
・ギャラクシアン (ナムコ)
・ゲイモス  (アスキー)
・マグマックス  (日本物産)
・テグザー  (スクウェア)
・バルトロン  (東映動画)
・セクロス  (日本物産)
・沙羅曼蛇  (コナミ)
・ファザナドゥ  (ハドソン)
・カルノフ  (ナムコ)
・イース  (ビクター音楽産業)
・クインティ  (ナムコ)
・フリップル  (タイトー)
・ドンドコドン  (タイトー)
・ハットリス  (ハットリス)
・まじゃべんちゃー(徳間書店)
・パロディウスだ!(コナミ)
・ココロン  (シュールドウェーブ・タケル)
・パズニック  (アイ・ジー・エス)
・パズロット  (サミー)

やはり、皆様も聞き覚えのあるタイトルが多いのではないでしょうか?

商標実務的にはどうか?

商品やサービスに関するネーミングを一生懸命考えても、商標実務的な観点(特に、商標登録の観点)から採用できないということは少なくありません。商標登録は「早い者勝ち」であり、他人が同じ商標や似ている商標を先に登録している場合は、商標登録をすることはできないからです。一般的に、良いイメージのある、好まれる語を使ったネーミングや、キャッチーなネーミングというのは、すでに他人に商標登録されてしまっている可能性は高いと考えられます。

一方、今回ご紹介したような「単独造語」のネーミングであれば、同じ商標や似ている商標が、他人によって先に登録されている可能性は、一般的には高くはないと考えられます。2文字とか3文字のシンプルなものだと、似ている商標がある可能性もそれなりにありますが、4文字以上になれば、まずスムーズに登録できるのではないでしょうか(※もちろん、ネーミングの構成にもよりますが。)。

ですので、商標登録の観点からは、「単独造語」のネーミングというのはオススメと言えます。ただ、やはり複雑すぎると「覚えられない」、「どのような商品やサービスに関するものなのかがわからない」というデメリットもありますので、考案にあたっては音感やインパクトなどを工夫して、バランスの良い語とすることが大切でしょう。

そういった点では、「単独造語」のネーミングの考案はなかなか一筋縄ではいかないと言いますか、このようなネーミングを商標として採用しようとする場合は、高度なテクニックが必要になるように思われます。

という感じで、今回はここまでです。
今後も、15回くらいに分けて続けていくつもり(長っ!)ですので、もしよろしければご覧いただけますと幸いです!

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