【13】商標登録の対象になるのはどのようなものか?(前編)

こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。
もうすぐ4月も終わりとか、早いですね!

これまでの記事では、商標登録のメリットや、やり方などを、ざっくりとお話ししてきました。今回からは、より具体的な内容に入っていきたいと思います。

今日は、表題にあるように、「商標登録の対象になるのはどのようなものか?」について、お話しします。少し長くなりそうなので、前編・後編の2回に分けることにしますね。

さて、「商標登録の対象になるのはどのようなものか?」という表題を見て、「そんなものは商標に決まっているだろう!?」と思われた方もいるでしょう。はい、そのとおり。正解!です(笑)。

それでは、その「商標」とは何でしょうか?

おそらく、皆様がイメージする商標というのは、「商品やサービスを識別する標識・目印」ではないかと思います。

たとえば、ここにティッシュが入った白い箱が3つあったとします。
それぞれが商品である場合、このままでは区別がつきません。
でも、箱に、たとえば「エリエール」とか「スコッティ」とか「ネピア」とか表記されていれば、同じ白い箱であったとしても、商品を識別することが可能ですよね?

そうです。ここでは「エリエール」、「スコッティ」、「ネピア」という文字が、それぞれ商品「ティッシュ」に使う「商標」だと言えるわけですね。

もちろん、「商品やサービスを識別する標識・目印」となるのは文字だけではありません。ロゴマーク、イラスト、商品の形、におい、手触りなど、いろいろあるはずです。

じゃあ、こういったものであれば、すべて商標登録ができるのでしょうか?

実は、商標登録の対象となる「商標」というのは、商標法という法律の中で、次のように定められています。

(定義等)
第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

はい、わかりにくいですよね(笑)。

わかりやすく列挙すると、以下のようになります。
※とりあえず、↑の条文の下4行は無視しましょう。

1.文字
2.図形
3.記号
4.立体的形状
5.色彩
6.1~5の結合
7.音
8.その他政令で定めるもの

商標法では、これらの要素を「標章」と言っています。
そして、「標章」のうち一定の条件を満たすものが「商標」となります
言葉が似ていますが、「標章」と「商標」は異なるので注意してください。

ただ、「商標」であれば、それはすべて「標章」になりますので、「商標登録の対象になるのはどのようなものか?」を考える場合、上記の「標章」について理解しておくことが大切だと言うことができます。

なお、「標章」が「商標」になるための「条件」については、次回の記事でお話いたします。

さて、一見するとたくさん要素があるように思いますが、世の中で実際に商標登録の対象となっているものの大半は、「1.文字」、「2.図形」、「これらの結合」(いずれも色彩が付く場合を含む)です

あとはあまり出てきませんので、とりあえずこれだけ覚えておきましょう。

1.文字」というのは、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットなどですね。もちろん、たとえば「商標ベンリシN」とか「しょーひょー弁理士エヌ」のように、各文字種を組み合わせたものでもOKです。これはわかりやすいと思いますし、一般的な商標のイメージに近いでしょう。文字をデザイン化したロゴタイプも商標登録の対象となります。

2.図形」というのは、幾何学図形をイメージするかもしれませんが、シンボルマークのような要素や、図案化した要素なども含まれる概念です。企業キャラクターのイラストも含まれます。よって、企業のシンボルマークや商品に付けるワンポイントマーク(ロゴマーク)なども商標登録の対象となります。

これらの結合」というのは、たとえば、この記事の左上には、「note」の文字と黄緑色の図形が表示されていますが、これらを1つのマークとして見れば、文字と図形(と色彩)の結合と言うことができます。そしてこのようなマークも商標登録の対象となるということです。

さて、商標登録の対象となる具体的な要素について、だいたい理解できたのではないでしょうか。これから商標登録をお考えの場合は、貴社がビジネスで使う(使おうとしている)標識に、上記のような要素がないかを探してみてください。それらが、商標登録の対象候補となるはずです。

今回は、「商標登録の対象になるのはどのようなものか?」という点について、その対象となり得る「標章」には何が含まれるのかをお話ししました。次回は、この「標章」が「商標」として、実際に商標登録の対象となるための「条件」についてお話しします!

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