愛が憎しみに変わる理由

『自分だったらどうしてほしい？』
『もしその人の立場だったらどうする？』
『自分がされて嫌な事は相手にもしちゃだめ』

子供の頃に千度言われてきたようなセリフ
だけど、これって　自分と相手の性格とか
経験してきた事が全く一緒だったら
ガチっとハマって神対応になるけど
もしそうじゃない場合は…

というより、ほとんどの場合
例え親子だとしても別々の人格だから
一致してることなんて無いんだよね、とても寂しいんだけども

日頃いっしょにいてるから
他愛もない会話や楽しい食事をしていて
同じことで笑ったり好きなものが一緒だったりして
『相手のことなら手に取るようにわかる』と
全部知ってるような気分になっていくけど
こと、ネガティブな出来事があった時の心情に関しては
『手に取るように…』分からないことが多い

いや！だとしても、だとしても！
考えるんだ、理解するんだ！
この人ならどう思うか！この人ならこんな時
私に何をしてほしいと思うのか！
どんな言葉をかけるべきなのか！

それでも分からないときは
自分に置き換えて考えてみる
自分がこの人の立場なら…
私ならこうしてほしい。または　私ならこうしてもらった時に楽になったなぁ。

大好きな人に元気になってほしいから一生懸命考えて
一生懸命いろんなことをしてあげる

なのに…

違ったみたい。
事態が悪化した。よけいに悲しませた。もっと怒らせてしまった。頑張ってそっと置いといた愛情を捨てられてしまった。
そんなつもりなかったのに。
あんなに繊細に　あんなに丁寧に　こんなにあなたを愛してるから
あなたにとってのベストだと思う行動をとったのに
私ならこう言ってほしい絶対にと思う言葉を選んだのに

これが
愛情が憎しみに変わっていくプロセス

こちらとしては、積み重ねている小さな愛に気づいてほしい
『あなたのことが心配で、傷ついてほしくないから言ってる』
『あなたにもっと幸せになってほしいから、でも押し付けにならないように、そっと見えないように普段からやってあげてる』

相手としては、今ネガティブな事が起こってて
自分のことだけでも大変すぎる　頭の処理が追いつかない、助けてほしいけど心配させたくないから…ああでもツライ。
分かって欲しい、でもこうしてくれああしてくれ
って言えないな
と
思ってるところに
今それじゃないんだよ…
それはあなたならそれで嬉しいかもしれないけどさ…
と余裕もないスペースもない心に
あまり役に立たない道具を押し込まれた気分。
でもそれらは自分にむけてくれた愛情からゆえの贈りものだって分かってる…でも

いや、今それどころじゃないんだって
自分のトラブルすらどうしようか手一杯なのに
あなたから届いたよく分からないものを開封したりダンボール畳んでお礼の電話してる場合じゃないんだって
『ゴミ送ってきてくれてありがとう』
とかイライラまかせに言ってしまいそうになるんだって！

カップルとか夫婦間でよく起こりそうなシチュエーション。
親と子供の間ならコトサラよく起こるんじゃないかな
子供の場合だと逆ギレしてみたところで
結局は自分では無理だって本能でわかってるし
この複雑な思いを上手く言葉にして伝えるだけの語彙力も経験もないし
その小さな胸の中のプライドも自尊心も
日々ポキポキ折られ折られて
大きくなった時に
『うちの親は毒親でした』
となる。

悪意のあるマスメディアの手法みたいに
出来事の1シーンだけを切り取ると
こっちが悪で、こっちが被害者ね。
この構図の写真を3枚くらい用意できれば
ほら

誰に見せても歴然な
毒親
非行少年
メンヘラ女
モラハラ男
老害

完成！！

その人にはその人にしか分からない歴史がある
その時代その立場にないと経験し得ない感情がある

最初は
相手に押し付けようとしたわけじゃない、
大好きな相手にそんなことして嫌われたくないし
でも
いくら考えても考えても分からないから
悔しくて情けなくて
自分にとっての宝物を全力で贈るしかなかっただけ。

最初はみんなコレだった。
最初はみんな愛だった。

記憶からも消えるほどの小さな破片が
つもり重なって癒着して
大きな一つの塊になってしまったらもう…