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循環産業

肉牛の繁殖農家さんや一貫生産農家さんは日本の「循環産業」を担っています。

循環産業とは、本来なら捨てられるものを資源として再生し、持続可能な社会実現に寄与する産業のことです。

肉牛の飼育を通じた資源の循環とは

①牛舎から出した排泄物が堆肥舎で完熟堆肥になる
    ↓
②畑へ還元した堆肥が牧草を育てる
    ↓
③牧草が牛の餌になる
    ↓
④牧草を食べた牛が排泄物を出す
    ↓
⑤牛舎から出した排泄物が堆肥舎で完熟堆肥になる
    ↓
(以降、②③④と循環していく)


このように肉牛生産に必要な資源は循環していきます。この肉牛生産ならではのエコシステムは地球環境の整備に役立ってます。

話は少しそれますが、バングラデシュの伝統的有畜産システムなどもこのような循環産業としてのサイクルが出来ています。しかし多くの先進国では肉牛の排泄物の多くは循環せず、逆に廃棄物汚染問題となっています。

生産頭数と環境が調和出来ていないばかりか、生産性を最優先し、自然が循環していく流れをつくる視点が欠けているからです。

話を戻して、繁殖農家さんや一貫生産農家さんの堆肥は有機農業や家庭菜園をしている人、さらには植木屋さんなどに提供されることもあります。日本の肉牛生産の仕事はいろいろな人の業務や趣味にも貢献しています。

これも一つの循環と言えます。こうした循環が成立する以上、肉牛生産者さんは単に牛に餌を与えて育てるだけの方々ではありません。牧草や排泄物、堆肥を社会全体で循環させ、私たちの暮らしを支えてくれる未来型の産業を担っている方々なのです。



環境省も「循環型社会」を創造するべく、生産、消費、使用、廃棄、処理などの工程を見直し、リデュース、リユース、リサイクルといった活動を推進しています。

先にふれましたが、今や環境の持続可能性は世界各国が取り組む課題です。その中で、肉牛生産を含む日本の農業がどのような役割を担っているのか。 環境資源を取り扱うという産業は、高い価値のある産業だと私は感じます。循環産業としての日本の肉牛生産者さんは、ある意味これからの社会を創造しているのです。


肉質だけではなく自然が循環していく流れそのものにも価値を見出す。それをもっと広く知っていただく工夫をする。それも世界に冠たる黒毛和牛の販売をさせていただいている私たちの役割の1つです。

参考文献:和牛繁殖経営の教科書
    :第7回「日本の畜産」

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