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翔(しょう)とカモノハシの唄

 年始そうそうコロナになりました。つらかったです。というか、今現在は完治している状態なのでしょうか。それすら不明。立つと目眩でふらついてしまって気分も悪いです。
 昨日もずっと横になりながらYouTubeのショート動画を見てるだけでした。国籍、性別、二次元三次元など一切関係無くいろんな人が「あ〜ぱつ、あぱつ」の曲に合わせて元気良く踊っている映像が無限に流れてきました。こんな事を言って悪いけどね、年明けからこんな事言って悪いですけどね、あの曲の一体何が大衆の琴線に触れたのか自分にはさっぱり分からんですわ。あんな適当な、いかにも金持ちが片手間に作って貧乏人共にエサ代わりにバラ撒いてあげました、他に娯楽も無い事でしょうし頑張ってtiktokとかで踊ってくださいね、ま、こっちは高級マンションとか豪華客船とかで高っけえシャンパンをかっ喰らいながら面白おかしく生きていくんですが、所詮一般人なんかは安アパートで米菓べいかでも齧りながらアパートの曲に合わせて踊ってるのがお似合いですわおほほほほほほ、はあ〜あ、さ、総額3000万円を投資したオーディオセットでビートルズのアナログ盤でも聴こうかな、うわ〜これは凄い、音がロマネコンティの様にキラキラ輝いているぞ、こりゃアパートの曲なんか聴いてる場合じゃ無えわなイッヒッヒッヒ、我々の輝かしい未来と摩天楼に乾杯みたいなね、そういう感じをビンビンに出してくる、「こんな曲を出して売れるのは、俺達が、セレブリティだからだッ!!!そして、この曲を聴いてるお前等は、格下だッッ!!!!」みたいな感じをビンビンに出してくる様なあの曲を、世の皆さん方は一体どんな気持ちで持て囃しているのか?悔しく無いのか!?涙が滲んでこないのか?!人間としての矜持はどこに行ったのか!?畑のすみっこで泣くのを堪えながら細長い人参にんじん頬張ほおばっているだけの人生で本当にいいのか!?あんなもん、絶対に向こうはナメてる訳じゃん、「はあ〜あ、適当でいいんだよこんな曲なんて。所詮はバカ共相手のボランティアだぜ」って。どうせ演者からそんな態度を取られるんだったらハナっからスワンキーズの素晴らしい楽曲を聴かせて頂きますって話なんだよ!!!!!!セレブ同士のじゃれ合いなんか心底どうでもええわ!!!んなしょうもないもんに接してる暇があるならアパートメント3G聴くわ!!!

パンクバンド“The Swanky's”初のドキュメンタ リー映画『バカ共相手のボランティアさ』本予 告編【2024年3月22日公開】

Apartment 3G/White As A Sheet

 抑えきれない、隠しきれない嫉妬からついつい語尾を荒げてしまいましたが、最近のヒット曲の在り方に自分は常々疑問を感じております。というかですね、あの曲というより、あんなこぢんまりした曲を過剰にありがたがる社会に対して俺は憤激しているのですよ。セレブが手を振ってくれればなんでもいいのか、情けねえと。
 先日もYouTubeでDoechiiってラッパーの"DENIAL IS A RIVER"って曲が流れてきたんですよ。10日前に出てもう既に760万回再生されている話題曲で、それ聴いて「ああ、いいなあ」と思ったんですが、「どんな事をラップしているんだろう?」と気になって"DENIAL IS A RIVER 和訳"で調べたらなんか「彼氏と別れた」だの「私の2023年を早送りしてみなよ お金をめちゃくちゃ稼いでる」とかしか言ってなくて一気に冷めたね。だって、何の興味も無いもんDoechiiのパーソナリティなんか。「はあ、そうですか」以外にリアクションのしようが無い、ただ単なるスネ夫的な金持ち自慢が始まっただけ。あれを聴いて楽しいと思う人は何かがおかしいとすら思う。
 英語の勉強を細々と続けているんですが、英語の動詞って「自動詞」と「他動詞」の二種類があるんですよ。いや、今調べたら日本語の動詞もそうらしいんですけど。

 主語と動詞(と補語)だけで文が完結する為、目的語を取りたい際はその前に前置詞を置かないといけないのが自動詞で、主語と動詞と目的語(あと補語)で文が完結するのが他動詞、という認識でいい筈だと思うんですけど、自分は「その動作をしている物にだけカメラがフォーカスしていて、その周囲がピンぼけしている状況になる動詞」が「自動詞」、「その動作をしている物と、その周りにもちゃんとピントがあっているから周囲の状況が把握しやすい動詞」が「他動詞」、というイメージを持っていて、何が言いたいのかと言うと、状況が自動詞なんですよ。DoechiiのDENIAL IS A RIVERは。Doechii以外にスポットが当たっていないから、Doechiiの挙動以外に何が起こっているのか全く把握出来ないのよこっちは。別れた彼氏が歌詞に出てきても何の人物描写も無いし、Doechiiと同等の質量を持つ他者が一切出て来ない。Doechiiがいるだけ。
 で、そのDoechiiの主張、「(私は)お金をめちゃくちゃ稼いでる」、その額を仮に100億だと仮定してですね、たかだか数分の"物語"の中においてその100億稼いでる人の凄さ、偉大さを理解する為には、そのとなりに、その人と同じ位の質量を有する「100億を稼げていない人」の存在が絶対に必要な訳じゃないですか。差違が必要じゃん。でもこの曲にはDoechiiの挙動とか意見しか無いから、曲がただ「お金をめちゃくちゃ稼いでいる人、がいる風景」の描写になるんですね。Doechii以外に質量の有る存在が曲の中に点在していて、それらがDoechiiと有機的な関連を築いていて、そして聴衆はそれを俯瞰出来るみたいな特権性が一切こちらに与えられて無いから、ただこっちに出来るのはDoechiiの一挙一動を固唾を呑んで見守る事だけだし、それでDoechii自身の意見は、まあ真っ当な真人間として普通な事を羅列している感じじゃん。一体この曲は何なんだとか思うのは悪い事なのでしょうか?別に仕方無くないですか?だからそういうさ、「なんか凄い人がいる」っていうだけの風景描写を楽しめる感受性がある人達はいいですよ?でも、俺はそういう感受性が無いもん。川端康成の雪国ってあるじゃん?あれの冒頭をみんなが褒めてるじゃん、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」ってやつを。「活き活きと美しい情景が目に浮かぶ」とか言われてるじゃん。でも、俺は本当に何にも思わないもん、あの文に。国境の長いトンネルを抜けたら雪国だったから何なのかが本当に分からないんですよ。ギャグで「ゴッホより普通にラッセンが好き」ってやつがあるじゃん。俺は川端康成より普通にジャック・ケッチャムとかの小説の方が好きなのよ。日本の風土の幽玄さを精緻を尽くして書き切る様なやつよりも食人一族が別荘の窓ガラスを割って一般人に襲い掛かる話の方が好きなのよ。なんか派手な事が起こって欲しいのよ。俺は風景描写が分からない、だから翻ってDoechiiのDENIAL IS A RIVERのラップに何を思えばいいのかも分からない。最近本当にそういう曲が多いと思います。一見過激で情報量が多く自由度が高そうな歌詞ではあるが、その実歌い手を凝視し続けないといけないという拘束を聴衆に強いてくる楽曲が。それが良くないとは言わんが、俺には楽しみ方が良く分からない、と、そういう話です。

T.C.R横浜銀蝿R.S/ツッパリHIGH SCHOOL R & R (試験編)

 昨日ディスクユニオンで初めて横浜銀蝿を聴いて感動したんですが、特にこの「ツッパリHIGH SCHOOL R & R (試験編)」に衝撃を受けまして。ツッパリが試験を受けるという内容の歌なんですが、自分が受けている試験の問題の意味が全部分からない、正しい解答が何も分からないと。そういう絶望的な状況で歌われるのが、以下の歌詞です(1:53〜)。

何がなんだか わけがわからず
とにかく名前だけ書きました
"しょう"

 こういう事なんですよ、俺がさっきからくどくどと書いているのは。何がなんだか一切わからない、依存できるシステムなんて何一つ無いカオスの中に「俺は"しょう"なのだ」という裸一貫になって己が身を置く事、無秩序それ自体に"しょう"という己を関連付けて混沌と一体化しようとする事、それこそがロックという音楽が持っている、未知へと通じる可能性なんですよ。お金を沢山稼いでる人が創った曲だから聴くだけの価値が付与されるとか、マーケティングの戦略性を評価して云々とか、ロックってそういう退屈な話では無いのよ。このスピリッツに感動したいのよ俺は。あらゆる手を使ってつまらないシステムを拒絶しろ!それがロックって事なんだから!ドアーズの「ロードハウス・ブルース」の歌詞、"The future's uncertain and the end is always near"「未来は不確かな物だ そして終わりはいつだって近いのだ」を、「回答が何一つ分からないまま時間だけが迫る試験」というシチュエーションで表現した横浜銀蝿は偉大だ。
 で、そういう事を考えるとですね、やっぱり自分がいろんなSNSにもう通算10回は貼ったこのライブ動画に行き着く訳です。俺はロックに纏わる映像でこれ以上に感動したやつ無いもん。

SOCKEYE (live) - "The Platypus Song"(カモノハシの歌)

 何がなんだかわけがわからないが、とにかく全員が凄まじい質量を持って存在しているではないですか。全員がインフルエンサーなんですよ。全員が全員にインフルエンス(影響)を与え、そしてそこにある全てと関わっている。ろくでもない髪型の人間がご満悦で弾いている冗談みたいなギターの騒音の元に。それがロックなんだ、決してセレブの特権では無いんだという事を俺は声を大にして言いたいね。本当に。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
 今ちょっと病み上がりで頭が回らない為に悪口ばっかになってしまうんですが…いや、どうしよう。この後また別の対象を口汚く罵る予定だったんですが、なんかそんな嫌な事ばっか書くのもねえ〜みたいな気分に急になってきた。いや〜でも三日前位まで体調は最悪で。汚い話なんですけど、鼻をかもうとして体に力を入れたら、普通に「あいよ!」みたいな感じでうんこが出そうになってね。自分の体とここまで意思疎通が出来なくなるレベルまで俺は老いたのかと落ち込みました。ゆらゆら帝国の「ラメのパンタロン」で「退屈ってやつか?クソが飛び出そうだぜ」って歌詞があるじゃん。それが「ヤベえロックだ!!」って評価されたじゃん。でも、本当にヤベえのは、さしたる理由も無いのにクソが飛び出てくる様な年齢になってからなんですよ。マジで単なる空洞だよもう。鼻をかもうとしたらクソが出てくる個性的な空洞。

 YouTubeばっか貼ってるんですが、最後に最近知ったmuqueというバンドの曲を貼ってこの文を終わります。「こういう青春を送りたかったぜ」と思いながら仕事中に「スワイプでずらして〜」とかブツブツと歌ってます。スワイプって何なのか知りませんが。いい曲ですよね。muqueもこんな下品な文章の後にいきなり貼られたくないだろうな。まあ、スワイプでずらしてくれ…俺が書いたクソについての文章を。

muque-feelin'(Official Music Video)

 という事で、また金曜日になんか洋楽の歌詞の和訳でもnoteに投稿するのではないでしょうか。あらためまして、今年もよろしくお願いします。あと、あんだけギャアギャア言っといてあれだけど、アパツアパツの曲を何回も聴いてるうちに普通にいい曲に思えて来たね。さすがブルーノ・マーズだよ。ドンキの曲を作っただけの事はある。Doechiiさんの曲も素敵だと思います。みんなで俺等の時代を盛り上げていこうや!!!!!!!

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つやつやと実っている稲穂
なあ、頼む……たったの5ドルでいいんだって… 確かに昨夜はツキが無かったよな、ベニーがヘマ打っちまって…いや、イカサマじゃねえ、生まれ故郷のアリゾナに誓えるぜ、ただ必勝法があるのさ…次は負けねえよ…なあ、ハニー、5ドルでいいんだ…マンハッタンの夜景の様に俺を愛してくれよ…

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