MADE IN HEAVEN
note、今私が記事を投稿しているこのサイトで、毎週欠かさず連続して投稿すると、ありがたい事に運営の方々からバッジが戴ける。3週目、5週目、そして今回この記事を無事に上げる事が出来れば10週目記念バッジが貰える筈だ。「手軽に」「空き時間で楽しめて」「共感を呼び」「週に何回も更新される」等がこの、しのぎを削るインターネット上での各コンテンツにおける重要なファクターでありながら、あえて「個人的な感情を吐露する」「しかも、なかなかの長文で」という、謎の茨の道を選んだ変り者の集団、noteに駐在し続けるいぶし銀の猛者達(というか、そういう文章しか書けない、世間の変化に対応出来なかった報われない人達)に賜われる、文化への献身を讃えて贈られる栄誉の塊としてのエンブレム、それがこれだ。
かっこ悪いと思いませんか。この初代ファミコンのアクションゲームの背景に出てくる洋館みたいな謎のオブジェクト。今にも窓からゴリラが顔を出し「ピッ、ポロッ」みたいな電子音と共に爆弾とか投げてきそうだ。そのうち「ああ、これカレンダーなのか」と気付くが、普通カレンダーをデフォルメしてバッジの柄に採用するか?しかも○週記念バッジって、同じ柄のバッジの下の数字が増えるだけだからね。もう20年位TVを能動的に見る生活を送ってないんで(動機すら忘れたが、若い頃にTVに付いていたアンテナ線?みたいなやつを捨ててビデオの再生しかできないようにした)よく分からないけど、スギちゃんと仰る芸人がいて、「ワイルドだろぉ〜?」って言うらしいじゃないですか。そのフォーマットを借りて、これを「ミニマムだろぉ〜?」と評したいね。ここまで心惹かれない報酬もそう無いよ。シーシュポスの山の勾配がバッジになって登場って感じですよ。
こういうののデザインにこそAIを使えば良いのでは無いのかと思う。というか、もうすぐ新札が世に出回り始めるじゃないですか。
かっこ悪いよね。新札のデザインって、AIに任せて毎週絵柄変えれば良いと思う。今X見たらトレンドが「Vaundy」「ファミマのプリンサンド」「金与正氏」なんで、それらをキーワードにしてAIにブチ込んで画像出力して印刷して一万円札として流通させて、で次の週にまたトレンドの言葉を使って新しい柄の一万円札を発行して…そうすれば庶民も仕事に性が出るでしょ?「来週の一万円の絵柄楽しみだな〜」って。後々見返した時も「あっ、この週タピオカが流行ってたなあ、懐かしい」みたいに楽しめるし。最近知ったけどYouTuberってほぼ毎日動画更新してるらしいじゃないですか。お札もどんどん画像更新しないとだめだよ!?今ってそういう時代だから。泣き言は許さない。大変だとは思うけど、頑張って毎週お札の絵柄更新してみ?それが造幣局の急激な成長と自信に繋がるんだから。今の女のコ達って、誰一人造幣局の事なんて考えてないよ。理由わかる?!時代に対応できてないから。だから造幣局にはオーラが無い。俺が金稼いてやるぞって。そういう気骨が無い訳。カスタマーの気持ち読み取れないって、今一番イタいよ?造幣局もさあ、ぶっちゃけゆくゆくはFIREしたい訳じゃん。毎日遊んで暮らしたいって、まあ本当は。じゃなりふり構ってる場合じゃ無いのよ、もう。伝統とか威信とか、もうそういう次元じゃ無い訳。迷ってる暇が無いの。
こうした甘言に唆された造幣局は毎週デザインが変わる新紙幣を発行した。若者達からの絶大な支持を得た造幣局が、生涯生活できるだけの資産を形成して投機家兼インフルエンサーに職業を鞍替えした結果、日本内での紙幣の発行は途絶えてしまった。残された日本人を待ち受けていたのは、一切の経済指標が無いままに顧客のニーズを予測して他者を出し抜き続けようとする、新自由主義と共産主義がアクロバティックに融合した全く新しい秩序であり、その有り様は海外から「ONE PIECE(ひとつなぎの自由主義)」と呼ばれ怖れられた。彼等は国家が管理する集団農場で育てた玉ねぎをメルカリで転売し、そうして得た利益をアイドルのアクリルスタンドキーホルダーにぶち込んだ。
話変わるけど、最近読んだ村上春樹の「The Scrap」が面白かった。80年代の洋雑誌から気になったトピックを村上春樹が拾い、それを題材にしてエッセイを書くという内容です。
私は数年前まで村上春樹をほぼ何も読んだ事が無かったのだが、ある年の正月に実家に帰った際、父親が読んでいた「ノルウェイの森」を借りて読み、その内容の余りのエロさと都合の良さに驚愕した。パパ、こんな中年版夢小説を読むなんて、いったいどうしちゃったの!?これ主人公が運良くセックスしてるだけの話じゃん!そしてなんか主人公が変な事言いながら「自分は、エロおじさんではないのだが…」「セックスっていいよね…」…みたいなのを主張しながらなんか終わるっていう。怖い。怖すぎる。「俺はとにかく絶対に気持ち悪いエロじじいだと思われないぞ!」という、作者の物凄い周到な準備と手管がず〜〜〜っと小説内に存在していて「この人必死だな」としか思えず、そういう生き方は否定しないが、そういう小説を喜んで読む人達が大勢存在してノーベル文学賞も貰うかもみたいになってるという事実に目眩を抑えきれなかった。作者が自分自身を曝け出さない事のみに尽力して、内容は取り敢えずしみったれた一般人が喜びそうなセックスの話すっか、あいつら他に娯楽知らねえからな、ジャズとか聴かねえし、みたいな計算を施された小説としか思えない。自分がジープに乗った米軍兵士から半笑いでチョコレートを投げつけられている様な存在だとしか思えず大きな屈辱を感じた。常に春樹は読者(自分)より高みに立っている。春樹、もっと己のセックス大好き感を曝け出してグイグイ来いよ!!セックス好きだろ??もっと貪欲にセックスについて描写しようよ!これじゃあジェフ・クーンズが「メイド・イン・ヘブン」で発表した、チッチョリーナと一緒に妖精みたいなコスプレしてセックスしてる様子を撮っただけの無修正写真にセックス大好き感で負けてるよ!
Jeff Koons-Made in Heaven
その様な私の不満を「The Scrap」は解消してくれた。オリンピックについてのエッセイを依頼され、一切オリンピックに興味が無い為に自分の好物のわかめサラダを紹介し「わかめは日本の夏の金メダルです」と書く春樹。良すぎる。書く事が無いという春樹のRAWな感情がグイグイ来てるよ!春樹が滾(たぎ)っている。
結局小説内におけるセックスシーンって何の意味があるのかって言うと、大概の場合は単なる読者サービスでしか無いのでは、と最近思う。それはそれで有り難い事だと思うが、しかし古くから伝わる格言の通り、神はわかめサラダの様な細部にこそ宿るのだ。それこそがノイズという物の正体で(自分に言わせれば)、村上春樹のセックスを主題にした小説にはノイズが少なすぎる。あれこそAI的だ。同じ村上姓ってだけで比較して悪いけど、村上龍が80年代の「ホットドッグプレス」に連載してた、ニューヨークとかパリでのテニスの試合のレポートを纏めた「テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールド」って本があって、それの「フロリダpart2」の締めの文章とか本当に凄いよ。自分はこれこそが美しい日本語だと思う。
"それから、ものすごく強くなったステフィ・グラフがエバート、ナブラチロワ両女王をあっさりと負かした歴史的な決戦についても次回たっぷりと書きます。
それにもちろんアメリカを代表する最大の歓楽リゾート、マイアミビーチの夜と昼、大金持ちのリゾートライフ、そして、エイズにも負けずにがんばるゲイ達の、ムチャクチャな巨大ディスコ、またサルサや、世界の美味ストーンクラブ、トローリング、そしてそして、コークの王様と言われる最強の麻薬「フリーベイス」についても、ばっちりとレポートするから、楽しみにね。"
純度100%の ノイズの塊!!ピュア過ぎる!!誰が一般誌でニューヨークの麻薬についてレポートしてくれと頼んだ!?フルスロットルで爆走する治外法権。ここにあるのは日本の法律とは一切の関係無い"村上龍"という名の独立国家であり、ここに文章を寄稿しているのは"村上龍"という民族の長なのだ。彼の言葉は全てが異界への呼び水であり、日常を逸脱させるための麻薬である。村上龍は凡人の小賢しい計算から逸脱したそれ自体が巨大な細部である。それが本当に凄い。リスペクト!!最後に自分が村上龍の小説で一番好きな「イン・ザ・ミソスープ」のアマゾンへのリンク貼っておきます〜。では、また来週〜。
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