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尾道の小さな大衆食堂奮闘記。

尾道にある昭和の香りが漂うディープな歓楽街「新開(しんがい)地区」の路地裏にひっそりただすむ「tutuyu」です。

「尾道で一番敷居が低くてちょっとおしゃれな大衆食堂」を目標にアラウンド40夫婦が日々、奮闘しています。

まだ開業から1年9ヶ月ですが密度の濃い時間を過ごしており、今後挫けそうになるであろう自分の為にも残しておこうと思い今回に至りました。

開業へのある意味秘話。

夫:60代になった時の自分たち想像できる?
妻:考えただけで怖いな…
夫:じゃー若い頃、将来の夢とかあった?
妻:ずっとカフェがしたいと思ってた!
夫:だから飲食店一筋なんや!
妻:亮ちゃんは?(普段からこう呼ばれてます)
夫:洋服屋。20年前に会社に内緒でネットショップ立ち上げて服の卸してたこともあったよ!
妻:相変わらずだね…
夫:今でもその気持ちはあるの?
妻:出来るならやってみたいね。でも老後にのんびり出来たらくらいで良いかな。
夫:え?そうなん?
そしたら今からやろうや!ちょっと調べてみるわ!

こんなノリではじまりました…

こんな感じで”拙速を尊ぶ”
自分の暴走から始まりました。

妻は飲食店歴数十年のベテラン
自分は飲食店経験ゼロ…
尾道に帰ってからは食品会社の営業マン。
ただ大学卒業から大手アパレルで10年働き、店長職などを経験し店舗運営の知識だけは持っていたのでなんとかなる!という根拠のない自信だけはあったが…

築100年の建物への工事着工

隕石でも落ちたのかと疑うほどの屋根。
しかも一つ二つではない。
今にも抜け落ちそうな2階の床、白蟻に食われた梁。
工事見積もりなんてあってないなようなもので次から次へと追加追加…
気づけば見積もりの2倍にまで膨れあがった。

計画していた運転資金まで手をつけ、ついでに自分のヘソクリだった仮想通貨にも手をつける始末で失敗の許されない非常に厳しい船出になったがなんとか開業まで辿り着きました。

開業したらすぐに奴がきた!

2020年1月下旬に開業してすぐの感染症蔓延。
これまで順調だった売上も一桁まで急下降…
寒気がしました。大丈夫ではないけど大丈夫と笑ってお客様や友人と接する苦しい半年のはじまりだった。

今だから言えますが閉業しようかと考えることも正直あった。会社勤めの方が今に比べれば責任も少ないし、正直安定的な収入もある。
それでも「美味しかったよ!」と言って下さるお客様の言葉が大袈裟でなく励みになり、この厳しい状況下で1年9ヶ月も続けることが出来ています。

感染症を乗り越えるために
これまでやってきた事。

テイクアウト時代の到来でフードのテイクアウトもできるように再度店舗工事を行い、営業許可の取り直し。


そしてお弁当販売を行うわけだが「販路を確保」しないと必ず失敗すると思った自分は市役所、病院、薬局、地元企業に営業をひたすら行った。
あの頃は未知の感染症でみんな警戒心が高まっていたこともあり、辛辣な言葉で門前払いされることもあったが生き残りをかけた時だったので3秒で忘れる特殊能力を発動して乗り切りました。

すると販売開始直後から毎日50〜100個のお弁当の注文を頂けるようになった。
この生まれたての小さなお店でこの数量は想像もしていなかったし奇跡だと思っています。

でも実はお弁当販売はとにかくコストがかかる。容器代、おしぼり、割り箸、バラン、ワックスペーパーなどが必要となり、当店の価格設定では利益を生むのは正直厳しかった。(100円の儲けもないくらい)

それでもとにかくお客様に来てほしくて2人で3ヶ月間休みなしでとにかく作りまくった日々でした。
本当にお客様へ感謝の日々であり、これからもこの頃の事を忘れないようにありたいと思う。

この時期に来て下さったお客様は特に当店を応援してくださり、チラシを配ってくれたり、口コミで広めて下さったり、優しい言葉をかけて下さったりとお客様の優しさに触れた日々で今思えばこの時期があったから今の「tutuyu」があると本気で思います。

オリジナルグッズ制作

この厳しい時期を乗り越えるためにお弁当とは別にはじめたのが「オリジナルグッズ制作」でした。
運が良いことに自分が愛用していたブランドがOEMしていることを知り、すぐにアポイントとった。いろいろあったが力を貸して頂くことになったのがアウトドアドリンクウェアにフォーカスしたブランドである『Rivers』さん。

自分達のような小さなお店でオリジナルグッズを作るのはリスクも大きく妻には反対されましたがこういう事をするのは自分の夢のひとつでもあったので「意地でもぜんぶ嫁入りさせる」ことを条件に始めたわけですが完全完売は実はまだ未達だったりします。

2021年9月時点ではオリジナルグッズも第三弾まで進めることができるようになりましたが自分のノルマはどんどん厳しいものになっていますが楽しくて止まれません。

1度目の緊急事態宣言が明けた!

2020年の5月14日に緊急事態宣言が明けた。
私達はすぐに通常営業には戻らず6月末まではお弁当販売での再開を決めました。
6月はお弁当需要はすっかり減り「お店で食事がしたい」という声もたくさん頂いてこともあり、7月から通常営業に戻ったわけですが…

大苦戦の数ヶ月を乗り越えられたのはまたもお客様のおかげだった。

通常営業に戻ったものの簡単には以前の状態にはならなかった。ただ自分達がとても恵まれていたのは4,5,6月を支えて下さったお客様達のクチコミがいろんな方の目に触れ、興味を持って頂けた。
すると9月頃から様々な情報誌、テレビから依頼をもらえるまでになり状況が一転しました。

本当にお客様に支えられ育てて頂き、
普通の仕事では味わえないような貴重な時間を過ごさせてもらっていると感じます。

あれから4度の休業になり、
現在は5度目の休業期間中だか
前向きに頑張れています!

開業からの1年9ヶ月で5回の休業を広島県でも繰り返しています。今後どうなってしまうのか?不安になることもありますが自分達らしく前向きに頑張れていると思います。

10月からの営業再開に向けて新商品の開発、新作グッズ制作や店舗メンテナンスを毎日かならず行う日々を過ごしておりました。
そこでいくつか紹介させて下さい。

①PR動画制作

福山市を中心に活動されている映像屋
『Bears On Films』さんに制作して頂いた。
お客様として来店して頂いた事がご縁のはじまりで年齢や趣味も近くて仲良くなるまでそんなに時間はかからなかった。

動画は文章よりも情報量が多く、自分のように文章力のない人間からすると自分の思いを伝えるにはとても有り難いツール。

とても丁寧なヒアリングでこちらの目的に合わせて優しく提案して下さるので本当に頼りになる存在。

今回は変に飾らず等身大の自分達(お店)を撮影してもらいました。

②試作品づくり

いろんなものを試作してきましたが自分達以外の人の意見も聞きたくて先輩カフェ経営者さんや世界一周の旅に出た友人、学生時代からの友人に試食をしてもらってアドバイスをもらってカタチになった料理です。

『やわらかチキンのバターチキンカレー』

辛くないけどクリーミーなコクと甘みが口いっぱいに広がると思います。
当店で人気のチキンをごろごろ入れ、バターの風味が濃厚でスパイスの辛味の少ないマイルドな後味に。

『手作りWソースのやさしいミートドリア』

ミートソースとホワイトソースの合わせ技にチーズでコクをプラスしたやさしい味付けのミートドリア。

『昔懐かしいほろ苦い固めのプリン』

尾道らしく昭和レトロを感じさせるほどよい弾力とほろ苦いプリン。普遍的でクラシックなプリンでノスタルジックを感じてください。

『岩城島わらしべさん。のレモネード』

瀬戸内海の離島・岩城島に生産者と作り手を結ぶ「わらしべ。」さん。
東京で1ヶ月6000杯飲まれるレモンサワーのレモンを届ける方で今年は「FOOD PROFESSIONAL AWARD2021」グランプリ受賞。

そんなわらしべさんが愛情込めて作られたレモンシロップを使用したツツユ流のレモネードやレモンスカッシュなど4種類登場。
グラスから香る島の匂いをお届けします。

『ぜったい割れないトライタンボトル』

今回で第三弾のグッズ作成。車に踏まれても割れない耐衝撃性、軽くてグラスのような透明度、耐温冷性を備えた水筒です。
グラスのような透明度があるので保存容器(キャニスター)のように使われる方も多いです。
キッチンの棚に珈琲豆やパスタ、グラノーラなどを並べるとワンランク上のキッチンになりますよ。

一部完売中のステンレスボトルの再販要望もたくさん頂いていますので検討中です。

10月からの営業について

ほかにも試作した料理やおやつがありますがかなり長くなってしまったのでここまでにしておきます。

広島県飲食店感染防止対策認証制度もさらに強化されるため、当店もさらに座席数を減らして感染症対策を強化してお客様に安心して食事してもらえるよう努めます。

それと9/24と10/15にようやくワクチン接種します。基礎疾患体質の夫婦なので特に2回目は副反応が出るのではないかと恐怖しています。
10/13〜10/17は安全策でお休みすることにしました。
「無理しない、のんびり、ゆっくり」「やるときは徹底的に頑張る!」が自分達が長く仕事を続けるための方法なのでお許しくださいね。

そして昨今の食材の高騰により、皆さんの家計を圧迫させているのと同じく当店も苦労させられています。早く正常化してほしいですね。
当店は今の価格帯を維持するために定休日を木金に変更してフードロスを減らしてもう少し頑張ってみようと思います。

さらに10月にはあるイベントに出店予定です。初めてのイベント出店で不安が多いですが「自分達が楽しんでやってればいい結果がついてくるもんだ!」とかつての上司が言っていたのでそれを信じて楽しんできます。また近々詳細は告知しますね。

私達は得手不得手を上手く分業制に出来てる珍しい夫婦かもしれません。
再開したら以前のようにお客様にお越し頂けるかわかりませんが少しでもパワーアップした「tutuyu」になれているようにこれからも二人三脚で頑張っていきますので今後ともよろしくお願い申し上げます。

こんなに拙い文章が長くなってしまい疲れたと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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